2019年5月10日に行われた、株式会社オールアバウト2019年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社オールアバウト 代表取締役社長 江幡哲也 氏
株式会社オールアバウト 取締役 執行役員CAO 森田恭弘 氏
2019年3月期決算説明会
江幡哲也氏(以下、江幡):それでは、定刻になりましたので、株式会社オールアバウトの2019年3月期決算説明会を始めさせていただきます。私は、代表取締役社長・江幡です。よろしくお願いいたします。
もう1名出席者がおりまして、取締役執行役員CAOの森田です。
森田恭弘氏:森田です、よろしくお願いします。
江幡:それではさっそく、決算発表をさせていただきます。お手元の資料と前のスライドは同じものですので、こちらをもって説明いたします。よろしくお願いします。
それでは、まず決算ハイライトからまいりたいと思います。その前に、弊社は連結で決算を発表させていただいていますので、連結対象の企業構成についてアップデートさせていただきます。
本資料の前提となる連結対象企業構成
こちらの図にあるように、株式会社オールアバウトを中心に各連結子会社があります。それともう1つ、持分法適用の関連会社として日本テレビとの合弁会社、日テレ・ライフマーケティングがあります。このような企業構成群です。
この中のディー・エル・マーケットにつきましては、今期に事業撤退することを発表させていただいています。実質、昨年の12月ぐらいから事業を縮小していますので、ご留意いただければと思います。
オールアバウトグループのセグメント
このような企業群でいくつかの事業を行っていますが、大きく2つのセグメントで会計をしています。
1つが「マーケティングソリューション」セグメントです。ここに主だった事業のロゴが入っていますが、基本的には企業からの収益を中心としたセグメントで、主に広告マーケティングのビジネスをやっている事業群です。
もう1つが「コンシューマサービス」になります。こちらのセグメントは、主に個人の方から収益をいただく事業を中心とした事業群です。トライアルマーケティング&ECが中心のセグメントになっています。
この2つのセグメントに沿って、決算の報告をさせていただきます。
連結売上高の推移(年度)
最初に、連結売上高の推移です。
全体感として見ていただければと思いますが、通期ベースで7期連続増収ということで、売上につきましては過去最高となっています。
2019年3月期の決算ハイライト①
決算ハイライトの、まず数字のところです。
連結で、売上高が148億7,000万円、営業利益が1億1,600万円という決算でした。経常利益・親会社株主に帰属する純利益は、この表のとおりになっています。
この表の一番右側が、期中に修正を出させていただいた業績予想の数字です。予想に対して上回ることはできたのですが、最終の純損失が約3,000万円となりました。
2019年3月期の決算ハイライト②
内訳について、少しご説明していきたいと思います。
まず全体ですが、一言で申し上げますと、増収かつ大幅な減益という結果で、これは満足しているものではありません。
その中でも、中心であるマーケティングソリューションの中のメディアビジネスについては、従前からの流れの中で大きな転換を迎えています。その環境変化に対応した構造転換をしていく期だと考えていまして、この部分を進めることができたことが、一番大きなポイントだ思います。
売上の伸びにつきましては、こちらの通期連結業績のコメントの通り「サンプル百貨店」を中心としたコンシューマサービスが成長していることが増収要因です。
また、今申し上げたような事業構造転換に伴う新たな部分への投資。まだまだ我々は大きな規模を目指していますので、主に人件費が一番大きいコストになりますが、固定費増加がありまして減益になりました。
セグメント別で申し上げます。マーケティングソリューションにおきましてはいくつかの事業細目がありますが、主要な収益のひとつとしては、比較的利益率の高いプログラマティック広告というものがあります。こちらは主に、Googleのプログラマティック広告を表示してクリックされたものが収益になります。
また、弊社が作り出しているいろいろなコンテンツを他のプラットフォームやメディアにご提供して、その先で広告のレベニューシェアやコンテンツの販売というかたちで収益を得ています。これも比較的、粗利率が高いものです。
