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1月19日(火)11時00分発表予定の中国GDP10-12月期GDPに注目です。

中国の2015年10-12月期GDP成長率(前年同期比)の市場予想は+6.9%となっています。

市場予想を下回る内容だった場合、さらなる景気刺激策の可能性もあります。

2016年1月19日(火)11:00発表予定の中国10-12月期GDPの動向に注目

中国のGDPは、中国国家統計局が4、7、10、1月中旬に発表します。米国の統計手法を参考にした国際慣行に準じているとされているものの、その「発表の早さ」が問題視されます。

今回の2015年10-12月期の中国GDPの発表日も、期末から19日後と、日本より1か月早く公表されます。そもそも、GDPは基礎データの集計および加工作業があるので、発表までに約2か月間かかることが多いのです。

足元では、中国株の急落や人民元安等、マーケットが波乱含みの展開の中、中国GDPに対する関心が一段と高まっています。そうした状況下で数値の集計方法自体が問題視される数値が発表されるわけですから、投資家としては、相場の変動が激しくなるリスクを警戒しておきたいところです。

中国10-12月期GDP成長率(前年同期比)の市場予想は+6.9%

前回、2015年7-9月期の中国GDP成長率(前年同期比)は+6.9%と2015年4-6月期の+7.0%から減速しました。現在、中国政府によって行われている利下げ・減税・インフラ支出の承認といった各施策の効果も限定的と言えましょう。

今回、2015年10-12月期の中国GDP成長率(前年同期比)の市場予想は+6.9%となっていますが、足元の鉱工業生産、製造業購買担当者景気指数(PMI)等の数値を見る限り、厳しい内容になるのではと筆者は考えています。

こうした中、中国10-12月期GDP成長率(前年同期比)が市場予想の+6.9%を上回るかどうかが注目されます。市場予想を上回る内容だった場合、上海総合指数を始め、各国の株価指数の支援材料となるでしょう。

一方、市場予想を下回る内容だった場合、財政出動や金融緩和といった景気刺激策に対するマーケット参加者の関心が高まるでしょう。

出所:SPEEDAをもとに筆者作成

【参考情報】中国GDP(国内総生産)の基礎知識

そもそもGDP(国内総生産)とは?

GDPは、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額です。QE(Quarterly Estimations)と呼ばれ、四半期毎の国内総生産の伸び率を算出します。また、把握の対象が国民経済全体の生産活動になるので、景気動向を把握するには便利な統計です。

GDP統計を見る上では、2つの留意点があります。第1に、統計として集計するのに時間がかかりことです。第2は、速報値として発表されるので、後日、一段と多面なデータで計算される確報値として修正される点です。

そこで、通常は、GDP統計よりも早く発表される経済指標をチェックして、経済動向を把握しようと努めます。

中国GDP(国内総生産)の問題点と政府による対応策

各国のGDPは、日本の地域間産業連関表のように不整合項目を調整しない限り、域内総生産と全国計が一致することの方が稀です。中国各省の域内総生産を合計すると、概ねGDPより10%以上大きくなります。

もっとも、新興国の経済指標では散見されることですが、主要産業の移行期(中国の場合、製造業からサービス業へのシフト)において、基礎データを集積しきれていないケースもあります。現在、中国政府では、地方政府からではなく、事業会社や家計等のデータを直接収集し始めています。

中国GDPの50%以上をサービス業が占めるようになってきていますので、徐々にデータの取りこぼしが国勢調査等に反映されていくでしょう。

※元データの確認は、中国国家統計局のウェブサイト(英語版)をご参照ください。

岡野 辰太郎