転職にはリスクが伴います。転職する人も受け入れる企業も、相手のことをよく知った上で決めることができれば、リスクは大幅に軽減されるでしょう。そのためには、面接を重ねるよりも、実際に働いてみることが役立つはずです。
大企業で経理の仕事をしてきた人が、転職後にノウハウを生かして中小企業の経理の仕事をするならば、お互いにとってメリットは大きいでしょう。その際に、人間関係や仕事内容等々に問題ないか否かを確認できるなら、素晴らしいことです。
転職ではなく、起業にも副業の経験は役に立つはずです。たとえば定年後に喫茶店を開きたいのであれば、副業として喫茶店で働いてみる経験は、大いに役に立つはずです。
実際に働いてみなければ、どんな準備が必要なのか分かりませんし、仕事が自分に向いているか否かもわかりません。客が来なかった時に倒産の恐怖に耐えられるか否か、といった気持ちの問題も、体験してみた方が良いに違いありません。
そして、喫茶店のマニュアルに書いてあることは、過去の多くの失敗の経験をもとに決められたノウハウの塊でしょうから、「失敗は成功の源」を容易に入手することができるわけです。
転職先では神妙に
余談ですが、転職先では頭を低くしていることが重要です。企業人として年功序列の世界に長年住んでいると、年長者は意識しなくても態度が大きくなる場合が少なくないでしょう。
転職先で大きな態度をとると、「迷惑な年寄り」と認識されてしまいます。ただでさえ、大企業に勤めていた人が中小企業に馴染むのは大変なのですから、慎重に行きたいものです。
今までの経験を伝える時にも、「郷に入りては郷に従え」を基本として、控えめに提案する、といったことを心がける必要がありそうですね。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。
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塚崎 公義