この粗利率が高い2つの収益が、実は2017年度に比べて減りました。事業ポートフォリオ上利益率が高いところが減りましたので、利益が減ったかたちです。
その中で事業構造転換に取り組んでいるのは、主に先ほどの話ですとGoogleなど、外部環境に依存せず自社でコントロールできるような事業領域の割合をもっと増やしていくことを図っています。主にコンテンツマーケティング系のビジネスの強化が進んできました。
また、コンシューマサービスですが、引き続きEコマースのマーケットは伸びていますので、その成長率にグリップする、それ以上伸ばすことを目指して、事業を推進してきています。中核のサンプル百貨店につきましては、おかげさまで売上は継続的に伸びています。
一方、外部環境というよりは一過性の内部要因なのですが、期中でいくつかオペレーション上の課題がございました。特に(2018年)12月から(2019年)1〜3月ぐらいにかけて、大きく利益に影響を与えました。
後述しますが、オペレーション上の課題については、回復に向かってきています。ただ、2018年度におきましては利益に影響を出してしまいまして、この2大事業が利益構造を毀損したことにより、トータルの利益が下がっています。
連結売上高の推移(四半期)
こちらが、四半期ごとの連結売上高の推移です。ピンクの部分がコンシューマサービス、グレーがマーケティングソリューションです。
連結営業損益の推移(四半期)
同様に、四半期ごとの連結営業利益の推移です。ご覧いただくとおわかりのように、第2四半期・第3四半期に利益が大きく下がっているわけですが、このあたりが、先ほど申し上げた要因が重なって発生したところになります。
全体感としてはこのような感じですが、セグメント別にもう少し掘り下げをさせていただきたいと思います。
マーケティングソリューションの売上・営業損益推移(四半期)
まずは、マーケティングソリューションです。
左側が売上高の四半期推移、右側が営業利益の四半期推移です。特に右側ですが、コンテンツ提供やプログラマティック広告といった比較的粗利率の高い部分の売上が減少したことにより、利益が減っているということです。
実は四半期においては過去最高益になっています。こちらは、このセグメントにグローバル向けのPRを行う事業が含まれています。グローバル推進室という組織なのですが、主に国の行政案件を中心にインバウンドの促進や、日本の各産業分野、例えば日本食の海外普及などのPR業務を受託している事業です。
こちらの事業に行政案件が多い関係で、売上計上が年度末に集中する傾向があります。そのため、第4四半期は、この特殊要因が含まれております。
2018年度は事業の転換期であったわけですが、それまでの期に比べますと、先ほど申し上げました、プログラマティック広告ならびにコンテンツ提供等の利益が落ちていることは、全体の利益構造として大きな影響がありました。
マーケティングソリューションの営業費用の明細推移(四半期)
続きまして、費用です。
費用のところは、ほぼ大きな変化はございません。グラフでは少しわかりづらいですが、事業構造転換に伴うコンテンツマーケティングビジネス系への人員強化のような部分で、若干固定費が増加している中、売上が落ちましたので、利益構造が悪化しているというかたちです。
マーケティングソリューションの主要トピックス
少し、トピックスに触れさせていただきます。先ほど「構造転換」と申し上げたところにつながるトピックスです。
1番目が、パブリッシャー向けにコンテンツマーケティングビジネスを支援する各種取り組みの推進。
2番目が、動画コンテンツ・広告ですね。これは従前ご報告申し上げていますが、このセグメントに含まれるオールアバウトナビ社を中心に、ソーシャルメディアならびにソーシャルメディアマーケティングを、日本テレビと一緒に推進しています。そこで、ソーシャルメディアと相性のいい動画の広告マーケットに対して投資を行っていて、これが進んできているというところです。
3番目が、同じくオールアバウトナビ社です。複数のソーシャルメディア基盤上での影響力が広がってきました。
今回は3点、トピックスとしてご報告申し上げます。
マーケティングソリューションのハイライト①
まず、1つ目です。これは後ほども申し上げますが、今後も主力で一番伸ばしていこうと思っている部分、我々の一番強みの部分であるコンテンツマーケティングビジネスの取り組みです。
少し複雑なのですが、「コンテンツマーケティング」とは、いわゆる旧来のマーケティング手法で言うと、例えば雑誌広告のようなもので、生活者のみなさまに、企業の商品を深く理解してもらったり、興味を持っていただくなどの態度変容プロセスを、ウェブコンテンツを使って推進していくようなものになります。
