2019年5月20日に行われた、ポート株式会社2019年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料①/IR資料② 質疑応答パートはこちら
スピーカー:ポート株式会社 代表取締役社長 春日博文 氏
2019年3月期決算説明会
春日博文氏(以下、春日):それでは、決算説明会を始めさせていただきます。代表の春日と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは決算説明資料と、先ほど(2019年5月20日)13時半に開示させていただいた事業方針説明資料の2点につきまして、私からご説明させていただきます。
まず決算説明会資料につきまして、ご説明に入らせていただきます。
あらためまして、我々ポート株式会社は、「世界中に、アタリマエとシアワセを。」というコーポレートミッションを掲げ、事業を展開しております。
世界中に存在するさまざまなリアル産業の社会課題を、インターネットメディアのテクノロジーとマーケティングを組み合わせて解決していく。そうすることによって、世の中にとって「無くてはならない」といわれる存在を創造していく。そのような会社を目指して、取り組んできております。
エグゼクティブサマリー 2019年3月期 決算
2019年3月期の決算のエグゼクティブサマリーとなります。
まず業績予想につきまして、想定どおりに着地したという結果になっておりまして、売上高が30億3,900万円、営業利益が5億4,200万円となりました。4期連続で赤字だったところから、今期は大きく黒字転換に成功することができました。
そして、キャリア領域・ファイナンス領域の2つの領域が、我々の主軸の事業となっておりますが、それぞれの領域における各種KPIに関しましても、すべて好調に推移し、全サービス好調な結果で終えております。
また、IPO時の公募増資や借入等も実施しておりまして、現預金は2018年3月期末対比でプラス279パーセント、自己資本比率は60パーセントという結果になっております。
業績ハイライト 2019年3月期
続きまして、今お話ししたところと多少重複しますが、通期決算概要につきまして申し上げます。
特記事項は、インターネットメディアの複数領域における増収増益となります。売上高が30億3,900万円、営業利益が5億4,200万円、経常利益が5億1,700万円、当期純利益が5億4,900万円となっておりまして、業績予想に対してもほぼ進捗どおりに推移したと思っております。
売上高年次推移 2019年3月期
また、売上高の推移に関しましても、現在までの約3ヶ年に関しましては、年次で10億円ずつほど増収という結果となっており、それぞれのサービスが非常に大きく成長しているフェーズに入っている状況となっております。
ビジネスモデル①
あらためまして、我々の今の収益のメインとなっているインターネットメディアのビジネスモデルについて、ご説明させていただきます。
我々のビジネスモデルは、まず領域に特化したインターネットメディアを複数展開しています。そして、そのインターネットメディアにユーザーが訪れて、そこからインターネットメディア情報に掲載しているコンテンツを読み、その後広告情報に申込や予約等をすることによって、我々は成課報酬型で収益を頂戴しているモデルとなっております。
そのため、アクセスをただ単純に集めるというよりも、送客、いわゆる申込に繋がりやすいアクセスをどれだけ集めるかというところが、非常にポイントとなります。まずは、送客の転換率の高いコンテンツをいかにつくれるか。そして、それによるアクセスをどれだけ集められるかというところを起点にしております。また、そのような転換率の高いキーワードのコンテンツを書いたうえで、実際に送客するコンバージョン率をいかに高めるかというところも、ポイントにしております。
現在はこのようなビジネスモデルで、サービスとしてはキャリア領域・ファイナンス領域・メディカル領域の3領域でビジネス展開を行っております。また、現在収益の軸になっているものとしましては、キャリア領域とファイナンス領域の2領域になっております。
サービス一覧
また、我々のビジネスモデルの1つの特徴として、領域特化型のインターネットメディアをどんどん横展開していくだけではなく、領域特化型のメディアを通じて獲得したデータを、自社で「リアルプロダクト」と呼んでおりますが、実際に自社プロダクトを開発し、我々のメディアから自社のプロダクトに直接送客するというビジネスモデルも展開しております。
成長戦略
そのため、我々の成長戦略は非常に複合的です。
まずは、領域特化型のメディアを横展開していくことによって、収益を拡大していきます。それだけではなく、この領域特化型のメディアの上に、実際にリアルプロダクトを開発していく。前期からもそうですが、このような事業方針を、今期以降はさらに強化していく戦略でございます。
