このように、先生たちは居残りさせると親からクレームがくることもあるので、居残り勉強を避けて問題を作らないように配慮しているのです。保護者との衝突のタネを撒かないよう、日頃から居残りがないような指導を心がけているのを感じています。

その一方で、筆者の周囲でも、下校時間と近い時間帯に習い事を入れないようにしている親は多くいます。一方、習い事に特に人気があるのは、短縮授業の多い水曜日です。「平日に通わせるなら、子供が確実に行ける曜日を」と狙っています。

働き方改革の影響も今後大きくなってくる

習い事だけではなく、先生たちを取り巻く状況によって居残り勉強がしづらいくなっています。

働き方改革の導入で朝の通勤時間も変化が起きた

子供の習い事の他に、政府主導で進めている働き方改革も影響していると考えられます。筆者の上の子が低学年だった頃、先生方も朝早くから学校にきていました。しかし、ここ2年は「あまり登校時間より早く学校に来てはいけない」と何度も指導されているようです。

子供達も、「○○先生は自転車で学校に来ている」とよく口にしています。生徒の登校時間とさほど変わらない時刻に先生たちも通勤していることになります。一昔前では信じられない光景ですが、現実として起きているのです。

居残りがあると業務が遅れる

居残り勉強があると、先生の実務時間が減ってしまうのは当然のことです。残業時間も厳しくチェックされるようになっています。生徒を放課後に残さないためにも、忘れた宿題や再テストは登校時間内に済ませるようにしています。

子供達の話によると、先生方は生徒に教室内にいつまでも残らないように指導をし、早めに教室や昇降口を施錠しているそうです。

まとめ・皮肉にも小学生と先生の目的が一致している

かつてのように、教室に残って友達とダラダラ会話をしたりする時代は終わったようです。保護者とのトラブル回避や働き方改革の影響を受け、居残り勉強のある学校は減少していくと思います。

忙しくなった小学生と、余裕ある仕事を目指して改革中の先生方を取り巻く環境は真逆ですが、双方の利害が一致するという、何とも皮肉な状況になっていると感じてしまいます。

中山 まち子