テレビ等で一気に幅広い潜在顧客に大きな認知を得るというシーンの、その後をフォローするようなマーケティングのプロセスで、それを業界ではミッドファネルと言いますが、ミッドファネルを中心とするデジタル分野での広告・マーケティングのマーケットになります。
All Aboutというメディアは、創業以来この分野では独自性を持ち、かなり強いポジションがあり、いろいろなノウハウを培ってまいりました。ここにきて、今後更にこのマーケットが大きくなっていくと捉えています。
それに際して、自社のメディアだけで対応していくことには限界があります。このチャンスを逃さないようにするために、後段で申し上げますが、自社だけではなくこの分野に活路を求める他のデジタル媒体のみなさまと共創する取り組みを強化しています。
そのうちの1つが、14ページに記載されているような取り組みでして、2年くらい前から仕込み始めていたのですが、去年くらいから形になってきました。
パブリッシャー向けにコンテンツマーケティングビジネスを支援する。つまりこれは、弊社から見ると、ほかのメディア社がお客様になって、その先にまたそのメディアの読者がいて……となります。広告主から見ると、弊社だけではなく、弊社と同じようなポジションにあるような独自性を持ったいろいろなメディアのユーザーとの接点に対し、一括で広告出稿できる取り組みです。
当然インターネット上のマーケティングですので、データが非常に重要になります。具体的には、個人の属性データと閲覧等行動履歴データです。ターゲティング性を高めていきながらコンテンツマーケティングを拡大していく。このようなことを、14ページの図にあるPrimeAdというサービス名称で取り組みを進めた1年でした。
14ページの図で、「CDP」と書いてありますのは、Customer Data Platformの略です。データ側の充実と活用を図るものになります。ブースト配信は、どちらかと言うとユーザーとの接点を拡大させるサービスです。この2つのサービスを、単一メディアでできないレベルで、広告主のみなさまに提供していくことを開始しています。
マーケティングソリューションのハイライト②
2つ目の、動画のところです。大きく申し上げると、高品質な動画をできるだけ安価に大量生産していく体制・構造を作っていく期でした。今は年間2,000本くらいを、ある程度高効率に作っていけるようになりました。
その中の1つの取り組みで、日本テレビとミレニアル世代をターゲットにした『チルテレ』という動画番組を開始し、ユーザーへの影響力が大きく上がってきたところです。
左下にありますが、その中の1コーナーとして、友近さん・ゆりやんレトリィバァさんの『友近&ゆりやんの時間』があります。このようなタレントのみなさまとの取り組みは、日本テレビの力によるところが大きいです。このコンテンツは、累計再生回数は1,700万回なのですが、単一のコンテンツでもこれくらいありますので、このような取り組みを増やすことでファン数を拡大してきています。
このような動画を活用して、Facebook・Twitter・YouTubeのような各プラットフォームにおいて、広告サービスを提供することで「収益の規模拡大が可能であること」を確認できた1年でした。
マーケティングソリューションのハイライト③
そのためにはユーザ―への影響力の非連続的な拡大が重要です。これまで弊社ではFacebookを中心に、ソーシャルメディアにおいては、日本有数のユーザーへの影響力を持っていました。
ただ、Facebookだけですと、その特性上ビジネスユーザーに偏りがあったり、年齢帯が少し上になったりすることがあります。Instagram・Twitter・YouTubeのようなマルチプラットフォームで、分散型でメディアを構成することを推進していこうと考えています。当該期においては、そのような複数のプラットフォーム上での影響力が、このグラフにありますように拡大してきました。
期中にはデジタルガレージ社から、歴史ある「ツイナビ」というTwitterのガイドメディアの事業譲渡を受け、Twitterでの影響力を強化しています。またInstagramについては、ミレニアル世代向けのコンテンツを増加し強化を図っています。
以上が、3点のトピックスです。
メディアビジネスの収益構造と成長イメージ
「構造転換」と申し上げていますので、このメディアビジネスの収益構造と成長イメージについて、どのような種別があるかを申し上げます。
