そもそもクラウドファンディングとは?
クラウドファンディングという言葉を聞かれたことはあるでしょうか? クラウドファンディングとは、お金を必要としている人がインターネットを通じて不特定多数の人(クラウド=群衆)から資金調達(ファンディング)を行う仕組みのことです。
私たちクラウドクレジットは、「世界」の資金需要者が日本の個人投資家の方から「投資」としてのお金を調達する、投資型クラウドファンディング・サービスを2014年6月から提供しています。
これまでもクラウドクレジットのウェブサイトでクラウドファンディングや途上国の金融、フロンティア市場の情報を発信してきましたが、2016年より投信1でもこれらについてご紹介していきます!
クラウドファンディングは使いやすさの追求へ
寄付型サイトのユーザー登録をしたけれど、一度寄付してからそれっきり…。興味のあるビジネスはいくつかあるが、投資しても管理が面倒そう…。こうした理由から、なかなかクラウドファンディングの利用に踏み切れない人は少なくないのではないでしょうか。
しかし、世界では、クラウドファンディングが人々にとってより身近なものになり始めています。2015年末時点の世界のクラウドファンディング運営者は、欧米を中心に約1,300以上。これらのプラットフォームは1年で約170億ドル(約2兆円)の資金を調達したと言われています。
2013年のクラウドファンディングの調達実績が約6.1億ドル(約730億円)ですから、2年の間に約28倍の市場へと膨らんだことになります。欧米では、クラウドファンディングに関する法・規制の整備や緩和が進んだことが市場を後押しするきっかけになりました。
しかし、急速な成長の理由はそれだけではありません。これからご紹介する、いわゆるクラウドファンディングの4類型とは異なる、進化した新しいタイプのサイトが頭角を現すようになり、これが利用者の増加に貢献していると思われます。
クラウドファンディング4つの基本型
まずはクラウドファンディングの基本の4類型のおさらいです。クラウドファンディングには主に4つの類型があることは、もはや世間では一般常識になりつつあるかもしれません。
上図の投資型とは、投資家がある事業のシェアを、クラウドファンディングを通じて購入するものです。これまでは事業一般への投資を投資型と呼んでいたものの、近年は不動産型の台頭が目立ちます。
Realty Mogulは、共創設者のジュリアン・モーグルが、フォーブス誌の「30 Under 30 (30歳未満の最も影響力のある30人)に選ばれるなど、注目度の高い不動産型クラウドファンディングプラットフォームです。
融資型は、投資家が個人(Peer-to-Peer:P2P)、あるいはビジネス(Peer-to-Business)に対して融資をするというモデルです。金額ベースでは最も大きな市場を形成しているクラウドファンディングです。
報酬型は、投資家に対してパークス(Perks)という金銭的リターン以外のモノやサービスインセンティブを与えるものです。
Pebble Technologyという企業が、アップルがスマートウォッチの開発の発表を行う前から、Kickstarterにてスマートウォッチの開発資金の募集を開始したことは、世界中から大きな反響を集めました。
同社は約8万人から24億円を調達しており、投資家への商品の出荷はすでに開始しています。
寄付型では、見返りを求めない共感や慈善というかたちで出資者から資金が集まります。2015年、Gofundmeでは、重度のアトピー性皮膚炎のモーガン君の治療のために844万円が集まりました。
4類型横断的な欲張り型クラウドファンディング
ここまでは既にご存知の方が多いかもしれません。しかし近年は、これらの4類型を横断する「欲張り型」サイトが、クラウドファンディングを人々にとってより身近な存在にしています。
まずは、ホワイトレーベル型です。ユーザーの目的に合わせてカスタマイズが自由にできる、4つの類型に縛られない、なんでもありのプラットフォームとお考えください。
Tiltでは、同じプロジェクトの中で、寄付を募ることもできれば、報酬型の商品開発の資金を募ることも可能です。寄付と開発資金の募集のタイミングが異なっても構いません。
たとえば、まずは商品デザインのために「寄付を募り、デザイン完成後に商品プロトタイプを製作するために「報酬型の資金を募ることもできます。Tiltではまだ融資の募集や株の販売は行われていないようですが、4類型のクラウドファンディングを1つのサイトで自由に組み合わせられるホワイトレーベル型サイトの出現はそう遠くないかもしれません。
ホワイトレーベル型サイトにより、出資者も募集者も、資金調達方法によっていくつもの異なるサイトを別々に使用・管理する必要がなくなるのです。
次に、アグリゲーター型とは、クラウドファンディングプラットフォームのスーパーマーケットとも言えるでしょう。Investupでは、約20の異なる投資型・融資型のプラットフォームから複数の出資先を選択し、ひとつのプラットフォームにて管理が行えます。
現在は投資型や融資型のアグリゲーターサイトが主流ですが、今後はあらゆる類型のプラットフォームへの投資が行え、さらにそこでポートフォリオの管理までできてしまうサイトも出てくることでしょう。
最後にイネーブラー型。Fundamericaは自らのことを“クラウドファンディングのインテル”に例えています。Fundamericaのツールを使えば、誰でも、あるいはどんな会社でも、簡単に資金調達が行えることが同社のコンセプトです。
このツールは、簡単に自分のホームページに組み込むことができます。また、資金募集者も出資者もマッチング成立までの手順を、簡単に、またクラウドファンディング法を順守するかたちで踏むことができる仕組みになっています。
イネーブラー型のアクターは、「自社のホームページでクラウドファンディング運用したい、でも仕組みを作ったり、法律について調べたりする金銭的・時間的余裕がない」という人々の救世主になることでしょう。
以上のように世界のクラウドファンディングプラットフォームは、これまでの4類型に縛られることなく、「欲張り型へと進化を遂げてきました。2016年もクラウドファンディングを盛り上げてくれるサイトや企業の顔ぶれは多様化しそうな予感です。
クラウドクレジットは現在、投資型のサービスを提供していますが、日本でも既存の概念を超え、私たちと共に市場を盛り上げてくれるプレーヤーが多く誕生することを願っています。
参考:
Mukund Mohan (2015) Crowdfunding Market - A Primer for Entrepreneurs
Surinderjit Kaur Bhatti (2015) Tracxn Analyst Notes # 129 - Crowdfunding
クラウドクレジット