新しい年を迎え、家計や将来のライフプランを改めて見直している方も多いことでしょう。来月2月13日は、今年最初の年金支給日がやってきます。 「もしもの時に支えとなる障害年金は、いくらもらえるの?」「一度決まればずっと受け取れるものなの?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
公的年金の中でも、病気や障がいで生活に制約がある人を支えるものが「障害年金」です。今回は日本年金機構の最新データに基づき、意外と知られていない併給について、更新制度の実態や令和7年度の支給額、そして65歳からの受け取り方のルールについて解説します。
1. 障害年金の併給ルール、65歳から一緒にもらえるのはどんな年金?
障害年金を受給しながら老後を迎える際、多くの人が「老齢年金と両方もらえるのか」という疑問を抱きます。 原則として65歳までは、障害年金か老齢年金のどちらか一方を選択して受給することになります。しかし、65歳以降は特例が認められており、以下の組み合わせであれば同時に受け取ることが可能です。
1.1 ①障害基礎年金+老齢厚生年金
障害基礎年金を受給している方が、65歳以降に老齢年金の受給権が生じた場合(または、老齢年金を受け取れるようになった場合)、「障害基礎年金」と「老齢厚生年金」を同時に受け取ることができます。
これは、基礎年金部分を「障害」として、厚生年金部分を「老齢」として受け取る特例です。基礎年金(老齢基礎年金と障害基礎年金)は同時に受け取ることができません。
1.2 ②障害基礎年金+遺族厚生年金
障害基礎年金を受けている方が、遺族厚生年金の受給対象になった場合、「障害基礎年金」と「遺族厚生年金」 を 同時に受け取ることができます。
どのパターンが最も有利かは、
- 障害等級
- 厚生年金への加入歴
- 家族構成(遺族年金の有無)
などによって変わります。そのため、気になる方は年金事務所で個別の試算を確認しておくことが安心です。
2. 障害年金の更新タイミング、「いちど認定されたら一生安泰!」というわけではない
障害年金は一度認定されれば一生安泰というわけではなく、定期的な「再認定」が必要になるケースが多いです。一度受給が決まっても自動的に続くわけではなく、症状の変化を確認するため、原則として数年ごとに診断書を提出し再認定を受けます。
2.1 【新規裁定】は「3年以内」の短期更新が多い
【新規裁定】で初めての申請で受給が認められた際、「〇年後に再度診断書を提出してください」と更新期間を設定されることがあります。中には、症状が固定され今後の改善が見込めないと判断される「永久固定」の場合もあります。
日本年金機構の統計によると、新規裁定では更新期間が2~3年とされるケースが最も多く、全体の約6割を占めています。これは、障害の状態が時間とともに変化し得るため、比較的短い間隔で確認が必要と判断されるためだと考えられます。
2.2 【再認定】は「5年更新」と「永久固定」で約5割を占める
【再認定】では更新期間5年と永久固定が合わせて約5割を占めています。受給中に状態が安定してきた場合、更新期間が長くなったり、永久固定と判断されることもあります。逆に、状態が変わる可能性がある場合は短い更新期間が設定されます。
このように、障害年金は状況に応じて更新間隔が見直されるため、「障害年金を一生もらい続ける」とは限らないしくみになっています。
3. 障害年金の上乗せ、暮らしを支える「障害年金生活者支援給付金」
加入する年金制度により「障害基礎年金(国民年金)」と「障害厚生年金(厚生年金)」に分かれています。
障害年金は2階建て6/8
筆者作成
会社員の場合は両方、自営業の場合は障害基礎年金のみが対象となります。さらに、障害の程度によって受け取れる年金の種類も変わります。令和7年度の障害年金額は、物価や賃金の動向を反映して改定されました。
3.1 障害基礎年金の金額
令和7年4月からの障害基礎年金は、1級が年額103万9625円、2級が83万1700円(※昭和31年4月2日以降生まれの場合)になっています。また、扶養する子どもがいる場合には加算があり、2人まで各23万9300円、3人目以降は各7万9800円が年金に上乗せされます。等級や家族構成によって受給額が変動します。
3.2 障害厚生年金の金額
令和7年4月からの障害厚生年金は、主に会社員や公務員を対象とした制度で、基本的な年金額は、加入期間中の収入などで決まる「報酬比例」で計算されます。
障害等級1級の場合は、この報酬比例額に1.25倍を掛けたうえで、配偶者がいると「配偶者加給年金」(年額23万9300円)が加算されます。2級も同様に加算が適用され、3級については報酬比例額のみが支給されますが、最低保障額として62万3800円(または62万2000円)が設定されています。
なお、3級の基準に満たない場合でも、一定の障害が残る場合には「障害手当金」という一時金が支給されることがあります。
3.3 障害年金生活者支援給付金「1級と2級で給付金額は変わる」
さらに、所得が一定基準に該当する世帯には「年金生活者支援給付金」が通常の年金に上乗せして支給されます。
障害基礎年金を受給されている方へ

月額支給額の目安(障害等級別)
- 1級:6813円
- 2級:5450円
このように、障害年金生活者支援給付金の月額は、障害等級によって異なります。例えば、扶養家族がなく、所得が一定以下である障害等級1級の障害基礎年金受給者で、障害基礎年金と障害年金生活者支援給付金を両方受給する場合、合わせて、年間およそ112万円を受け取ることになります。
ただし、この障害年金生活者支援給付金は対象者でも自然に年金に上乗せしてもらえるわけではなく、請求の手続きが必要になるので注意が必要です。
4. 障害年金と日々の暮らし、制度の理解で「もしもの備え」を
今回は、障害年金の最新の受給額や、更新制度の実態について解説しました。
令和7年度は受給額が改定されるほか、障害年金生活者支援給付金によるサポートも継続されますが、新規受給者の約6割が3年以内に再審査を控えているという点には注意が必要です。
また、65歳以降は老齢年金との組み合わせ方で受取額が変わるため、事前の情報収集が欠かせません。こうした社会保障制度を正しく知ることは、自分や家族の暮らしを守る「一生モノの備え」となります。
まずは「ねんきん定期便」を手元に、ご自身の受給要件や将来のシミュレーションを一度確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「パンフレット 知っておきたい年金のはなし」
- 日本年金機構「障害年金ガイド 令和7年度版」
村岸 理美