2018年度につきましては、その前年よりも売上が若干減っています。項目としては、まず旧来からあるコンテンツマーケティングが中心になっていて、ここにプログラマティック広告・コンテンツ提供がありました。この上に、オールアバウトナビ社を中心にSNSマーケティングが乗ってきました。
この中でプログラマティック広告とコンテンツ提供につきまして、プログラマティック広告は、特にGoogleからオールアバウトのメディアへの検索流入がどれぐらいあるかが、関連するドライバーとしては一番大きいです。昨今、Googleの検索ロジックの変更がたびたび行われる結果、我々がその影響を受けやすくなってきています。
当然、ユーザーのみなさまは今後も検索を活用されます。All Aboutは行動支援コンテンツですから、検索からのルートは非常に重要なのですが、ビジネス観点で言うと、検索対策に依存しすぎてもいけないと思っています。これからは、ここも対応しながら、できれば外部環境の影響を受けずに、自社でコントロールできるところを伸ばしていこうということです。右側にあるようなコンテンツマーケティングビジネスを中心に大きくしていき、さらに、「新サービス」を乗せていくイメージを持っています。
通期収益を踏まえた「マーケティングソリューション」の課題と取り組み
その中で、2018年度の収益から見た課題です。
先ほどから申し上げているとおり、検索流入の減少に伴うプログラマティック広告売上の減収。また、外部サイトへのコンテンツ提供売上の単価が下がった影響がございました。
また、コンテンツマーケティング主力のところも、マーケットの盛り上がりに対して1メディアだけでは大きな実りが獲れないこと。また、SNS分野でも、Facebookではある程度影響力がありましたが、全体で言うと影響力がまだまだ不足している。このような課題に取り組んでまいりました。
プログラマティック広告とコンテンツ提供につきましては、今申し上げたように外部環境に依存する部分が多いので、効率的に回しながらやっていく。その間に、外部環境に依存しないビジネスへシフトしていく取り組みを推進しています。
具体的には、そこをコンテンツマーケティングビジネスの拡大分野にフォーカスし、複数のメディアとの共創プラットフォームで、単一メディアではないかたちでやっていく。ソーシャルメディアのところは、Facebook以外のリーチも含めて動画もやっていく。
このようなところが、全体感の整理です。
コンシューマサービスの売上・営業損益推移(四半期)
続きまして、コンシューマサービスのご説明をしたいと思います。
先ほどと同じように、左側が売上高の四半期推移と、右側が営業利益の四半期推移です。こちらも売上は堅調に伸びていますが、右側の営業利益で少し特色が出ています。特に、第2四半期・第4四半期がマイナスになっています。
まず、売上のところです。一番上に書いてありますが、おかげさまでサンプル百貨店を中心としたトライアルマーケティング&ECの売上が100億円を超えまして、1つのバーを超えたというところです。
上期の利益について、特に第2四半期をご覧ください。これは第2四半期の決算説明会でも申し上げていますが、この上半期は災害が多くあり、物流等の影響を受けました。もちろん、災害に遭われた地域のみなさまの購買力の低下もあります。
災害影響は夏で終息し、下半期についてはその影響がないのですが、一方で第3四半期、具体的に言うと(2018年)12月から、社内の問題として一過性のカテゴリーマネジメントの課題があり、限界利益を下げてしまったということです。現在は、商品調達から品揃えまでの一連のカテゴリーマネジメントのプロセスの改善に着手し、(2019年)3月については、月販で過去最高を記録し、月販10億円に迫るところまできています。
もう1つ、大きな外部環境の変化への対応が必要なところですが、物流費が上昇しているということです。当該期についても、かなりのコストアップ要因となりました。
もちろん、物流系の配送会社とのいろいろな交渉等があり、EC業界全体にこのあたりの影響がけっこう出ています。
これに対しては、お試し価格を見直すことで、ある程度、物流費の上昇を吸収することをやってまいりましたが、利益を圧迫するかたちとなりました。
コンシューマサービスの営業費用の明細推移(四半期)
21ページは、コンシューマサービスセグメントのコスト構造を示しておりますが、特筆すべき点は、今申し上げた物流費です。これがおそらく、今年度もまだ上げ基調になります。
