先月、久しぶりに初めての国に約1カ月間出張しました。1991年にソビエト連邦解体により独立したウズベキスタンです。

この国の第一印象を一言で言えば、「ソビエト社会主義の遺産」と「ゆるいイスラム」です。そして、仕事で金融制度について調べていく中で、政府の役割と国民の自国通貨に対する信認について改めて考えさせられました。

今回は、経済が夜明け前で、まるでソ連時代にタイムスリップしたようなウズベキスタンという国についてお伝えしたいと思います。

タシケント国際空港で匂った社会主義

早朝、1時間ほどのフライト遅延でしたが、無事、タシケント国際空港に到着しました。飛行機から降り立つと、そこに1人の空港係員が待っていて、そのままミニバンでVIP入国審査へ案内されました。事前にネット情報ではあまり良い評判を見ていなかったのですが、予想外のスムーズさに驚きました。

ところが、預けていたスーツケースが行方不明になり、それを見つけるために空港内を端から端まで歩かされました。途中、係員の陽気なおじさんからは「君の荷物はバンコクで乗り継げなかった」と(ジェスチャー混じりで)適当な説明を受けたりして、結局、30分くらいかけてスーツケースを探し出し、同じ飛行機の乗客の誰よりも遅く空港を後にすることになりました。

空港出口では宿泊ホテルに予約していた迎車を探したものの見つからず、空港出口に無数にいるタクシードライバーと、言葉が通じないながらも10ドルということで値段交渉して車に乗り込みました。途中で行き先のホテルの場所がわからないということで、ドライバーは自分の携帯で英語のできる知人に電話して道を確認しつつ、タクシー料金は20ドルだと主張してきました。

ここまでの感触としては、空港の佇まいも含め、1996年に初めて社会主義国ベトナム(ハノイ市のノイバイ空港)に赴任した時のことを思い出し、そこはかとなく社会主義の香りを感じました。

ソビエト連邦にタイムスリップしたような光景

宿泊ホテルに到着したのが正午。ポカポカ陽気でしたので少しホテルの周りを歩きました。社会主義国によくある公園や街路樹が整備されていて、きれいな街並みです。

出張前にマレーシアの自宅近所に住むカザフスタン人女性からウズベキスタンの首都タシケントに旅行した話を聞いたところ、近代的なビルが立ち並ぶカザフスタンの首都ヌルスタンと比べ、タシケントの景色は彼女が若い頃のソビエト連邦にタイムスリップしたみたいだった、とのことでした。

とりあえずホテル付近で銀行を探し、持っていた米ドルを現地通貨スムに両替したのですが、この銀行の外為窓口が絵に描いたような社会主義的サービスでした。行員の若い女性2人が窓口でまったり休んでおり、私が丁重に両替を頼んでもニコリともせず、一言も私に言葉を発しませんでした。そうした光景はまさに昔のソビエト連邦時代のようでした。

レストランなどで感じた、ゆるいイスラム

街中のレストランに行くと、一部、ウズベキスタン料理屋やトルコ料理屋などでは酒類を置いていませんでした。大型スーパーでもビールなどは買えず、酒屋を探さなければいけません。イスラム圏なので仕方のないことです。

ただ、宗教上、飲酒が厳格に禁じられているわけではないようで、地元レストランや欧州料理屋では普通にビールやウォッカが飲めます。その点、私が暮らすマレーシアよりもかなりゆるいと感じました。

市場経済化の途上にあるウズベキスタン経済