4.3 誤解その3:「支払った保険料の元は取れない」という考え方について
公的年金は、個人が積み立てたお金を将来受け取るだけの貯蓄とは異なり、複数の機能を備えた社会保険制度として設計されています。
- 老齢年金(長生きするリスクへの備え)
- 障害年金(病気やけがをしたときの保障)
- 遺族年金(家族の生活を支える保障)
さらに、所得再分配機能も備わっており、現役時代の収入格差がそのまま年金受給額の格差につながらないよう調整されています。
したがって、「支払った保険料の元が取れるか」という損得勘定だけで、この制度の本来の価値を判断することは難しいといえます。
5. 年金の受給額と制度の仕組みを正しく理解する重要性
この記事では、2026年度における年金額改定のポイント、実際の受給額の分布、そして年金制度にまつわる一般的な誤解について見てきました。
2026年度の改定では、物価や賃金の変動に応じて国民年金・厚生年金ともに支給額が増額されています。
しかし、報道で示される「標準的な夫婦世帯」の年金額はあくまでモデルケースの試算です。
実際の受給額は、平均値や分布データが示すように、個人の状況によって大きく異なります。
こうした実情を理解したうえで、公的年金制度の仕組みを正しく把握しておくことが大切です。
もし、老後も現役時代と同じような生活レベルを望むのであれば、公的年金でカバーできる範囲を確かめ、不足する分をどのように準備するかを早めに検討してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料②ー年金額の分布推計ー」
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果 ー」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- LIMO「厚生年金、6月15日の支給日に「60万円(月額30万円)以上」もらえる割合は何パーセント?年金制度の「3つのよくある誤解」とは?」
鶴田 綾