物流費上昇に対しては、プライシングによる利益コントロールのほか、商品のお取扱い単位や荷姿の工夫など、物流業務の改善も進めております。
2018年度においては、その他に、販促費・人件費の上昇があります。トライアルマーケティング&EC事業は、成長分野と見ており、積極投資すると決めています。そのため、一段人件費のレベルを上げました。そんな中、先ほど申し上げましたようなカテゴリーマネジメントのような不備もあり、減益となりました。
コンシューマサービスの主要トピックス
今期のトピックスで言うと、先ほど申し上げましたが、売上高が100億円という壁を超えました。
さらに、デジタルの分野でも影響力が上がってきます。弊社はいろいろな商品を扱っていますが、日常生活の分野で、例えば飲料や食品・美容品といった生活雑貨を扱っていらっしゃる小売店のみなさまとの協業が進んできています。
特に、メーカーのみなさまからも「ぜひ、流通との協業を」とのお問い合わせを多くいただき、こうした取り組みが進んできたこともハイライトです。
コンシューマサービスのハイライト①
売上高は、ここ数年でスライドのようなかたちで推移しており、2018年度は105億円です。当初はこれよりも伸びると思っておりましたが期中で少し修正させていただきました。
(その修正は)先ほどお話しした災害の影響や、一部のカテゴリーマネジメントの不備という内部の問題によるもので、本来はもう少しいけたかなというところです。(2019年)3月は月販でギネスを達成、対象となる世帯が1200万世帯ある中、現状は200万世帯程度の利用ですので、まだまだ伸びると思っています。
コンシューマサービスのハイライト②
小売店との協業についてです。飲料や食品メーカー、それぞれの地域ごとの主力の小売店、各エリアのテレビ局などとうまく連動して、地方の大型店舗の店頭で、サンプル百貨店が主催するメーカーとの共催イベントを実施しました。これを、ネット側の動きと連動するかたちで進めています。
スライドはその一例で、イオン九州との取り組みですが、メーカー・流通もお喜びになっていました。ネットの部分の影響力だけではなく、リアルも併せてやっていく、このような取り組みは、今後も強化していこうと思います。
このイベントを店頭で実施すると、全店舗連動で売り場の企画を行いますので、メーカーとしては売りの機会、店頭での商品の取り扱いされる棚の増加につながります。また、流通側も売上が増えますし、ユーザーのみなさまも、このイベントを体験されて商品に出会えますし、弊社としても会員が増えるということです。
サンプル百貨店のトライアルマーケティング事業の構造
サンプル百貨店はトライアルマーケティング&EC事業ということで、100億円を超えてきました。その中には3つのビジネススキームが内包されています。構造をご紹介してから整理したいと思います。
まず、新商品系のプロモーションです。これは、今申し上げた、Web上のプロモーションとリアルイベントが連動するようなものです。
在庫ソリューションについてですが、例えば各飲料メーカーは店頭で多数の在庫が発生するわけですが、その在庫を廃棄するのではなく、ユーザーに価値あるものとして流通させていただき、また同時にユーザーの意見収集、ネット上での口コミ醸成を行うソリューションです。
販売支援というのは、サンプル百貨店およびサンプル百貨店の提携サイト上で商品の販売収益を拡大していくものです。この3つが主要収益となります。
ここに、販売チャネルとしてサンプル百貨店という自社サイトと、特にNTTドコモの運営するdショッピングや、日本テレビと系列局を含めた「うまいもの博」サービスなど、外部チャネルを組み合わせて拡大しています。
通期収益を踏まえた「サンプル百貨店」の課題と取り組み
おさらいになりますが、当該年度におきましては、先ほど申し上げたように災害の影響がありましたが、10月以降は回復しました。
また、カテゴリーマネジメントの不備による販売機会の減少と滞留在庫が12月から発生しました。あくまでこれは自社の話で、環境要因ではないのですが、(サービスが)大きくなってきてマネジメントの強化が必要だったというところです。
これを受けチャネル別・商品別ポートフォリオの最適化を行うような体制および仕組みの強化をすぐに対応、実現しています。陳列・導線管理の人的運用とAIの組み合わせを最適化したり、仕入・在庫管理のリソースの充実等を図って、1月、2月、3月から本年度4月にかけて復活し、ほぼ改善したと思っています。