領域別売上高
次に、領域別売上高に関してご説明申し上げます。
それぞれメディアとリアルを含めておりますが、キャリアに関しても昨年対比ベースでプラス48パーセント、ファイナンスも昨年対比プラス73パーセント。また、「その他」はメディカル領域と、この後ご説明させていただく新規メディアの成長によってプラス411パーセントと、すべてのサービスにおいて、大幅に増収を達成できているところでございます。
経常利益年次推移 2019年3月期
続きまして、経常利益の年次推移につきましてもご説明させていただきます。
後ほどご説明させていただきますが、我々にはストック型ビジネスモデルという、メディアビジネスの高収益の体質を示す1つのビジネスモデルの特徴がございます。
我々は昨年度(2018年3月期)の第4四半期から黒字転換し、今期は大きく黒字を出している。昨年までの投資フェーズから、一気に収益化フェーズに入っているというのが特徴でございます。
ストック型のビジネスモデルについて
当社のビジネスモデルの特徴である、ストック型のビジネスモデルについてご説明させていただきます。
我々の参入するインターネットメディアに関しましては、「流行に左右されにくい領域を扱う」というところをメインにしております。例えば、いわゆるニュースサイトなどは、基本的には速報的な情報を流していきますので、今日書いたコンテンツの価値が、基本的には今日以降、どんどん廃れていく特徴があると思います。
我々は、ニュース情報のような陳腐化されやすいコンテンツを書くのではなく、常に何年も読まれ続ける、不変性の高いコンテンツを作っていくというところを主軸にしておりますので、基本的には去年、そして一昨年と書いてきたコンテンツが、未だにアクセスを獲得しております。
それによって、結果として収益を継続的に増加させることができるというところから、先ほどお伝えさせていただいたように投資フェーズを終えると、一気に収益化フェーズに移行していくことができます。
ストック型のビジネスモデルについて
(ストック型のビジネスモデルについて)こちらの図でもご説明させていただければと思います。
まずメディアを展開する上で、不変性の高いコンテンツには投資コストがかかりますので、コンテンツに積極的に投資していきますが、収益化フェーズに入ったタイミング、いわゆるコンテンツのストック化がほぼできたタイミングで、新規コンテンツの作成をストップし、過去に書いてきたコンテンツのみでアクセスと収益を獲得していくことができるようになっております。
このビジネスモデルにおいては、現在キャリア領域の就活ジャンルに関しましては、新規コンテンツ開発はすでにストップしている状況であるため、大きく収益化が実現できているところでございます。
広告宣伝費売上高比率
また、我々の1つの指標として、売上高に対する広告宣伝費比率を見ておりますが、前年対比ベースで約10パーセントほど減少しています。
つまり、これもコンテンツがストック化し、アクセスが獲得できてきているということです。ストックでアクセスが伸びてきていることによって、広告宣伝を通じたアクセス獲得を縮小していっても、売上高が順当に成長していくモデルになっていくところから、コンテンツのストック化による投資の縮小と広告宣伝費における縮小の2つがかみ合って、売上高の成長に伴い、利益も大きく伸長している状況でございます。
四半期業績推移 2019年3月期
また、四半期の業績推移になりますが、第4四半期が非常に需要期になっております。
とくにキャリア領域の就活ジャンルに関しましては、毎年3月に就職活動がスタートすることもありまして、その1~2ヶ月前の、とくに我々で言うと1-3月(第4四半期)のタイミングが、顧客である人材会社の各社さんから「ユーザーを集客したい」という需要が非常に大きいところです。我々のメディアからさまざまな人材会社さんに送客する量が非常に高まります。
送客数が高まると、その結果、収益が上がります。この第4四半期は、年間のなかでもとくに大きく成長を実現できたことによって、通期業績に関しても想定どおりに進捗したというところが、今回の通期業績のサマリーとなっております。
収益拡大における重要なポイント
続きまして、各種KPIについてご説明させていただければと思います。
我々のビジネスモデルは、基本的にはいわゆる送客成果報酬のビジネスモデルになっておりますので、送客件数×単価によって売上高が構成されています。
なので、送客件数を上げるために、アクセス数を上げるところは当然重要になるのですが、単にアクセス数を上げるのではなく、いかに送客に繋がりやすいアクセスを集めるかがポイントになっております。
もう1点は、コンバージョン・レート(CVR)と言われるものです。こちらは、ユーザーがコンテンツを閲覧してから実際に申し込みをするときに、申し込みをする率を示すコンバージョン率がいかに高いかが重要なKPIになっています。
