物価上昇が続くなか、70歳代のシニア世帯では「年金だけで生活できるのか」「貯蓄はどのくらい必要なのか」と不安を感じる人も少なくありません。

特に2026年度は年金額の増額改定が行われる一方で、食費や光熱費など日常支出の負担感は依然として重く、家計の個人差も広がっています。

実際、70歳代の金融資産には大きな差があり、平均額は高水準でも「中央値」で見ると現実的な水準は大きく異なります。

本記事では、70歳代の貯蓄平均・中央値、厚生年金や国民年金の平均受給額、夫婦世帯の家計収支データを整理しながら、老後のお金管理や活用できる公的制度についてわかりやすく解説します。

1. 70歳代の貯蓄額の平均・中央値

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」によると、70歳代二人以上世帯の貯蓄額の平均値は2416万円、中央値は1178万円です。

※なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

二人以上世帯の金融資産保有額1/3

二人以上世帯の金融資産保有額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

一方、貯蓄ゼロ(金融資産非保有)と回答した世帯も一定数存在し、70歳代では約1割程度に上ります。老後資金に余裕のある層と、ほとんど貯蓄がなく年金に頼って生活している層に二極化しているのが実態です。

2. 70歳代の年金月額はどのくらい?

厚生労働省の調査によると、70歳代の厚生年金受給者の平均額は以下のとおりでした。

70歳代の厚生年金受給者の平均額2/3

70歳代の厚生年金受給者の平均額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

70歳代の厚生年金受給額は月額14万〜15万円台が中心です。

多くの方にとって、年金だけですべての生活費をまかなうのは現実的ではありません。他の収入を得たり貯金を取り崩したりして、不足分をカバーする必要があります。

3. 毎月の生活費と家計収支の実態

総務省「家計調査」によると、65歳以上の夫婦のみ世帯における、月の消費支出は25万〜26万円程度です。夫婦を合わせた年金収入が20万〜23万円程度であれば、毎月2万〜5万円程度の赤字が発生する計算になります。

65歳以上・夫婦のみ無職世帯の家計収支3/3

65歳以上・夫婦のみ無職世帯の家計収支

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」

この不足分を貯蓄で補いながら生活しているのが、多くのシニア世帯の実情です。

月3万円の赤字が続いた場合、約20年分の生活費補填に相当する720万円が必要になります。長寿化が進む現代においては、貯蓄の取り崩しペースを意識しながら家計を管理することが、老後の安心につながります。

4. 老後の家計管理のポイント

70歳代になって貯蓄が少ないと感じても、支出の見直しによって家計を改善できる余地があります。固定費(保険料・通信費など)の削減、医療費の高額療養費制度の活用、各種給付金の申請漏れをなくすことが有効です。

また、就労収入がある場合は在職老齢年金の仕組みを理解し、年金が減額されないよう収入コントロールを意識することも大切です。老後の資産寿命を延ばすためには、支出管理と公的制度の有効活用が欠かせません。

5. まとめ|70歳代の貯蓄・年金・生活費を把握し、自分に合った老後設計を進めよう

70歳代・二人以上世帯の中央値は1178万円ですが、夫婦世帯では毎月2万〜5万円程度の赤字が生じやすく、貯蓄を取り崩しながら生活しているケースが多いのが実情です。

老後の家計を守るためには、固定費の見直しや高額療養費制度・各種給付金の申請漏れをなくすことが有効です。「申請すればもらえる」制度を見逃さないよう、市区町村の公式サイトや広報誌を定期的に確認する習慣をつけましょう。

貯蓄額に関わらず、公的制度を賢く活用することが老後の安心につながります。

参考資料

柴田 充輝