物流費は、今期もまた上がっていくと思うのですが、トータルコストの効率化とプライシングへの反映で対応していきます。
ここまでが、当該期のトピックスとその取り組みに対する整理でした。続きまして今期以降、どのようなかたちで進んでいくかというところを、いくつかトピックスを含めてご紹介していきます。
NTTドコモとの今後の協業について①~メディア①
昨年度(2018年)5月からNTTドコモと資本業務提携しまして、当該期にいろいろな準備を進めてきました。その中でいくつか進んでいることがありまして、そのうちの1つが、(2019年)1月にNTTドコモと共同で立ち上げた「イチオシ」というメディアです。スタートから人気コンテンツとして伸びています。
こちらは、NTTドコモのユーザーに向けて、オールアバウトと一緒にメディアを展開しているのですが、我々は専門家とのネットワークがコアな会社ですので、専門家ならではの「この分野であれば、この商品がいいですよ」という、「イチオシ」を紹介するサービスです。
先々についてですが、例えばNTTドコモの提携パートナー……現在では、dポイントや決済、ケータイ払いなどができるいろいろな加盟店が増えていますが、そうしたところの販売促進の場としても使っていただく仕立てにしており、共同で収益を拡大していき、そこで得た収益をシェアしていきます。
NTTドコモとの今後の協業について②~メディア②
前半のところで申し上げたように、オールアバウトだけでは解決できないコンテンツマーケティングビジネスの中で、より多くのユーザー接点を非連続で拡大するというお話をしましたが、提携メディアが現在60ぐらいになってきています。
いくつか大手メディアもご参画いただいているのですが、この中で、NTTドコモはdメニューを含む4つの大きなメディアを運営されています。特にdメニューは大きいメディアですが、それらもこの(提携メディアの)中に入るということで、多くの生活者へのリーチが可能になります。
また、このリーチとともに、裏側ではデータが溜まっていきますが、このデータも非連続な大きさになっていくところで、かなり準備が進んだ1年です。今期、特に下期ぐらいから、このあたりの収益は好転するかなと思っています。
NTTドコモとの今後の協業について③~トライアルマーケティング&EC
こちらもNTTドコモについてですが、トライアルマーケティング&ECの取り組みです。先ほども触れましたが、サンプル百貨店はdショッピングと提携し、現時点で外部チャネルとして非常に大きな存在ですが、さらに大きくしていけると思っています。
また、NTTドコモで推進されているd払いという決済サービスがあり、これにdポイントもセットにして、戦略的にいろいろ進められていくと思いますが、そことの連動です。EC事業者大手各社がマルチポイントということで、このような決済プラットフォームやキャリアプラットフォームとの連動性で、寡占的にどんどん大きくなっていくという状態です。
トライアルマーケティングという独自性を持った部分では、我々がナンバーワンだと思っていまして、その部分を決済サービス系との連動で、さらに飛躍的に大きくできると考えています。
スライドは、dポイントのキャンペーンを実施して効果を出している例ですが、このようなことをもっと進めていけるとよいと思います。メディア系ならびにコマース系ビジネスの両方で、大きなシナジーが発生すると考えています。
今後の方向性におけるキーワード~①マーケティングソリューション
マーケティングソリューションの今後につきましては、キーワードが2つあります。1つ目は「メディア+プラットフォーム」です。前半にも少しお話ししましたが、「単一メディアだけではできない、しかしプラットフォームポジションだけでもできない」ということで、弊社にはメディアとプラットフォームの両方があるため、コンテンツマーケティングというビジネスを拡大できるということです。
もう1のキーワードが、ユーザーのアクション(購買)支援領域です。
メディア+プラットフォーム①
メディア+プラットフォームの部分ですが、スライドの左側に、コンテンツマーケティングビジネスを行うにあたって必要になる資源(アセット)が書いてあります。当然、多くの利用者・ユーザーへの接点であるリーチがあることと、その裏にあるデータも重要です。
また、コンテンツマーケティングとしては、人を動かすコンテンツとコミュニケーションプランを作る力が重要です。そして、コンテンツマーケティングを実施して、どんな効果があったのか、そこからどんな知見が得られたのかを解き明かす統一のレポートが必要になります。
