2015年10-12月期決算を発表後、株価は▲5%超下落

2016年1月14日(現地時間)に世界最大の半導体メーカー、インテルが決算を発表しました。10-12月期実績は売上高、EPSともにコンセンサスを上回りましたが、発表後の時間外取引での株価は▲5%超下落しました。

データセンター向け売上がやや期待を下回ったことが一因のようですが、インテルが公表した見通しにも原因がありそうです。このため、今回は、インテルの2016年通期見通しに焦点を当てたいと思います。

2016年通期(1-12月期)の見通しに若干の変化が

インテルは今回の決算で2016年通期見通しを発表しました。これを昨年11月19日に「アニュアル・インベスターズ・ミーティング」で発表した2016年の見通しと比較すると以下のようになります(カッコ内は11月時点予想)。

・売上高:1桁台半ばから後半の増収率(1桁台半ばの増収率)

・粗利益率:61%±数%(62%±数%)

・設備投資:95億ドル±5億ドル(100億ドル±5億ドル)

このように、増収率は前回見通しより上方修正、粗利益率と設備投資は少し下方修正されていますが、増収率については、昨年12月に買収が完了したアルテラが今回の予想から含まれていることや、2016年は53週間と前年よりも1週間多いことに注意が必要です。

こうした点を考慮すると、ものすごく悪くはないがとても良いとも言えない、今一つぱっとしない見通しという印象は拭えません。おそらく、これが現在の世界の半導体業界の現状ということなのでしょう。

このことは、半導体パッケージを供給する新光電気工業(6967)、イビデン(4062)、半導体ウエハーを供給する信越化学工業(4063)、半導体製造装置を納めている東京エレクトロン(8035)、日立国際電気(6756)にとっては、ほぼ中立なニュースと捉えられます。

なぜ減価償却期間を延長したのか?

今回の発表で、やや気になった点は、工場設備の減価償却期間が4年から5年に延長されたことです。償却期間を長くすると、年間の減価償却費は少なくなりますので、その分、期間損益にはプラス要因となります。

ただし、インテルのような超優良企業が、期間損益を大きく見せるために減価償却期間を変更するとは考えにくいため、それ以外の何らかの理由により設備の耐用年数が伸びたことが会計変更の要因と考えられます。

仮に、技術革新のスピードが鈍化し、設備が陳腐化するまでの期間が伸びたことが理由なのであれば、半導体設備投資関連業界にとっては少し気になるネガティブなニュースになります(買い替え期間の長期化により売上が減少するため)。今後、この背景については精査していく必要があると考えます。

LIMO編集部