ただし、夫の死亡時に「30歳未満」でかつ「子のいない」妻の場合、5年間の有期支給となります。たとえば、夫の死亡時に28歳で子供がいない場合は、34歳から支給されなくなります。しかし、夫の死亡時に妻が30歳未満でも子供がいれば、その子供が18歳年度末(=高校卒業)に達するまでは支給されます。

表現が適切でないかもしれませんが、“子供のいない若い未亡人は、最長5年間の支給期間の間に新たな生活基盤を準備して下さい”ということでしょう。ここで言う“新たな生活基盤”とは、再婚や就職・自営などの経済的な自立を意味します。やはり、ここでも厳しい基準が設けられています。

遺族厚生年金はいくら支給されるのか?

遺族厚生年金の支給額は、遺族基礎年金とは違って非常に複雑です。ただ、本当にザックリ言うと、死亡当時の夫の報酬額に比例します。基本的には、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3であり、納付月数が反映されます。ただし、夫の会社勤め期間が300カ月(=25年)未満の場合は、300カ月とみなして計算されます。と言われても、ピンと来ない方が圧倒的に多いでしょう。

これも本当にザックリした粗々の計算ですが、年収700万円で会社勤め10年間の夫が亡くなった場合、支給される遺族厚生年金は約70万円程度と推察されます。実際問題として、この遺族厚生年金額のみで生計を立てるのは難しいと言えるでしょう。

サラリーマンの夫が亡くなった時、支給される遺族給付はいくらか?

では、サラリーマンの夫が亡くなった時、遺族給付はどのくらい支給されるのか。以下に3つかのケースを例示しました。なお、遺族厚生年金の金額は、筆者が粗々で計算したものですのでご留意願います。

<ケース1>

夫(45歳、年収900万円)、妻(44歳)、長男(大学2年)※、次男(中学3年)、長女(小学6年)

  • 1)遺族基礎年金=780,100円+224,500円×2人分=約123万円
  • 2)遺族厚生年金=約76万円(推定)

ただし、長女が高校を卒業以降は、1)=0円になり、2)のみ。

※長男(大学2年生)は18歳年度末を過ぎているため、加算される「子」ではない。