また、学生数(定員ベース)も1991年度の558人が2017年度には22,481人へと増加しており、今後もさらなる拡大が見込まれています。学生数の確保に苦しむ大学、言い換えれば、経営難に直面する大学にとって、看護学部・学科は必要不可欠というのは言い過ぎでしょうか?
こうした状況からも、年に1度の国家資格試験に合格する必要があるとはいえ、看護師が人気の高い職業の一つであることが推察されます(注:准看護師は都道府県知事による免許制度)。
“看護師は3K職業”は昔の話なのか
ここまで読んだ人の中には、“人気職業? 看護師は代表的な3K職業だったはずだが…”と思う方がいらっしゃるかもしれません。そうです、看護師の仕事は3K(きつい、汚い、危険)で表されることが多々ありました。
特に、バブル経済時期の頃は、女性にとって看護師(注:当時は「看護婦」と称していました)は敬遠する職業の1つだったと記憶しています。「3K」を超えた「9K」という言葉があったくらいですし(たとえば給料が安い、休暇が取れない、結婚が遅くなる等々。諸説あります)、実際、夜勤の連続などで体調の維持なども大変だったようです。
今も看護師は大変な職業、とりわけ小規模病院では顕著
ということは、現在の看護師は3Kから解放されたスマートな職業になったのでしょうか。いや、今でもそう変わっていない可能性があります。日本看護協会の調査によれば、2015年度における看護職の離職率(病院勤務のみ対象)は、常勤が10.9%、新卒が7.8%でした。
新卒の離職率8%未満は、大卒平均の11%前後(厚生労働所のサンプル調査)に比べると低い部類ですが、それでも大変な仕事であることが伺えます。しかも、この数字は、小規模の病院ほど高くなっており、病床数99未満の新卒離職率は約14%に達しています。
将来的には看護師にもリストラの波が押し寄せるという予測も
さらに、看護師の約85%が勤務する「病院」「診療所」では、厚生労働省の旗振りの元、病床数の削減が実施される見込みです。これが進むと、病院の経営が難しくなり、看護師人数の適正化が進むという見方もあります。今は不足している看護師ですが、一転して余剰時代が来るのでしょうか。
こうした看護師を取り巻く状況に目を向けながら、「看護の日」には改めて看護師に感謝していいのではないでしょうか。
葛西 裕一