増加する新興国の中流階級層と新興国拠点のクラウドファンディングプラットフォーム
クラウドクレジットは、2015年末に、アフリカのサブ・サハラ地域のカメルーン共和国への投資を開始することを発表しました。カメルーンの中小事業者に対する与信取引を行うOvamba Cameroon Solutions S.A.R.L.と業務提携を行い、同国の中小企業と日本の投資家をつなぐ役割を果たしていきます。
カメルーンのように資金需要旺盛な新興国は、経済的・社会的インパクトを求める投資家にとっては関心は高いはずです。しかし、日本に居ながらにして、新興国内の投資情報を収集することは容易なことではありません。
新興国への投資の難しさは、現在クラウドファンディングで集められているお金の9割以上は米国やヨーロッパなどの先進国にて調達され、そのほとんどが同じ欧米内で消費されていることからもうかがえます。先進国から新興国へのクラウドファンディングによる投資は、市場全体から見るとまだまだ小規模です。
こうした前例が少ない新興国への投資を行いたい場合は、どのような情報を頼りにすればよいでしょう。答えは、新興国が拠点のクラウドファンディングプラットフォームにあるかもしれません。
言わずもがなですが、新興国のことは新興国が最も良く知っています。特に、新興国の中でも今急増している中流階級層が注目に値します。新興国の中流階級層は、自国やその周辺国の投資機会を敏感にキャッチしています。そして、以下に紹介する、新興国を拠点としたクラウドファンディングサイトには、まさに新興国の中流階級層が盛んに関与しています。
小国が元気なアジアのクラウドファンディングプラットフォーム
アジアの人口における中流階級層の割合は、2030年までに現在の30%から64%に増えると予想されています。アジア各国のクラウドファンディングにまつわる法整備・規制緩和の進展次第では、アジアでも急速なクラウドファンディングの隆盛が見られるかもしれません。
アジアの中でもシンガポールは、最もクラウドファンディングプラットフォームの立ち上げが盛んな国です。Emerging Frontiersはアジアに特化せず、世界中の開発途上国のスタートアップ事業を支援するシンガポール発のプラットフォームで、モンゴルやミャンマーの中小規模の企業への融資が行われています。
Funded Hereはシンガポールベースで初の投資型及び融資型クラウドファンディングです。また、主にアジアの不動産への投資を可能とするプラットフォームには、CoAssetsがあります。
約60万の中小企業が存在するマレーシアではCrowdoが注目を集めています。さらに、アジアで最も革新的な国としてOECD(経済協力開発機構)の認定を受けている台湾ではFlyingVに期待がかかります。
共に東南アジア最大のプラットフォームと言われており、投資型クラウドファンディングを合法化するための政府へのロビー活動も積極的に行っています。
中小企業の発展を促す中東・アフリカのプラットフォーム
IMF(国際通貨基金)によると、最も経済成長が早い国10か国のうち、7か国はアフリカにあり、今やアフリカの人口の約3分の1が中流階級に属するとのことです。この成長の波に乗るために、アフリカへの投資を専門とするクラウドファンディングが増えています。
南アフリカのThundaFundは、起業家のスタートアップを資金面とビジネスノウハウ面の両方からサポートしており、これまでに140の起業家が資金を手にすることができています。
ドバイに拠点があるInvest Africaも、起業家の資金調達を助けると同時に彼らへのメンタリングサービスも行っています。
中東でクラウドファンディングにオープンな国としては、アラブ首長国連邦があげられます。Eureecaは今年、英国の金融行為監督機構(Financial Conduct Authority: FCA)のライセンスを取得しており、中東の中小企業や、中東出身者が経営する英国ベースの事業への支援が増えることが期待されています。
このように、欧米を拠点に拡大しているクラウドファンディングは、経済成長著しい新興国でも広がりを見せています。これらの新興国の中流階級層と新興国を拠点としたクラウドファンディングの増加に伴い、日本の投資家にとってアジア、アフリカ、中東などの地域の情報はよりアクセスしやすいものになるでしょう。
新興国の投資機会を知るために、これら新興国拠点のクラウドファンディングプラットフォームのサイトを訪問してみてはいかがでしょうか。
出所・参考:Tadhg Walker (2015) Crowdfunding Emerging Markets
【2016年1月27日 クラウドクレジット】
クラウドクレジット