領域別KPI推移(キャリア領域)
こちらのKPIをベースに、それぞれの領域につきましてご説明させていただきます。
まずキャリア領域に関しましては、「会員数」を1つのポイントに挙げています。こちらは、就職活動生の会員数です。なので、アクセス数だけではなく実際に会員化しているところがキャリア領域の特徴でございますが、こちらは昨対ベースでプラス45パーセントとなりました。
こちら(のグラフ)に実数を記載していますが、2019年度3月末のタイミングで卒業したユーザーが20万人を突破しています。こちらの会員数が伸びていくと、結果的に送客件数が伸びていきますので、とくにキャリア領域に関して、我々はこの会員数を追っています。
今は約20万人となっています。もちろんさまざまな指標のデータがあるのですが、だいたい就職活動生が約60万人から65万人ほどと言われていますので、約3人に1人の学生に我々のキャリア領域のサイトをご利用いただいている状況となっています。もちろん、この会員数は、今期も引き続き成長させていこうという方針でございます。
もう1点が、会員1人当たりの月次平均売上高をポイントに置いています。こちらのイメージとしましては、就職活動の領域の場合、1人の学生がさまざまな企業にエントリーしますので、我々はその「1人の会員ユーザーさんが、何社にエントリーするか」も非常に重要なKPIになります。
この1人当たりの月次の売上高をどれだけ高めていくかも(重要で)、3人に1人が会員になっていますので、ここから当然会員も伸ばしていくのですが、この会員の伸びだけではなく、いかに1人あたりの送客件数・1人当たりのエントリー回数を高めていくかも、このキャリア領域のポイントになります。
領域別KPI推移(ファイナンス領域)
続きまして、ファイナンス領域のKPI推移になりますが、送客件数が非常に好調に推移しました。
こちらはさまざまなコンテンツがストック化したことによって、コンテンツのオーガニックの収益もそうですし、併せてサイトのアクセス数を高めるための広告宣伝投資による送客件数の増加……「さまざまなチャネルの増強」と呼んでいますが、こちらによって、送客件数が昨対ベースでプラス57パーセント成長しました。
また、我々の特徴としましては、送客件数が高まると基本的に単価は上昇する傾向にあります。送客件数が増えていくと、クライアントさまからもインターネットメディアと提携するところに対する優先順位が非常に上がっていきますので、それによって送客数が増えると単価も上昇し、単価が10パーセント上昇したところの2点がかみ合い、収益を増強させました。
このように、キャリア領域・ファイナンス領域のそれぞれが全KPIで非常に好調に推移しているところから、キャリア・ファイナンスの既存メディアの成長の余地は、今後も十分に期待できるだろうと考えています。
貸借対照表 増減分析
続きまして、貸借対照表の増減分析になります。こちらは、2つのポイントのみご説明させていただければと思います。
まず、現金及び預金です。こちらがIPO時の公募増資及び借入を実施したことによって、大きく増加しています。
もう1点が、これも後ほどご説明させていただければと思いますが、我々が「リーガル領域」と呼んでいる新規メディア領域における事業買収を第4四半期に実施していますので、それによるのれんとソフトウェアが増加しています。
以上が、2019年3月期の業績のサマリーとなります。
2020年3月期業績予想 サマリー
続きまして、2020年3月期の業績予想の概要につきまして、ご説明させていただきます。2020年3月期の予想を、それぞれ上半期と下半期に分けて記載していますが、通期の業績予想についてご説明させていただきます。
売上高が38億1,900万円、営業利益が6億8,500万円、経常利益が6億3,900万円、当期純利益が5億4,300万円で、売上高・営業利益ともに増収増益と予想しています。
2020年3月期トピック
それぞれのサービスの成長が(2020年3月期の業績を)牽引しますが、トピックスとしては3点ございます。
まず1点目が、キャリア領域・ファイナンス領域の既存サービスの成長。こちらは先ほどもご説明させていただいたとおりですが、全KPIが好調に推移しているところから、まずは既存事業の規模拡大を最優先で行っていきたい。
これらの既存領域のみで、十分に成長が期待できるところでございます。こちらに関しては、上場後の資金使途としておりますが、今期(2019年の)4月から人員数を増加させています。その人員増を既存領域のサービスに充てていくことで、収益拡大を目指していきたいと考えています。
2点目に、新規サービスは、新規領域・新規ジャンルへ積極的にサービスを展開していきたいと考えていますので、早期収益化(を図り)収益に織り込んでいくサービスジャンルを増やしていくところに取り組んでいきたいと思っています。
