当然、その幹部の下には男性警官の部下もいるはずですから、そういうパターンも珍しくないということでしょうか。もちろん、まだ絶対数は少ないですが、女性警察官の幹部への登用は急速に拡大していると言えます。

さて、ここまで読んで、“女性活躍が叫ばれる一般社会と同じかもしれない”、“幹部への登用増加は、一般企業の女性役員の増加と一緒だな”と感じた人も多いと思います。いや、警察庁における女性警察官の躍進ペースは、一般企業より進んでいると見ることが可能かもしれません。

内閣府男女共同参画局のホームページにある「女性役員情報サイト」によれば、2018年7月現在の上場企業の女性役員数は1,705人となり、アベノミクス始動後に3倍弱へと急拡大しているものの、その比率は34.1%に止まっています。

もちろん、警察庁の「幹部」と上場企業の「役員」を同一に考えることは無理がありますが、少し意外な結果と見る人もいるでしょう。

『女性活躍推進法』の成立は女性活躍社会のゴールではない

思い返すと、「女性活躍」は現在の安倍政権が掲げる重要政策の1つです。わざわざ、「女性活躍担当」の閣僚(大臣)まで設置したくらいですから、強い意気込みを感じずにはいられません。

しかし、今から約3年前の2016年(平成28年)4月に『女性活躍推進法』が成立して以降、女性活躍に関する具体的な政策を耳にすることが少なくなったように思われます。法案成立はゴールではなく、女性活躍の始まりだったはずです。

たとえば、安倍政権の支持層でも、「女性活躍担当」の大臣が誰なのか即答できる人は意外に少ないのではないでしょうか。施行から既に3年が経過したとはいえ、『女性活躍推進法』の効果は不明瞭なままと言っていいでしょう。ちなみに、現在は片山さつき参院議員が担当大臣です。

激変する国内外情勢とは別に、「女性活躍」政策の進捗を

確かに、法案成立以降の3年間は、筆者を含めた多くの人の関心が、激変する国際情勢(ブレグジット、トランプ政権誕生、北朝鮮問題など)や金融市場、あるいは、森友学園問題や閣僚スキャンダルのようなゴシップ問題に向いていました。

最近では“働き方改革”の議論も熱を帯びています。安倍内閣も、こうした諸問題への対応が最優先だったかもしれません。しかし、アベノミクスの大きな柱の1つでもある女性活躍、女性活用を一層推進してほしいと思う人は、女性を中心に少なくないはずです。

女性活躍には、現在も深刻な状況が続いている待機児童解消など、解決しなければならない課題が多くあります。そういったものを含めて、安倍政権が掲げた重要政策の成果に注目したいと思います。

LIMO編集部