まずはこれが病気だと知るところから
自分の身体が異常だと感じていても、筆者はなかなか病院に行きませんでした。
ひとつは、自分が本当に病気であるのか分からなかったから。前述したとおり、筆者は元々小食で、一度にたくさん物を食べられない体質でした。そのため、今回の症状ももしかしたら自分の杞憂で、病院にかかるようなものではないかもしれないと思っていたからです。
もうひとつは、どんな分野の医者にかかればいいのか分からなかったこと。
成長して自分の症状についてインターネットで調べるまで、これが会食恐怖症という病気だということを知らず、精神科や心療内科で診てもらえるということを知らなかったのです。
「どうして食べることが怖いのか?」恐怖という感情について考えた
自分が会食恐怖症という病気だと知り、心療内科でのカウンセリングや投薬治療の傍ら、筆者は自分でも治す努力をしてみようと考えるようになりました。そして、そもそも「怖い」という感情がなぜ生まれるのかについて、独自に考えてみることにしたのです。
恐怖は「~が起こるかもしれない」という不確定なことや、知らないものに対する不安から生まれます。それなら、逆に挑戦してみて「これは怖いことではない」と心に教え込ませればいいのではないかと考えたのです。
今考えると我ながら荒療治だなあと思いますが、この考え方により会食恐怖症の症状が和らいだのも事実です。
無理に完治を目指さず、病気とうまく付き合っていく
会食恐怖症の症状に悩んでいる時は「どうして普通に食事ができないの」「普通のことができないなんて私はおかしい」と考えて落ち込みがちでした。その奥には、「治さなくてはいけない」というプレッシャーがあったのだと思います。しかし、悩む中で少し視点を変えてみよう、と思いました。
「人前でも全く食べられない訳ではない」「会食で少ししか食べられなくても、席で友人と話している時間は楽しい」というプラスの面に目を向け、「完治しなくても今より楽しく食べられるようになればそれでいい」という考え方に変えていったのです。
今でも筆者は誰かと一緒に食べるよりもひとりで食べた方が、食事の量としては多く食べられます。しかし会食に対しての苦手意識は薄くなり、友人たちと楽しく食事をし、さらには自分から知人を食事に誘えるようにまでなったのです。
まとめにかえて
会食恐怖症はあまり知名度が高くない上に、会食が楽しいものだと認識している人たちには理解されにくい病気だと思っています。
しかし、人間は食べなければ生きていきません。そして必須のことならば、その時間は楽しいものの方が良いはずです。
焦らなくてもいいし、無理もしなくていい。会食恐怖症に悩む人たちの苦しみがほんの少しでも和らいで、快方に向かえばよいと願っています。
竹橋 彩