オールアバウトは、メディアビジネスを18年やり続ける中で、そうしたアセットをノウハウとして持っています。これは、弊社がメディアをやってるからこそのノウハウです。先ほど申し上げたように、(提携メディアである)60媒体は高品質なコンテンツを作り、それぞれ、素晴らしいユーザー接点を持っております。それらを持ち寄ることで新しいデータや知見が生まれ、それが広告主への提供価値となることのお手伝いをしていきたいと考えています。
ミッドファネルを狙ったマーケティングビジネスをデジタルでされる優良メディアとは、全部(のアセット)が乗るような共創基盤(プラットフォーム)を併せてやらせていただきます。各社がそこで収益を上げれば、それをシェアする構造を強化していきたいと思っています。
メディア+プラットフォーム②
今期の4月ですが、第1弾として「メディアオーケストレーション」を発表させていただきました。具体的には、現在提携メディアは60まできましたので、そこでしっかりとリーチが取れます、ということを表したものが右側の図です。
図の中央に、いくつか細かくブロックがあります。これは、ニュース媒体・住まい系媒体・専門家媒体・子育て系媒体と、いろいろな媒体が参加していることで、いろいろな切り口でコミュニケーションができるということです。
また、広告主サイドの要望としては、「認知や興味喚起をしたい」「理解促進を期待している」「共感と自分ごと化をお願いしたい」といったように、マーケティングの目的もかなり多様化していますが、それらに「すべて対応できますよ」ということです。
さらに、それを横串で行って、1つの効果指標で評価してフィードバックをさせていただきます。それを「メディアオーケストレーション」と言っており、今までは広告主様から見ると、複数の媒体をコントロールしなければいけなかったところを、この分野においてはここだけでほぼ片が付くというような状態にしていく。そのようなものを始めています。
第1弾として、子育て中の女性に対して、日本全国の約6割をカバーする仕組みをリリースさせていただいています。このようなかたちで、どんどん強化してまいります。
アクション領域での新ビジネス創出
アクション(購買)支援のところですが、今まではどちらかと言うと、オールアバウトが展開してきたメディアは、なにかをするときに深く知っていただいたり、信頼できる情報を得ていただいたりするものでした。
そうして情報を得ていただいたあとにモノが買われるわけですが、実際に買うところとしては店頭やECがあります。その1つ手前に、例えば、価格.comのようなポジションがあると思っています。
その部分で、「提案する」「相談される」「共に解決する」というようなサービスの強化を図っていきたいと思っています。
ここを総称して「アクションの領域」と言っていますが、第1弾としては、その中でベストが見つかるおすすめ情報メディア「Best One」を、(2019年)2月にスタートしています。
実は、2017年12月から「PICUP(ピカップ)」というベータ版サイトで運営しました。ある程度の効果がみえてきたということで、正式名称を「Best One」としてスタートしています。
ある家電商品……例えば炊飯器を買う際に、このサイトを見に来ると、専門家の知見とともに「これがいいですよ」と(商品を薦めてもらえます)。そして、実際にそこで買える動線があります。収益的にはアフィリエイト型が多いのですが、各ECプラットフォームとつながりながら、その前捌きをさせていただくようなことを始めています。
メディアビジネスの収益構造と成長イメージ
おさらいになりますが、メディアビジネスの転換期というところで、今期、来期・再来期に向けて、コンテンツマーケティングビジネスを、リーチとデータの強化により非連続に拡大したいと思っています。
また、SNSマーケティング系においては分散型リーチの拡大が図れると思っていますので、ここも大きくしていきます。この2つはバラバラに進めていますが、広告主サイドで言うと同じ部署がマーケティングで使いますので、融合も図っていきます。
新サービスのところでは、特にアクションとして、コンテンツコマースといったところを乗せていきます。ベースになっているプログラマティック広告やコンテンツ提供系のビジネスは、機動的・効率的にできる範囲できちんとやっていきます。
そのような意味では、今期もまだ構造転換の道半ばですが、(メディアビジネスを)大きくしていきたいと思っている次第です。
今後の方向性におけるキーワード~②コンシューマサービス
