次に、子どもにかかる「生活費」について見ていきましょう。旧AIU保険(現AIG保険)『現代子育て経済考』2005年度版では、出産から一般的な大学卒業年齢である22歳までの養育費について、以下のようにまとめています。

・出産・育児費用 約91万円
・22年間の食費 約671万円
・22年間の衣料費 約141万円
・22年間の保健医療・理美容費 約193万円
・22年間のおこづかい額 約451万円
・こどもの私的所有物代 約93万円
合計:約1,640万円

上記を先ほどの教育費と合計すると、子どもをひとり大学卒業まで育てるのに最低限必要な金額は、約2,720万円となります。「幼稚園から大学まですべて公立」という一番安い教育費で済んだ場合でもこれだけかかるというわけです。

なお、上記の養育費(生活費)は2005年の資料のため、消費増税後の現在は少し額が上昇していることが予想できます。食費や医療費なども、家庭や子どもの状況によっては上記以上にかかっている場合もあるでしょう。

教育費と老後資金を両立するには

このように多額の費用がかかる子育て費用と老後資金を両立するには、どうすればいいのでしょうか。

まずは夫婦で働き、少しでも多くの収入を確保することが肝心です。とはいえ、「子どもが小さい時期はできるだけ側にいてあげたい」、あるいは「どうしても預ける先が見つからない」という人もいると思います。

正社員が難しい場合でも、柔軟な働き方ができる仕事を探し、少しでも収入を確保できないか模索してみましょう。変化の速い社会に馴染んでおくためにもブランクは少なくしたほうが、ゆくゆくの仕事の選択肢の幅も広がります。

並行して、学資保険や税制優遇などの制度を活用した「資産運用」も考えてみましょう。子どもが大きくなるほど、教育費も生活費も多くかかるようになります。それに備えて貯蓄している方も多いと思いますが、超低金利が続く現在の日本では、貯蓄だけではなかなか資産を増やすことが難しい現状があります。

より効率的に教育費や老後資金を形成するには、教育費であれば利率のいい「学資保険」、老後資金であれば税制優遇制度がある「iDeCo(イデコ)」なども検討してみるといいでしょう。

まずは手始めに、夫婦で子どもの教育方針や老後のプランについて話し合い、自分たちの子育てや老後の生活にかかる大まかな総額を計算してみるのがおすすめです。自分たちのライフプランに沿って、効率的に資金を準備していきましょう。

【参考】
『平成30年度「教育費負担の実態調査結果」』日本政策金融公庫
『現代子育て経済考』2005年度版 旧AIU保険(現AIG保険)

LIMO編集部