そして3点目に、事業提携やM&Aを加速していきたいと思っています。こちらは既存・新規問わずですが、インターネットメディア事業のさらなる拡張を展開していきたいという方針でございます。
領域別売上高見通し_キャリア
領域別売上高の見通しになります。
まずキャリア領域に関しましては、前年対比で20パーセント増加を進めていきたいと思っており、22億5,800万円という業績を計画しています。成長していくポイントは、先ほどもお伝えしたとおりで全指標・全KPIの成長となりますが、それだけではなく、まずは送客効率の拡大、そして1人当たりの売上高を向上させていきたいと考えています。
また、今期はとくに組織を拡大していくところもございますので、新卒マッチングサービス(人材紹介サービス)に積極的に取り組んでいくことで、大きな売上高の成長を見込んでいきたいと考えています。
そして、今期は横展開した既卒・第二新卒等のジャンルの拡大です。まさに新卒の2019年度の約20万人ほどの会員はすでに卒業しているところで、その卒業会員ネットワークを活用していくことで、今期から既卒・第二新卒ジャンルの売上高を拡大していこうというところを、予算に織り込んでいきたいと考えています。
領域別売上高見通し_ファイナンス
続きまして、ファイナンス領域になります。
ファイナンス領域も前年度比で26パーセントの増加を見込んでいまして、今期は14億1,700万円となっています。こちらの今のメインは、カードローンジャンルになります。カードローンジャンルで、送客率の改善等で送客数を大きく増加させていくところを見込んでいくことと併せて、こちらも横展開というところで、FXジャンルの新規収益化に取り組んでいきたいと考えています。
我々の今の収益の大半は、キャリア領域の就活とファイナンス領域のカードローンの2ジャンルになっていましたが、今期からはキャリア・ファイナンスともに、キャリアは第二新卒・既卒領域、ファイナンスはFX。各領域で1ジャンルずつ、しっかりと新規投資・新規収益化していくことによって、領域における収益拡大に努めていきたいと考えています。
領域別売上高見通し_その他
領域別の売上高として、「その他」と記載しています。今後はこちらの「その他」のところに、新規ジャンルのメディアを織り込んでいって、ここで大きな収益を作ったタイミングで、領域として区分けしていきたいなと思っています。こちらは現在、大きく言うとメディカル領域とリーガル領域の2つで収益成長を見込んでいます。
メディカル領域に関しましては、「ドクターズダイエット」です。これは、オンラインのメディカルダイエットの新サービスになります。こちらのユーザー数を増加させていくことによって、売上高の増加を見込んでいます。
またリーガル領域は、第4四半期に事業買収したメディアをさらに成長させていくことを通じて、(「その他」全体で)今期は1億4,500万円、対前年比でプラス440パーセントを計画しています。
現在はこのようなかたちで、全領域・全ジャンルで収益をしっかり拡大させていくところをもって、今期の通期業績予想を達成していきたいという方針でございます。
費用内訳の推移(売上原価・販売費及び一般管理費)
費用の内訳につきまして、ご説明させていただきます。
一番大きいものは広告宣伝費、そして人件費となりますが、こちらに関しては大きな変動がございません。広告宣伝費/売上高比率に関しましては、前年と同様に約30パーセント付近を想定していきたい。新規メディアにも広告宣伝費を積極的に投資していくかたちになりますので、約30パーセントほどで推移させていく方針でございます。
人員数の見通し
人員数に関しましては、今期は20パーセントほどの増員になっていましたが、今後も20パーセントほどの増員を計画していきたいと考えています。
ここまでが、決算説明資料についてのご説明でございます。
当社が運営するインターネットメディアの紹介
続きまして、事業方針説明資料につきまして、ご説明させていただきたいと思います。一部、決算説明資料でご説明させていただいた部分と重複する箇所もございますので、そちらに関しては多少割愛させていただきながら、トピックをご説明させていただきたいと思います。
先ほどミッションに関してご説明させていただきましたので(割愛させていただき)、あらためまして、現在我々が運営しているインターネットメディアのご紹介でございます。これ以外にも新規ジャンルとして、積極的にさまざまなインターネットメディアを作っているのですが、主に運営しているメディアはこちらのとおりとなっています。
キャリアパーク、就活の未来、マネットカードローン、マネットFX、ミツカル保険、オンラインクリニック、債務整理の森、交通事故示談交渉の森
ビジネスモデル②
