残業時間が短くなったしわ寄せを、残業代以外のことに感じることもあるようです。ある証券会社のプロモーション部門で働くCさんは、「定時になると上司に急き立てられるようにして帰るので、毎回終わらない仕事で泣くハメになる」と苦々しく語ります。
仕事が終わらないまま帰ることで残務が積み上がっていき、ほかの人に迷惑をかけることもあるのだそう。さらに大変なのは、上司が定時を過ぎたら問答無用で帰宅させるため、本当に大事な仕事も時間が来てしまったら中断せざるを得ないことなのだそう。
「当然、優先順位の高いものから処理していきますが、それでもやっぱり残務が積み上がってくると優先順位が高いにもかかわらず着手できないものもたくさん出てくる。迷惑をかける相手が社内の関係者だけならまだマシですが、最近は社外の人にも迷惑をかけてしまうことがある」とCさんは落ち込みます。
確かに仕事が多く、時間が足りないせいで関係者にしわ寄せがいくということも起こりうる話ですよね。「上司は、お前の仕事の仕方が悪いのだと切り捨てるように言いますが、上司が知らないような細かい作業とかほかの人の仕事を押し付けられたりとかもするので、思うように進まないこともある。それなのにそんなふう言われてしまうと仕事に対するモチベーションが下がる」と嘆いていました。
家に帰りたくないフラリーマンの出現
テレビなどで話題になったこともありますが、働き方改革後に「フラリーマン」になってしまった人もいます。フラリーマンとは、仕事が終わってもまっすぐ帰宅せずに街中でふらふらと時間をつぶすサラリーマンのこと。人によって事情はさまざまですが、早く帰っても自宅に居場所がないことが理由だとも言われています。
フラリーマンになってしまったというシステムエンジニアのDさんは「これまでは仕事が遅くて、そのまま上司や同僚と一杯飲んで帰るというのが習慣だったので、ほとんど夕飯を家で取らなかった。しかし、早く帰ると夕飯を家で食べるようになって、共働きの妻に『自分ひとり分だったら適当でいいけど、あなたがいるとそうはいかないから大変』と言われてしまった」とぼやきます。
共働きで奥さんの仕事もそれほど早く帰れるわけではないので、奥さんの言い分もわかるとDさん。「手取りは減ったのに負担を増やして申し訳ないと思ってしまう」のだと話していました。
まとめ
「働き方改革」と一概に言いますが、その影響には様々なものがあるようですね。残業代減のように直接生活に影響を与えるものもあり、全員が全員「働き方改革」を支持できるわけではない状況がうかがえます。とは言っても、今はもう「働き方改革」が時代の流れ。不満に感じることもありますが、それをうまく乗り切っていくしかなさそうです。
大塚 ちえ