6. 【年金+貯蓄だけで足りない場合】シニア世代が検討したい「現実的な対策」とは
最後に、年金と貯蓄だけでは不足する場合の対策について整理しておきましょう。
老後の家計が赤字になりやすい現状を踏まえると、体力や健康状態に問題がなければ、無理のない範囲で短時間就労を取り入れ、収入を補うことは現実的な選択肢の一つです。
実際に、総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」によると、2024年の65歳以上の就業者数は930万人に達し、過去最多を更新しており、シニア世代の就労は広がりを見せています。
ただし、収入が一定額を超えると在職老齢年金制度により年金の一部が支給停止となる場合があるため、注意が必要です。
あわせて、収入面だけでなく「支出の見直し」も欠かせません。
食費や住居費、通信費といった項目は比較的調整しやすく、家計全体の負担軽減につながりやすい支出といえるでしょう。
さらに、貯蓄についても預貯金に偏らず、必要に応じて「資産の置き場所」を見直すことが大切です。
投資を無理に行う必要はありませんが、選択肢の一つとして理解しておくことで、将来に向けた備えの幅を広げられるでしょう。
7. 年金制度改正を踏まえ、現実に即した老後設計が重要に
本記事では、70歳代シニアの貯蓄額をはじめ、年金月額やひと月の家計収支について、公的データをもとに確認していきました。
年金制度改正により、就労と年金受給を両立しやすい環境は整いつつありますが、年金だけで老後の生活を十分に賄える世帯は決して多くありません。
また、貯蓄額には大きなばらつきがあり、平均的な無職夫婦世帯でも家計は赤字となっています。
さらに、健康寿命と平均寿命の差を考慮すると、長期にわたる生活費や医療・介護費への備えが欠かせません。
自身の収入・支出・資産状況を冷静に見直し、働き方や家計管理を含めた現実的な準備を進めていくことが、老後の不安を軽減する第一歩となるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査 家計収支編(2024年)第3-2表」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
橋本 優理