ビジネスモデルに関しまして、我々の展開しているインターネットメディアは、基本的に同様のビジネスモデルを横展開している状況になります。
まず、ユーザーがGoogleやYahoo!等の検索エンジンでコンテンツを閲覧しにくる。その読んでもらったコンテンツから、実際になんらかの広告へ申込・予約・購買。そのようなアクションを通じて、成果報酬で収益を頂戴する。このビジネスを横展開していくことが、基本的な事業方針になっています。
ストック型のメディア開発によるアクセス拡大
我々のメディアの特徴としましては、ストック型でメディアの収益の拡大が見込めること。
これは、(ニュース情報等と異なる)陳腐化されづらいコンテンツに積極的に投資していくことによって、(流行り廃りの)移り変わりのないジャンル・領域へのコンテンツ投資を通じて、コンテンツの陳腐化がされない状態で3年前、2年前、1年前……と、書いたコンテンツがどんどん積み上がっていくことによって、アクセスが増える。そのアクセスによって送客数が増えて、収益が上がっていくモデルとなっています。
ストック型メディアの収益モデル
そのため、損益分岐点を超えてからのコンテンツの投資は、我々は「リライティング」と呼んでおりますが、ほとんど(記事の)メンテナンスです。コンテンツのリライティングのみに特化して展開していくことによって、結果的に売上高が伸び、利益が乗ってくるということが、基本的な展開となっています。
事業戦略
事業戦略として、我々はインターネットメディア事業の横展開(水平展開と領域内展開)、そして縦展開(垂直展開)というかたちになっています。
まず横展開をしていく上で、我々の強みは何かと言いますと、キャリア領域・ファイナンス領域の2領域で収益を拡大できているところです。1領域・1メディアの1本足打法的になっているわけではなく、多領域でしっかりと収益を作れてきているところが、我々のインターネットメディアを作っていくノウハウの証だと思っています。
水平展開:成功させる当社の強み
このノウハウとは(何かと言うと)当然さまざまなものがありますが、インターネットメディアを横展開していくこともありますので、基本的には、コンテンツを作っていくオペレーションです。
例えば編集のオペレーション、SEO対策をするオペレーション、マッチングしていくオペレーション・システム。そのようなさまざまなノウハウは、基本的にすべて横展開し、同じオペレーションで回していくことができます。
なので、基本的には社内でもそうなのですが、例えばキャリア領域を担当していたメンバーがファイナンス領域に移ったとしても、同じノウハウを横展開できるので、新規ジャンルを作ったとしても同じメンバーを横展開していくのみで、メディアを開発していくことができるのが、我々の特徴となっています。
当然、我々はジャンルごとに専門情報サイトを展開しているので、専門側の横展開は難しく、コンテンツの監修等をしていただく専門家は各領域で集めていく必要はあるものの、ノウハウとしては、基本的には横展開が可能であるということです。横展開が可能という実績として、キャリア・ファイナンスそれぞれで、実際に収益化できています。
水平展開:展開イメージ
「具体的にどのような横展開ができるのか?」というところです。
基本的にはキャリア・ファイナンスの領域内でジャンルを横展開していくところもあるのですが、それだけではなく、例えば、結婚・その他冠婚葬祭・出産育児・介護・不動産、さまざまです。同じような戦い方ができるジャンルは存在しています。なので、我々は今後、領域内だけではなく領域外も含めて、積極的に展開していこうという方針でございます。
領域内展開:スモールバーティカル開発
また、領域内展開とはどのようなことかと申し上げますと、我々は1つの横展開の方針として、「スモールバーティカル開発」を掲げております。
いわゆるバーティカルメディアは、基本的に特定の領域に特化したインターネット情報サイトです。ただ、例えばキャリア領域の中でも新卒、中途のようにさまざまなジャンルが存在しております。
キャリア領域に特化したインターネットメディアを1個作るのではなく、「キャリア領域」という1領域に対して、先ほど挙げたような複数のジャンルに特化した、ジャンル特化型のメディアを「スモールバーティカル」と呼んでおります。
領域内展開:ジャンル展開イメージ
なので、1つのキャリア領域だけでも、さまざまなジャンルの参入余地がございます。
今は「キャリア領域」といいますと、「新卒ジャンル」と「第二新卒ジャンル」の2ジャンルに対して展開しておりますが、今後はこのキャリア領域の中でもスモールバーティカルの戦略をとっていくと、結果として「エンジニアデザイナージャンル」「パートアルバイトジャンル」「転職ジャンル」など、さまざまなジャンルに展開余地がある。
なので、インターネットメディアの横展開においては、まずキャリア領域とファイナンス領域におけるジャンル特化型メディアへ積極的に投資していこうという方針でございます。