続きまして、コンシューマサービスの今後です。マーケットは伸びますので、その成長率よりも上回ることを目指していきます。トライアルマーケティング&ECという領域において、圧倒的ナンバーワンのポジションをしっかり確立していくということかと思います。
「サンプル百貨店」成長ドライバーと拡大への取り組み
この事業の成長ドライバーが、「扱う商品の幅や数・深さ」「会員の人数」「購買率」などです。購買率は、実際に来ていただき、買っていただく率だけではなく、繰り返し買っていただく回数なども含めています。
そして、「それらの要素×粗利率」の構造です。具体的には、物流費対策や在庫の管理、商品の調達など、いわゆるサプライチェーン・マネジメントを、より高度に行っていきたいと考えております。
商品数についてです。このサービス開始当初は、大手のナショナルブランド・メーカーのものが多かったのですが、通販専業の事業者もかなり増えています。このような取り組みがかなり進んできましたので、ポートフォリオをきちんと最適化していきます。
会員数については、もちろん本店(自社サイト)を伸ばすのが一番利益貢献も大きいため、ここは引き続き注力し、それに加えて、dショッピングを含めた他の外部チャネルをやっていきます。
購買率のところは、いわゆるフリークエント・ショッパー・プログラム、FSPですが、その強化とマルチポイント、決済連動などがポイントになると思っています。特にNTTドコモはd払いを中心に伸びていますので、このようなところを進めていきます。
粗利率のところも含めまして、全体のサプライチェーン・マネジメントについて言えば、「ちょっプルマネジメント・プラットフォーム(CMP)」という独自の仕組みを磨いています。人的運用とAIを最適に組み合わせて、各ドライバの向上を図っていきます。
市場成長率についてですが、いろいろなデータによりますとECは7.5パーセントから10パーセント、あるいは12パーセントから13パーセントとありますが、当面はそこを超える成長を図っていくということができるのではないかと思っています。
以上、全体感と各セグメント、ならびに今後の方向性についてお話ししました。
現在の事業ステージと将来イメージ
期初に申し上げていた開示の予測において、特に利益側を大きく修正することになりました。そのようなことがないようには当然したいのですが、まだまだ今後もマーケットが伸びると見ておりますので、我々も事業規模拡大を優先していきたいと思っています。
そのポイントとしては、メディア、トライアルマーケティング&ECの2本柱はまだまだ成長マーケットですので、これらを強化していくとともに、もう1本の柱をきちんと2020年以降に作っていけるようになりたいと思っています。
第3の柱については、今日はまだお話をしていませんが、ウェルネス・ヘルスケアの分野やマネー・金融系分野、キャリアやクラウドソーシングといった、人をエンパワーメントする分野など……我々のビジョンにおいて非常に重要な分野として準備をしていますので、大きな柱を作っていければと思っています。このあたりへの投資は、継続していきたいと思っています。
引き続き売上については継続的に拡大していく予定です。利益は2018年度の状況がありますので慎重に見る必要がありますが、少なくとも、一昨年、2017年度の利益水準額は今、来年度くらいで確保できるところまで戻したいと思っています。
あくまでイメージですが、その先、さらに利益額水準を上げていければというのが、イメージで持っているところです。
【業績予想】2020年3月期 業績予想/配当予想
すでに始まっています2020年3月期におきましては、このようなかたちで業績予想を出させていただいています。まだ、将来の展開に向けて構造転換を図っていく道半ばのところで投資は続きますが、ご報告したようにNTTドコモや日本テレビとの協業による収益拡大や、去年内部で起こしたサンプル百貨店の収益性低下のところをきちんと改善して、さらに数字を乗せていくところを見込んだうえで、通期の売上高で152億7,000万円、営業利益で2億1,000万円としております。
正直に言いまして、この数字は2018度の状況を考えると、あまり強気に出すのはどうなのかという部分でもありますので、少しコンサバティブな感覚です。
以上をもちまして、昨期の振り返りと今後についてのご報告をさせていただきました。私の話はいったん締めさせていただき、このあとはご質問をいただければと思います。ここまでご清聴いただきまして、どうもありがとうございました。