受験や進学のニュースを目にする機会が増えるこの季節、「教育費って、結局いくら必要なんだろう…」と考えたことはありませんか。
筆者はファイナンシャルアドバイザーとして資産運用の相談を受ける中で、「投資で教育費を準備するのは不安」という声を多く聞いてきました。そんな中、2027年に創設予定の「こどもNISA」が、子育て世代の新たな選択肢として注目されています。
今回は、家計診断サービス「オカネコ」の新NISA利用実態調査をもとに、こどもNISAの仕組みと、月1000円から始めた場合の資産シミュレーションを見ていきます。
1. 新NISA3年目の運用成果、「9割がプラス」1800万円の非課税枠は《急がず使う派》が多数
2024年に始まった新NISAは3年目を迎え、利用者の多くが運用の成果を実感しています。家計診断・相談サービス「オカネコ」の調査(利用者382人)によると、運用成績が「プラス」と回答した人は合計90.2%にのぼり、そのうち44.9%は「20%超のプラス」となりました。
一方で、制度利用への満足度は93.8%と高い水準にあるものの、継続の課題として「家計からの資金捻出」を挙げる声も少なくありません。
1.1 NISAの非課税保有限度額1800万円の枠は何年で使い切る?
非課税保有限度額1800万円の枠の使い方を見ると、「10〜15年以内」での活用を想定する人が37.6%と最多で、最短5年で使い切る層は24.8%にとどまりました。
多くの利用者が、収入やライフイベントを踏まえながら、無理のないペースで長期投資を続けている様子がうかがえます。短期間で枠を使い切ることよりも、時間を味方につけて積み立てていく考え方が、現実的な選択肢として受け止められているといえるでしょう。こうした傾向は、2027年に創設予定の「こどもNISA」を考えるうえでも、参考になるポイントです。
調査概要
調査名:オカネコ 新NISA3年目の利用実態調査
調査方法:WEBアンケート
調査期間:2026年1月10日(土)~2026年1月12日(月)
回答者:全国の『オカネコ』ユーザー382人
回答者の年齢:30代以下18.6%、40代26.4%、50代32.2%、60代以上22.8%
回答者の世帯年収:400万円未満24.4%、400万円以上600万円未満20.7%、600万円以上800万円未満16.0%、800万円以上1,000万円未満12.8%、1,000万円以上1,200万円未満6.3%、1,200万円以上13.1%、わからない6.7%
2. 2027年創設!こどもNISA、年間投資額は60万円まで「非課税枠600万円」
2025年12月に金融庁が公表した「令和8(2026)年度税制改正について―税制改正大綱における金融庁関係の主要項目―」では、NISA制度をより充実させる取り組みの一環として、「こどもNISA」の創設方針が示されました。
2027年にスタート予定のこどもNISAは、0~17歳の子どもを対象に、将来に向けた資産づくりを後押しする新たな制度です。
年間の投資上限は60万円、生涯で非課税のまま保有できる金額は600万円とされており、長期・分散投資に適した投資信託への投資が想定されています。原則として運用中の資金は引き出せませんが、12歳以上で本人の同意があり、かつ使い道が子どもの利益にかなう場合に限って、親権者による引き出しが可能とされています。
18歳になると、こどもNISAで運用していた資産は自動的に通常の「つみたて投資枠」に引き継がれ、引き続き運用を続けることができます。幼少期から長い時間をかけて資産形成に取り組める点が、こどもNISAならではの特徴といえるでしょう。
3. こどもNISAで3パターンの積立シミュレーション、5歳から月1000円でどうなる?
こどもNISAでは、非課税で保有できる金額の上限が600万円と定められています。そのため、あらかじめ「いつ・何のために使うのか」といった出口を意識しておくことが重要になります。
そこで、5歳から積立投資を始めたケースを想定し、どのような資産の姿が考えられるのかを確認してみましょう。本章では、金融庁の「つみたてシミュレーター」を参考に、条件の異なる3つのケースを紹介します。いずれも想定利回りは年3%、積立期間は10年間としています。
3.1 ケース①毎月1000円(お小遣いで投資体験)
5歳から10年間、お小遣い感覚で積み立てると、将来の資産額は14万円(元本12万円+収益2万円)となります。少額ですが、親子で経済の動きを学ぶ「生きた教材」として最適です。
3.2 ケース②毎月1万円(児童手当をそのまま運用)
児童手当を原資に10年間運用すると、資産額は139万円(元本120万円+収益19万円)まで膨らみます。これは高校入学や塾代など、まとまった教育費の足しとして心強い味方になります。
3.3 ケース③毎月4万円(本格的な教育資金づくり)
月4万円ずつ10年間積み立てれば、資産額は558万円(元本480万円+収益78万円)に達します。制度上の限度額600万円をほぼ使い切る形になり、大学進学等の大きなライフイベントにも十分備えられる可能性があります。
なお、今回紹介したシミュレーション結果は、年齢条件のない公開資料をもとに「5歳から開始した場合」を仮定した試算例です。実際の運用成果を約束するものではなく、投資信託などの金融商品には価格変動による元本割れの可能性がある点にも注意が必要です。
4. こどもNISA、「早く・無理なく」はじめる教育費対策
今回は、新NISA利用者の調査結果をもとに、こどもNISAの仕組みと教育費づくりの考え方を解説しました。調査からは、短期間で増やすよりも、家計に負担をかけず長く続ける投資が選ばれている実態が見えてきます。
長期投資

こどもNISAも、月1000円といった少額から始められる点が特徴です。大切なのは「いくら増えるか」より、「続けられるかどうか」。時間を味方につけることで、金額以上の安心につながる可能性があります。
教育費は、気づいたときが考えどき。制度を正しく理解し、家庭に合ったペースで備えることが大切です。「今すぐ完璧」を目指さず、小さな一歩から考えてみてはいかがでしょうか。





