円高警戒で反落するが21,000円台を維持した日経平均
2019年6月21日の日経平均株価の終値は、前日より204円22銭安の21,258円64銭となりました。3日ぶりの反落です。ただし、目先意識されやすい21,000円台はキープしました。
先週注目されたのは19日まで開かれた米連邦準備理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)です。FOMC後の声名や議長会見により、早期利下げの可能性が示唆されたことから米長期金利が低下。投資家の間に、株式市場への資金流入が続くとの見方が広がり、米株が広く買われました。
S&P500種株価指数は20日、約2か月ぶりに最高値を更新。21日にはダウ工業株30種平均が昨年10月に付けた最高値を一時上回る場面もありました。
日本株は最近、米株の動きに連られる傾向がありますが、このところの米株の上昇について行けていません。理由は円高です。米国の利下げ観測にともない、ドルが売られ円が買われる展開になっています。20日のニューヨーク外国為替市場では、円相場が一時1ドル=107円前半と、1月上旬以来の水準まで上昇しました。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。大きなイベントとしては、28日~29日に大阪で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)があります。G20が日本で開かれるのは初めてです。
主要国の首脳が一堂に会し、貿易、環境など、さまざまな議論が行われますが、むしろ注目されるのは2国間の会談など、サミットの外での外交です。トランプ米大統領は18日、G20で中国の習近平国家主席と首脳会談を開く予定であると表明しました。貿易に関する協議が進展する期待もあります。
一方で、会談によって両国間の貿易摩擦が一気に解消することも考えづらいところです。さらに米国はG20で、中国の人権問題について厳しい姿勢を示すとも見られており、中国が反発する可能性もあります。米中間の会談に成果がなかった場合は、失望感から相場が下落することもあるので注意したいところです。
75日移動平均線を回復できれば戻り相場へ
先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週は25日移動平均線にローソク足がかかりながらも引けにかけては回復するといった動きで、下値サポートを感じさせました。
18日にやや長めの陰線となりローソク足の実体が25日線を下抜けました。このまま25日線を回復できないと、再び下降トレンドラインが形成されてしまいますが、19日には窓をあけて上昇しました。週末には陰線となりましたが、窓埋めの水準には達しませんでした。上昇への勢いを感じさせます。
今週以降の展開はどうなるでしょうか。先週は、反発したものの75日線に上値を押さえられてしまいました。75日線はこれまで2018年11月8日、同12月3日と二度にわたって上値を押さえられ下落したという経緯があります。逆に今年3月11日、3月25日には75日線に下値をサポートされるような動きもありました。そういった点では75日線を超えることができるかが一つのポイントになりそうです。
5月20日の高値(21,430円)はいったん超えていますので、2発目、3発目の波で75日線を上抜ける可能性も高いでしょう。いったん75日線を抜ければ、今度は下値サポートラインに変わることが期待できます。
その場合の上値めどとしては、4月24日の高値(22,362円)、前述した11月、12月の高値の22,600円付近となります。逆に下値めどとしては、21,000円が意識されますが、21,000円付近では押し目買いの動きもあります。75日線と25日線の間の値幅は400円ほどしかありませんので、本格的な出動は、上下どちらかに抜けてからでも遅くはないでしょう。
下原 一晃