産休や育休に関して、男性から理解を得られない、というのは残念ながらまだ想定内の事態です。しかし実際は、同性である女性からの風当たりも決してやさしいものではないようです。

つわりがひどく、休みがちになった際「あの人を特別扱いするなんて不公平だ」という言葉がかけられてしまったなんてケースも。周囲がみんな、快く理解してくれるという状況は、まだまだ遠い道のりのようです。

また、出産後の仕事復帰の際にも、「想定外」の事態が待ち受けています。フリーランスのため自宅で仕事ができるという人でも、仕事をしようとすると赤ちゃんは起きてしまったり、泣き止まなかったり。とても仕事に集中できる環境ではありません。また会社に復帰したものの、赤ちゃんが急に熱を出し、仕事に穴をあけてしまうといったことも繰り返し起こります。

お金のことは事前に準備できる

妊娠・出産は、先が読めない状態が続くことでストレスになってしまいます。とはいえ、想定外のことばかりでもありません。

そのひとつとして、出産前にかかるお金の準備や公的資金の手続きがあげられます。制度を理解しておけば、お金の不安が減らせます。では、いったいどのようなお金をもらうことができるのでしょうか。

みんなが受けられる制度

妊婦健康検査費用の助成金

母子手帳を交付される際、妊婦健診費用を助成する補助券が各市区町村から交付されます。

妊婦健診は基本的に10割負担なので、ありがたい制度です。ただし、回数が決められているので、使い切ってしまった場合には実費となります。

出産育児一時金

出産する際、健康保険組合からは出産育児一時金として、子供1人につき42万円が支給されます(ただし、産科医療補償制度未加入の医療機関で出産した場合は40万4000円となります)。

保険組合から直接、医療機関に支払うことができる場合もあります(直接支払制度)。入院の際に費用の差額を支払えば良いので、大きな金額を用意せずに出産できるというメリットがある制度です。直接支払制度があるか、どのような手続きが必要か、確認しておきましょう。

会社で働く人が受けられる制度

出産手当金

会社員の場合、産休中に健康保険から給与の代わりに支給されるのが、出産手当金です。

金額は、標準報酬日額の3分の2の金額で、最大で98日分(出産日以前42日から出産の翌日以降56日目まで)支給されます。多胎出産の場合は、最大154日分(出産日以前98日から出産の翌日以降56日目まで)となっています。手続きは会社でおこなうもので、自営業やフリーランスにはない制度です。

育児休業給付金

出産手当金同様、会社員が受け取れる制度です。一般的に「育休」と呼ばれる「育児休暇」は、子どもが1歳になるまでの期間中に申請することで取得できます。ただし、会社で働いていれば全員が取得できるのではなく、いくつかの条件があります。

同じ事業主に1年以上連続して雇用され、子どもが1歳の誕生日を迎えた後も引き続き雇用が見込まれるなどの要件を満たした人が対象となります。

このほか、子どもが1歳6か月の時点で保育園に入所できなかった場合などは、最大2年まで延長することも可能です。手続きには、各自治体から発行される保育園の入園不承諾通知などが必要なことが多いので、捨てずに保管しておきましょう。

おわりに

育児に関して、どんなに準備していても「まさか」は起こってしまいます。出産という大きな山を乗り越えても、子育てをしていく限り苦労はまだまだ続きます。思い通りにいかないことが連続する子育て。これらの「まさか」を乗り越えるには、柔軟な対応力を身に着けていくしかありません。

ですが、見えない不安ばかりに気を張っていては疲れてしまいます。「お金」に関することは事前に調べておくこともできるので、ある程度見通しを立て、少しでも疲れを和らげてみてください。

LIMO編集部