垂直展開:展開イメージ
もう1つの特徴ですが、我々のインターネットメディアの行動データを活用して、実際のリアルプロダクトを作っていくというところでございますが、もともとインターネットメディアは送客サイトでございます。そのため、さまざまなクライアントさまにデータを送客して、その送客によって収益を頂戴するビジネスモデルでございます。
我々はこれらの行動データを活用して、「1次顧客」「2次顧客」と書いておりますが、1次顧客の機能を果たすようなサービスを実際に自社で開発して、一気通貫で2次顧客までサービスを提供することもできるということです。
垂直展開:キャリア領域における垂直展開
インターネットメディアの情報サイトを扱っていく情報メディアを展開して広告収益を得るだけではなく、実際にデータを活用してユーザーに対して直接的なサービスも展開していく第1弾のサービスとしては、キャリア領域のメディアから「キャリアパーク!エージェント」という、自社のデータを活用した人材紹介サービスを展開していくところにも取り組んでおります。
また、このようなメディアからリアルと縦に展開していくことによって、リアルなプロダクトの特徴としては、単体で広告宣伝費のコストをかけることなくサービス提供ができることから、非常に高い粗利率でサービス提供ができるということです。メディアの行動データを活用してリアルサービスを作っていくことで、売上高・利益の伸長にも大きく期待できるということが、我々の特徴になっております。
なので、メディアの横展開を通じて当然新規メディアの展開もやっていくのですが、それだけではなく、メディアのデータを活用して、いかにその上に粗利率の高いサービスを複数作っていくかもポイントになっております。
投資方針
そのようななかで、今後の我々の事業戦略に沿った投資方針につきまして、ご説明させていただければと思います。
我々の投資方針は、まずインターネットメディア……領域に特化したバーティカルメディアの横展開を、さらに加速させていくための投資を実行していこうというものです。今まではキャリア領域・ファイナンス領域と、自前で新規サービスとして投資して、コンテンツ・広告宣伝費に投資して、インターネットメディアを成長させておりました。
今後も引き続きそのようなかたちの投資もしていくのですが、それだけではなく、今回から次なる成長エンジンを外部からも積極的に取り込んでいくことによって、我々のインターネットメディア・バーティカルメディアのポートフォリオをさらに構築していく。それによって、我々のインターネットメディア事業の収益をさらに拡大させていこうという方針でございます。
インターネットメディアの横展開に積極的に投資していく方針とさせていただく理由が3点ございますので、そちらをご説明させていただきます。
投資根拠① 自社に強みがあり、成功確率が高い
まず1点目が、我々の今までの実績にあると思っております。
我々は、キャリア領域・ファイナンス領域の2つの領域でしっかりと成功・成長を実現できてきました。つまり、横展開可能なビジネスオペレーションがすでに構築されており、今後外から成長エンジンを取り込んだとしても、それを大きく成長させていくことができるようなビジネスオペレーションが中に存在していることから、非常に確率高く事業を成長させることができるのではないかと考えております。
この(FY2016からFY2018の)3ヶ年でも、キャリア領域・ファイナンス領域は非常に大きく成長してきております。そのようなところから、今後さらに既存領域を伸ばしていくところは当然あるのですが、この領域における新規メディアのジャンルや、キャリア・ファイナンス以外の領域のメディアに積極的に展開していくとしても、同じオペレーションを横展開していくことによって、大きく収益に貢献させたいと考えています。
投資根拠② スピーディな拡大・収益化が可能
また、新規メディアを作るところにおいて、当然今後も社内で積極的に新規投資をしていく予定なのですが、キャリア領域とファイナンス領域の2つの領域を成功させる上では、これまで未上場のタイミングでも積極的に投資してきておりましたが、当然やめたサイトも多々ありました。
なので、やはり成功確率というところは、新規のメディアを作っていく上で当然それほど高いものではありません。そうであれば、マーケットにある小規模で運営されていながら良質なメディアを、成功するタイミング・成長フェーズに入るタイミングで買収して取り込んでいくことにより、我々の成長オペレーションを横展開していくことによって、大きく成長曲線を高めていきたいと考えています。
なので、通常であれば売上高として横ばいあるいは多少伸びていくところに、ポートの組織力・資金力等を活かしていくことによって、大きく成長角度を高めていこうということでございます。
投資根拠③ 自社の事業戦略と親和性が高い
