• 同期や先輩・後輩との競争が厳しい
  • 良くも悪くも年功序列
  • 配属の希望が必ずしもかなわない
  • 部署ごとの役割分担が明確で分業化されており、自分が携われる仕事の範囲が限定的
  • 作業の比率が高く、自分の市場価値(マーケット・バリュー)を上げる仕事に関われない
  • 転勤が多く、広範囲にわたる

大企業に入社することで自分の希望の仕事内容や職種がある一方で、必ずしも最初から希望通りに配属されるとは限りません。中には、いわゆる「歯車」でしかないと感じる職場もあるはずです。大規模な企業であるほど、入社した直後は研修ばかり、試験ばかりとなるケースも多く、これでは学生なのか社会人なのか、実感がつかめないと不安を感じる人もいるでしょう。「まずは3年、5年働き続ける」「今の仕事を覚えることが先」…と言われても、将来本当に希望が叶うものなのか、先が見えにくいのも大企業ならではの特徴なのかもしれません。

大企業の出世レース

どの企業にも出世競争はありますが、優秀であってもポストが限られていますので規模の大きい企業ほど厳しいものになります。

また、どの企業でも転勤はよくある配置転換ですが、出世コースと配置転換とが明らかにリンクされ、自分が出世の道から外れたことを配置転換で実感するケースも多くなります。

しかし結果が出ない人物でも、みんなの嫌がる事務作業を率先している努力が認められ、出世のルートに乗る可能性もあります。直球の競争では負けていても、社内で別のルートを模索できるという面も大企業ならではの可能性でしょう。

人事に人生を握られるという難題

そのような身の振り方を良しと思うかどうかは人それぞれですが、やる気を失って人事の通りに出向し、そのまま波風の起きないように人生を送るのか、なんとしてでも生き残って這い上がるのか、その人の選び方によります。

外資系の企業では、一定期間で昇進できなければ別の就職先を探す「アップ・オア・アウト」という考え方が一般的です。そのような変わり身になじまない感覚を持つ人が多いのも日本人の特徴でしょう。出世ルートから吐き出され、会社に一生を握られている。つらいが容易には転職できない…そういう目に見えないストレスにあふれているのが日本の大企業なのかもしれません。

どのような企業であっても、自分の努力や生き方に合っているかどうかを大切にしたい人もいます。若者が早々に切り替えていくのも、一つの考え方だといえるのではないでしょうか。

それでも大企業のメリットは大きい

戦後の日本企業では、大学から大手企業に入り年齢とともに年収が自動で上がり、賞与も福利厚生も手厚く安心して定年退職を迎えることができました。

しかし大企業でも「今のまま」が続くこと自体がもはや難しくなりつつあります。仕事人としての人生を追い求める選択肢も増えている時代でもあります。入社して数年で転職先を探す若者に対して「短絡的すぎる」という批判もあるでしょうが、同じ企業に定年まで勤めることがほぼ不可能となった現代では、道を探したい、進んでいきたいという人たちを制限することは難しいと言えるでしょう。

その一方で、上述した大企業のメリットは大きなものです。手に入る状況にいるのに、自ら手放すことによる後悔は必ずあるでしょう。中小企業に就職したら、フリーランスになったら必ずしも「自分らしく生きることができるのか」、よく考える必要があるでしょう。

【ご参考】大企業の定義とは

「大企業」という言葉は日常生活ではよく使いますが、実際に統一された定義はないようです。厳密にいえば、法律によって異なりますし、それらの法律でも「大企業」という使われ方はしていません。ここでは「中小企業基本法」と「租税特別措置法」で大企業を整理します。

中小企業基本法による中小企業は以下の定義が「中小企業者の範囲」ということになっています。さらに常時使用する従業員の数で「小規模企業者」というのを定義しています。したがって、これら以外が「大企業者」となります。

以下が中小企業者の整理となります。

  • 卸売業:資本金の額又は出資の総額は1億円以下もしくは常時使用する従業員の数100人以下
  • サービス業:資本金の額又は出資の総額は5000万円以下もしくは常時使用する従業員の数が100人以下
  • 小売業:資本金の額又は出資の総額は5000万円以下もしくは常時使用する従業員の数が50人以下
  • 製造業、建設業、運輸業、その他の業種:資本金の額又は出資の総額は3億円以下もしくは常時使用する従業員の数300人以下

また、以下が租税特別措置法の整理となります。

租税特別措置法(施行令第27条の4第12項第1号)によれば、「大規模法人」とは、「資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人」をいい、「中小企業投資育成株式会社を除く」とされています。

こうしてみると、いわゆる「大企業」は資本金や従業員数でみるのが良さそうですが、こと従業員数でもその規模が産業ごとであったりすることもあります。一概には言えなさそうです。

LIMO編集部