これまで20年以上にわたって「良い母、良い妻」のイメージを作り上げてきた女性誌『VERY』。2019年1月号の「『きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ』と将来息子がパートナーに言わないために今からできること」という特集が大きな話題になりました。VERY妻の変化、夫に対する不満があらわになったのです。
リッチなセレブ妻のバイブルから変わりつつあるVERY
『VERY』は光文社から1995年に創刊された雑誌です。三浦りさ子さんや”タキマキ”こと滝沢眞規子さんといった人気看板モデルを輩出し、東京都白金発のセレブ妻「シロガネーゼ」や、兵庫県芦屋発の「アシャレーヌ」といった言葉を世に送り出します。ハイブランドのバッグやアクセサリーが紹介されて、育児も家事も完璧にこなす裕福な専業主婦のバイブルのような存在でしたが、最近は少しテイストが変わってきたようです。
共働きの女性たちをザワつかせた「『きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ』と将来息子がパートナーに言わないために今からできること」というタイトルには、夫に対する明らかな不満が現れています。
世間では共働きが当たり前の時代。もちろんお金のこともありますが、大学を卒業し、キャリアを積んできた女性が自己実現や社会とのつながりを持つために「働くこと」を望むのは不思議なことではありません。しかしVERY妻の夫たちは、お金に困らないくらい自分が稼いでいるから、何不自由なく過ごせる専業主婦こそ幸せだと思っているのかもしれません。
働きたいという気持ちを伝えた時に、妻として言ってほしいことは「君も働くなら家事や育児を協力しよう」ですよね。「きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ」という回答をされたとしたら、「家事や育児で縛り付けられている」と感じてしまうでしょう。親世代から引き継いだ「夫は稼ぎ、妻は家事と育児をすべき」という古い価値観がVERY妻の社会参加を阻んでいることがわかります。