2026年6月下旬、夏のボーナスシーズンを迎え、家計の見直しや将来設計に関心が高まる時期です。

筆者は現在、InstagramなどのSNSを通じて、はたらく世代の方々へ向けた資産運用や資産形成のコツを発信しています。

日々皆様のお金のお悩みに寄り添うなかで、老後の生活基盤となる「公的年金」への注目や不安が増していることを肌で感じています。

過去に日本郵便でリテール営業に従事し、さまざまな金融商品や生命保険の分析を行ってまいりましたが、将来に向けてどのような資産運用を行うにせよ、まずは土台となる公的年金の実態を正しく把握しておくことが不可欠です。

特に、マクロ経済スライドによる実質的な年金価値の変動やインフレの長期化が懸念される昨今、メディアでは「シニアの平均年金月額」といった情報が頻繁に報じられます。

しかし、その数字だけを見て一喜一憂するのは早計かもしれません。

なぜなら、公的年金の受給額は現役時代の働き方、加入期間、そして受給開始時点の制度や賃金水準によって大きく異なるからです。

統計上の「平均値」は、一部の高額受給者が全体を押し上げている場合もあり、多くの人の実感とは乖離していることも少なくありません。

この記事では、厚生労働省が公表している最新の一次データに基づき、60歳代から90歳以上までの「年齢別・男女別」の具体的な平均年金受給額と、1万円刻みの詳細な分布を詳しく解説します。

周囲のリアルな実態と比較しつつ、ご自身の年金額を増やすための具体的な方法についても分かりやすく整理していきます。

1. 日本の公的年金制度の基本。「基礎年金」と「厚生年金」の2階建て構造とは

公的年金が「2階建て構造」になっているという話を聞いたことがある方もいるかもしれません。

これは、日本の公的年金制度が、1階部分の「国民年金(基礎年金)」と2階部分の「厚生年金」で構成されていることを指します。

厚生年金と国民年金の仕組み1/13

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1.1 1階部分にあたる「国民年金」の概要

  • 加入対象者:原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての方
  • 年金保険料:国民年金保険料は一律ですが、年度ごとに見直されます(2026年度の月額は1万7920円です)
  • 受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額を受給できます(2026年度の月額は7万608円です)

国民年金の加入者は第1号から第3号被保険者に区分され、このうち第2号被保険者が次に説明する厚生年金に加入します。

厚生年金の保険料を納めている方は、国民年金保険料を別途支払う必要はありません。

同様に、第3号被保険者についても保険料を個別に納付する義務はありません。

1.2 2階部分にあたる「厚生年金」の概要

  • 加入対象者:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※1)に勤務し、一定の要件を満たす方が国民年金に上乗せして加入します。
  • 年金保険料:収入(報酬)に応じて保険料額が変動しますが、上限が設けられています(※2)
  • 受給額:加入していた期間や納付した保険料の総額によって、個人ごとに異なります。

※1 特定適用事業所:厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が、1年のうち6カ月以上、51人以上となる見込みの企業などを指します。
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に、定められた保険料率を乗じて算出されます。