また、我々のビジネスオペレーションの横展開が可能であるということによって、その結果、サイトのアクセスを高めることもそうですし、送客成果報酬のビジネスモデルになっておりますので、送客率をどれだけ高めるかということもございます。また、我々は直接営業する営業チームも持っておりますので、それによって送客単価も向上させるということです。
また、当然ですが、我々のジャンルと同ジャンル、同サービスを取り込んでいくことも想定されますが、そうすることで送客件数自体がさらに高まっていくことにより、自社でこれまで持っていたサービスの送客単価も向上させていくことができるのではないかと考えております。
買収メディア選定方針
「それでは、具体的にどのようなジャンルを選定していくか?」でございます。買収メディアの選定方針は、主に4つ掲げております。
1点目に「高品質な情報」とありますが、「専門情報サイト」と言われるようなジャンルを想定しています。これは、コンテンツに対してどれだけ監修体制を導入していて、「非常に専門性が高い」とか「実際に体験した人が直接コンテンツを書いている」というところで、ほかのサイトと比べて、コンテンツに関連する優位性が非常に高いサイトであること。「我々が取り込んだ後に、コンテンツをすべて刷新する必要があるようなサイト」というよりは、「すでに高品質なコンテンツが提供されているサイト」を想定しています。
2点目は「行動促進型メディア」で、我々のビジネスモデルと同様の収益体制を持っていること。インターネット情報サイトは広告で収益を上げますが、基本的にはGoogleやYahoo!等の広告バナーをサイトに貼ってバナーの閲覧数に応じて収益を上げるモデルと、送客件数に応じて収益を上げるモデルの2パターンがあると思うのですが、我々は基本的に後者であり、送客によって成果報酬で収益を頂戴するモデルを取り込んでいく方針でございます。
3点目は「社会課題を抱えている領域」。これは、我々の「リアル産業の社会課題を解決していく」というテーマを実現していくためのインターネットメディアである必要があるということです。また、コンテンツがストック化していくという我々の特徴の1つを満たすこと。つまり、ファッション性が低くて、陳腐化されにくいコンテンツを作成するジャンルであるようなところを挙げております。
そして、「それでは、いくらで買うのか?」というところもあるのですが、「早期に投資回収が可能なジャンル」ということで、約2年から3年前後の早期で投資分の回収が見込めるサービス。これは当然シナジー効果があって、収益・サイトアクセスやコンバージョン率や単価が上がっていくと、もっと早く回収することも見込める。そのようなシナジーを織り込まずに、約2年から3年前後の早期回収が取り込めるメディアを想定していきたいという方針でございます。
買収に向けた取り組み
そのような買収に向けた取り組みとして、我々は自社のサイトでこのようなサービスサイトとの提携を加速させていきたいと思っていますので、積極的に自社でソーシングをしていき、コミュニケーションを取っていきながら取り込んでいこうという方針でございます。
リーガル領域への進出
それでは最後に、実際に前年(2019年3月期)の第4四半期で買収したリーガル領域への参入に関するご説明をさせていただき、投資方針のご説明とさせていただきたいと思います。
我々は、第4四半期のタイミングでリーガル領域……これは「その他」という領域に入っているところではございますが、こちらのメディアの買収、そして新規で領域に参入していく方針でございます。
キャリア・ファイナンス・メディカルと3領域で事業をやっており、キャリア・ファイナンスの2領域で収益化を実現していますが、今後はこのリーガル領域に積極的に進出していくことによって、第4の柱として収益に貢献したいと考えております。
こちらもスモールバーティカルという、ジャンルに特化したメディア展開を取り組んでいく方針でございます。現在リーガル領域においては、「債務整理」と「交通事故示談」の2ジャンルで展開を開始しています。
今後はキャリア・ファイナンスと同様に、このジャンルだけではなくさまざまなリーガル領域の領域内の横展開を、スモールバーティカルの方針で積極的に展開していく考えでございます。
リーガルメディアのビジネスモデル
こちらのビジネスモデルですが、まさに(これまでのメディア開発と)同様のビジネスモデルとなっています。つまり、我々のビジネスオペレーションをそのまま横展開していくことによって大きく成長が見込め、そして横展開して取り込みやすいジャンルでございます。
このメディアのリーガル領域は、ユーザーにとってあまり親しみがないジャンルになります。テキストや画像等の漫画コンテンツが最たるものですが、そのようなさまざまなコンテンツでユーザーにわかりやすく情報を提供し、多くのユーザーさんを集客し、専門知識の獲得等のサポートをこのサイト上で行っていく。
