自動車部品大手のマグナ、エレクトロニクス新工場を開設

パートナーのLED企業「ロヒニ」とは?

マグナはミシガン州の新工場でミニ&マイクロLED照明を量産する(写真はテープカットの様子)

 カナダの自動車部品メーカーであるマグナ・インターナショナル(Magna International Inc.)は、米ミシガン州グランド・ブラン・タウンシップに新たなエレクトロニクス製造拠点を開設したと発表した。近接地にあった3拠点を統合して、先進運転支援システム(ADAS)、先進ロボティクス、ミニ&マイクロLED照明などを大規模生産する。

マグナは新工場でADAS製品やロボットを生産

 新工場は23万平方フィートの規模を持ち、5000万ドル近くを投じて建設した。マグナはこれまで、ミシガン州のMagna Electronics Hollyを通じて北米、南米、欧州、アジアの330以上に及ぶ異なる地域にADASコンポーネントを出荷してきた。2005年から自動車用カメラの生産を開始し、累計4600万台以上のADASコンポーネントを製造。現在はカメラをレーダーやLiDAR(Light Detection and Ranging)などの他のセンサーと組み合わせて、自律性ビルディングブロックを構成する高度なドライバーアシスタンスシステムを開発しているという。

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 新工場は、こうしたADASコンポーネントに加えて、先進ロボティクスの研究開発テストラボも備えた。人工知能(AI)の進歩に伴ってスマート工場のコンセプトを取り入れ、この新ラボでは人々と協力して動作するロボットのテストと実装が可能だ。

ロヒニとミニ&マイクロLED車載照明も生産

 さらに、今回開設した新工場は、マイクロLEDベンチャーの米Rohinni(ロヒニ)と設立した自動車用照明の合弁会社Magna Rohinni Automotiveの拠点にもなる。

 マグナとロヒニは18年8月に合弁会社の設立を発表。ロヒニの薄膜ミニ&マイクロLED技術を独占的に使用し、マグナの制御技術と融合して、新たな自動車用照明を商品化する考えを表明するとともに、合弁会社では主に自動車用にミニ&マイクロLED製品を設計・開発し、LEDチップを高速実装して大量生産する工程を手がけると説明した。これに際してマグナはロヒニに出資して少数株主になった。

 合弁会社の設立に際して、ロヒニCEOのMatt Gerber氏は「マグナの自動車市場における長年の経験によって、この合弁会社はグローバルブランドになる」と述べた。また、マグナCTOのSwamy Kotagiri氏は「ロヒニとの合弁会社は、自動車業界に前例のない薄くてフレキシブルな照明技術をもたらす」と期待を語っていた。

ロヒニの戦略は「各分野のトップ企業と連携」

 このロヒニというベンチャー企業は、Lumosと呼ぶLEDチップの高速実装技術を持ち、LEDをフレキシブルなフィルム上に実装したミニ&マイクロLEDシート「PiXey」を商品化している。これまでフレキシブルなバックライトやキーボードの部品として展開しており、台湾のキーボードスイッチメーカーKOJAと16年12月に合弁会社luumii(ルーミー)を設立している。

 ロヒニは「各分野のトップ企業と連携し、自らのLED技術を各分野で普及させていく」という戦略を展開している。マグナは自動車分野でのパートナーであり、ディスプレー分野に関してロヒニは中国最大手のBOE(京東方科技)と19年1月に薄膜マイクロ&ミニLEDを用いた液晶パックライトを手がける合弁会社を設立した。

 また、LEDを実装する装置の開発については、ボンディング装置の世界的大手であるシンガポールのキューリック・アンド・ソファ・インダストリーズ(Kulicke & Soffa Industries =K&S)と18年5月に共同開発パートナーシップを結び、ロヒニの実装技術を用いてK&Sがミニ&マイクロLED向けの実装ソリューション(ボンディング装置)「PIXALUX」を製品化した。

共同開発したLED実装装置を初受注

 ロヒニとK&Sは19年8月、PIXALUXを初めて受注したと発表した。19年7~9月期中に複数台を出荷する予定で、20年には大量受注を期待しているという。

 PIXALUXは、ミニ&マイクロLEDの超小型ダイに対応し、超高速配置ヘッド設計によって高い生産性と歩留まりを実現できる。ミニLEDバックライトやLEDディスプレーの量産に適する。

 初の受注に際して、K&SシニアバイスプレジデントでのChan Pin Chong氏は「システムの初出荷は、PIXALUXが幅広いディスプレー市場に提供できるユニークな価値を強調している」と述べた。また、ロヒニCEOのMatt Gerber氏は「この技術が高速ミニ&マイクロLED配置装置の主要な選択肢になると期待している」と期待を語った。

キーボード用バックライトの量産も開始

 一方、台湾KOJAとの合弁会社であるルーミーは19年8月、マイクロ&ミニLEDベースのキーボード用バックライトおよびロゴ用照明の量産を開始したと発表した。これによりノートパソコンの省エネ化や高輝度化、アニメーションや色表現といった製品機能の追加に寄与する。

 ルーミーは、中国蘇州に製造拠点を保有している。当初月産4万台で生産を開始し、19年末までに4つのセル生産ラインを稼働させて、月産能力を10万台に引き上げる。すでにキーボード用バックライトとロゴ用照明で複数のノートパソコンOEMと協業しており、19年末までにミニLEDを月間ベースで青色200万個、赤色と緑色を各70万個使用する予定となっており、これを組み込んだ商品が19年末にも発売される見通しになっている。

 ルーミーによると、ロヒニの技術を用いて製造したLEDバックライトは、現行製品よりも最大60%薄く、25%軽く、消費電力を93%削減できるという。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

参考記事

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津村 明宏(電子デバイス産業新聞)

1995年3月 関西大学 経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。
電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長