2020年東京オリンピックが追い風

2020年の東京オリンピックに向けて、今後老朽化した高速道路などの既存インフラの整備が進んでいくことかと思いますが、実はそのインフラの整備とともに忘れてはいけないのが、街づくりです。

街づくりを促進するために、2020年の東京オリンピックはまたとない機会となっているはずです。ビジネス面ではフィンテックなど金融とテクノロジーの新たな掛け合わせによるイノベーションが期待される中、東京はどのような金融都市を目指せばよいのでしょうか。

国際金融都市トウキョウへの最後の挑戦

ニューヨーク、ロンドン、香港、シンガポールと並んで東京が国際金融都市かどうかという点は意見が分かれそうです。

“ジャパンパッシング”という言葉が適切かどうか分かりませんし、金融関係者には東京は世界を代表する国際金融都市だったという人がいるかもしれません。ただ、現在の東京のポジションが将来に向けて今より改善していくと考える人は多くはないのではないでしょうか。

ロンドンLevel39の衝撃

近頃は“FinTech(フィンテック)”というようなバズワードも登場し、金融ビジネスにアップルを始めとした世界を代表するICT(情報通信技術)企業からベンチャー企業まで多くの企業が攻め込んでくるような状況では、日本の金融業界やそのほかの企業もうかうかしてはいられません。

そんな中、ロンドン東部のカナリーワーフ地区に金融系イノベーション施設“Level39(レベル39)”が誕生し、自治体だけでなく、監督官庁をも巻き込んで、新しい金融系ベンチャー企業を育成しようと動き出しています。

シンガポールも同様に国と行政が一体となって、国際金融都市シンガポールの競争優位を維持しようと動き出しています。

丸の内・大手町vs日本橋

三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)やみずほフィナンシャルグループ(8411)といったメガバンクの本拠地が並ぶ丸の内や大手町など東京駅西側のエリアは、ここまでで十分に再開発や整備が進んできたと言えるでしょう。丸の内は、以前から三菱地所(8802)の影響力が強い地区です。

一方、東京駅の東側の日本橋や兜町はどうでしょうか。たとえば、東京証券取引所も立地する証券業界にとって重要な兜町を最近一度でも歩いたことがある方にお分かりだとは思いますが、東京が国際金融都市として活気づいているとはお世辞にも言えません。

東京駅東側のエリアは、三井不動産(8801)が日本橋の再開発を進めてきたとはいえ、いまだ再開発の余地があると言えそうです。また、平和不動産(8803)も兜町の再開発に積極的です。2011年には三菱地所と提携、また証券アナリストになじみの深い東京証券会館とも提携するなど、今後の展開が楽しみです。

関連銘柄5選

国際金融都市トウキョウとして競争優位を確立するためには、既存の銀行と証券などの金融業界とベンチャー企業が、お互いの弱みを補完しながら総力戦で戦わなくてはなりません。それがフィンテックの本質です。

三菱UFJフィナンシャルグループやみずほフィナンシャルグループはフィンテックの活用に積極的ですし、日本では大半は預金として眠っている個人資産の運用を今後進めるためには、銀行業だけではない証券業の発想が必要となるでしょう。

そのためには、丸の内や大手町だけではない、兜町のDNAを取り込んでいく必要があります。

また、不動産事業者の役割も重要です。ロンドンのLevel39の例のように、都市としてそうしたベンチャーを支援する必要があります。再開発をする中で、既存金融機関とベンチャー企業のスピードをうまく融合できる街づくりが必要です。

したがって、その意味で再開発の余地のある日本橋や兜町に足掛かりを持っている平和不動産や三菱地所、三井不動産には、国際金融都市トウキョウを形成できるような街づくりを期待したいと思います。

LIMO編集部