これはまさに、今のキャリア・ファイナンスとまったく同じビジネスモデルでございますので、非常に中にも取り込みやすく、このメディアのために新規の人員を採用するより、当然キャリア・ファイナンスでメディアを担当していた人間を横展開してメディアを展開していくことができているところも、新規の取り込みやすいメディアジャンルを買収したところ(のメリット)でございます。
なので、このようなかたちで、比較的今まで我々が取り組んでいたものについて、新規で作るか取り込んでいくかをフラットに見ていくことにより、よりさらに成長速度を高めていく1つの選択肢にしていきたいという方針でございます。
リーガル領域の買収案件の状況
実際、第4四半期から(2019年5月20日時点で)まだ数ヶ月でございますので、まだまだこれから成長角度をさらに高めていく必要があります。ただ、月間平均PV数を記載していますが、アクセスや平均売上高といったそれぞれの指標が、すでに我々のメディアのビジネスオペレーションに乗ったことによって、大きく成長を実現できているところでございます。
このようなところで、これも当然新規で作っていこうとすると時間もかかる中、ある程度サイト上の高品質な情報を展開できていて、ある程度アクセス数も獲得できているサイトを自社に取り込むことにより、我々の組織力やメディアビジネスを成功させてきた成功体験をベースに、よりさらに横展開していこうという方針でございます。
以上、このようなところを通じて、我々の今期の1つの事業方針としてご説明させていただきました。今後この2020年3月期は、インターネットメディア・バーティカルメディアをさらに横展開していく年とすることにより、業績を大きく成長させていきたいと思っております。
以上、私からのご説明とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
質疑応答:「その他」領域の利益貢献イメージは?
質問者:本日は大変ありがとうございました。3つほど、簡単にお聞きしたいです。20ページでご説明いただいた買収メディアですが、リーガルに続く具体的な案件を、いくつかお持ちなのでしょうか? これが1点目でございます。
2点目は、「その他」のリーガルとメディカルのメディアですが、利益貢献……要するに「黒字化する」とは、どのくらいの売上になったときが利益貢献してくるかという、だいたいのイメージです。おそらく早めに黒字化させるのではないかと思いますが、(例えば)だいたい2年後くらいなのか。そのあたりを、1つ教えてください。
3点目は、上半期は業績が減益計画になっています。これは例えば販促費用とか、上期に特別(な支出がある)とか、何かそのあたりの理由がありましたら教えてください。以上3点、お願いいたします。
春日:ありがとうございます。まず、買収メディアの展開に関しましては、今後積極的にソーシングをしていく想定でございますが、現時点で「このような特定のジャンルにおける買収が決まっている」という案件はございませんので、こちらに関しては決まり次第、必要に応じて即時に開示していきたいと思っています。
また、利益化に関しましてはリーガルとメディカルを合わせて「その他」としていますが、単体で申し上げますと、先ほどの「買収メディア選定方針」の中に「早期に投資回収」と記載しておりますとおり、基本的には2~3年分くらいで回収できる買収価格で購入しています。現時点でもまったく収益をあげていないわけではなく、ある程度、すでに収益貢献してきているところでございます。
比較的今期に関して、これを大きく読みすぎると当然業績予想にも影響が出ますので、ある程度保守的ではございますが、リーガル領域に関しても、多少なりとも収益に貢献するという前提で利益に織り込んでいます。なので、売上高と利益高にそれぞれ織り込んでいる感じになっています。
また、今期の上半期の利益については、今期は人員数が約20パーセントほど増加しています。基本的には(2019年)4月のタイミングで新卒採用を非常に強化していましたので、こちらの採用による販管費が増加しています。
質問者:わかりました。もう1つ、メディカルはどうなんですか? 利益率は。
春日:メディカル領域の利益貢献という話でございますか?
質問者:はい。
春日:これは現状、研究がある程度終わったタイミングです。今回、オムロン ヘルスケアさんとテレメディーズさんと一緒に、新規オンライン診療サービス(高血圧診療支援サービス)を開始させていただきました。当然、こちらは早期に収益化していこうと取り組んでいく想定なのですが、現時点では業績に織り込んでいない状況となっています。
質問者:黒字化は、2年後くらいを目安に……ですか?
春日:そうですね(笑)。
質問者:(笑)。
春日:当然、がんばっていきたいと思っています。
質問者:どうもありがとうございます。