近年、電話を使った特殊詐欺の被害が後を絶ちません。

「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」などがよく知られるところですが、その手口は日々多様化、巧妙化しています。

詐欺被害に遭わないためにも、最新の手口を具体的に知っておきたいところです。

本記事では、長崎県警察がホームページで公開中の、実際にあった犯人と被害者との会話を紹介します。

実際の手口を知り、被害防止に役立ててください。

1. 【還付金詐欺】被害者の元に市役所の「健康保険課」電話がかかってくる

特殊詐欺は増加傾向 還付金詐欺の件数は減少 被害額は微減1/5

特殊詐欺は増加傾向 還付金詐欺の件数は減少 被害額は微減

警察庁「令和7年11月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」

ある日、被害者の元に市役所の健康保険課の「カワイ」と名乗る人物から一本の電話がかかってきます。

犯人は「保険料の払い戻し申請書」を被害者の元に送付したといいますが…

犯人(男):おはようございます。私、市役所健康保険課のカワイと申しますが、〇〇様(被害者名)のご自宅でよろしいでしょうか?

被害者:はい。

犯人(男):いつもお世話になっております。あの、1つお伺いしたいことがございまして。

昨年の11月に、こちらから「保険料の払い戻し申請書」という書類をお送りさせていただいたのですが、ご確認はしていただけましたでしょうか?

被害者:確認…申請書ですか?

犯人(男):左様でございます。こちらのほうに、あの、お手続きはまだなされてないということなので。

いわゆる「還付金詐欺」のようです。

被害者はどうなってしまうのでしょうか。

2. 【還付金詐欺】犯人は還付金額を提示、被害者に住所を確認する

犯人と被害者の会話は続きます。

被害者:送りましたよ、 ちゃんと。お宅の方へ

犯人(男):えっと、そちらの…こちらのお送りしたご書類の内容ですけど、平成22年度から27年度までの、過去5年間分の「累積保険料」というものですけれども。

被害者:ああ、それはきてないですね。

犯人(男):そちら見覚えないですか?

被害者:ないです。

犯人(男):ああ、左様でございますか。あの、この5年間でですね、払いすぎていた金額がございまして。

被害者:はい。

犯人(男):こちらは累計で、2万3368円ございましたので、お戻ししますよというご案内の書類をお送りしたんですよ。

被害者:ああ、そうですか…。

犯人(男):こちら住所のご変更はないですかね? (住所読み上げ)…で。

被害者:変更はないです。

「2万3368円」という還付金額を伝える犯人。

ここまで具体的な数字を伝えられると、信じてしまう人もいるかもしれませんね。

犯人はさらに被害者の住所も確認しました。

3. 【還付金詐欺】書類の送付日時を伝える犯人に、被害者がした切り返し

会話はさらに続きます。

今度は書類の送付日時を「11月16日」と具体的に伝えてきます。

犯人(男):あ、左様でございますか。これ、あの、11月の16日にお送りさせてもらったんですが、見落としちゃいましたかね?

被害者:ないですね…ないですね…。

犯人(男):本来であればですね、そちらの書類に、振り込みをご希望する銀行さんとお口座を記入してですね、先週の末までに役所の方に持ってきていただきたかったんですが、まだお返事がなかったので、どうしたのかな、と思って

被害者:まあ、それがなかったから持って行きようがないですよね。

犯人(男):こちら11月の16日にお送りさせてもらってるんですが…。

(以下、音声の乱れ・背景ノイズのような雑音などが入り混じり、会話が不明瞭になる)

【通話終了】

通話は音声の乱れの直後に終了してしまいったため、犯人と被害者との間にどんなやりとりがあったのかはわかりませんが、被害に遭わずに済んだようです。

被害者は終始冷静に応答しているようにも聞こえるため、最初から怪しんでいたのかもしれませんね。

犯人の話に合わせながらも、淡々とした返答を続け、相手のペースに巻き込まれなかったのが勝因といえるかもしれません。

今回の被害者は犯人を見事撃退しましたが、誰もがこのように見事な対処ができるとは限りません。

特に犯人は怪しまれないようにさまざまな言い回しを考えてきますから、「絶対にだまされない」とは誰もいえないでしょう。

普段から「お金が戻ってくる」などのおいしい話はまず怪しむ!という認識をご家族で共有しておくのが望ましいかもしれません。

4. 特殊詐欺被害は増加中!令和7年11月の被害について

警察庁の発表によると、令和7年11月末時点における特殊詐欺の認知件数、被害額、検挙件数、検挙人員は以下のとおりです。

  • 認知件数:2万4912件
  • 被害額:1213.3億円
  • 検挙件数:5907件
  • 検挙人員:2062人

被害者については、65歳以上の高齢者が全体の半数以上と過半数を占めるものの、事件の種類によっては他の年代層が占める割合が大きいものもあります。

年齢に関係なく、誰でも巻き込まれる可能性がある犯罪だと認識しておいたほうがよいでしょう。

5. 詐欺被害に遭ったお金が戻ってくる可能性も!「被害額分配金」について知っておこう

詐欺被害に遭ったら、振込先銀行と警察へ連絡を5/5

詐欺被害に遭ったら、振込先銀行と警察へ連絡

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万が一、預金口座への振り込みによってお金を騙し取られてしまった場合、「被害額分配金」の支払いを受けられる可能性があります。

「被害額分配金」とは、振込先の預金口座残高を原資として、被害者に支払われるお金のことです。

振り込め詐欺など、犯人が指定した銀行口座への振り込みによってお金を騙し取られた人を対象に支払われます。

ただし、必ずしも被害額全額を返してもらえるわけではありません。

支払われる額は、犯人の指定した振込先口座の残高や被害者数により変動します。

また、分配金を受け取るには、振込先の口座が凍結され、銀行が「被害回復分配金の手続き」を始めたときに申請する必要があります。

だまし取られたお金を少しでも返還してもらうためにも、被害に気づいたら、すぐに振込先の金融機関と警察に連絡しましょう。

参考資料

小野 温子