3. 委託事業者に課せられる11の禁止行為などを紹介
その他の変更した部分も紹介します。まず、「新たな禁止行為の追加」として、委託事業者は以下の行為が禁止されます。
- 協議に応じない一方的な代金決定の禁止
- 手形払等の禁止
また、複数の省庁が連携して違反行為に対応する「面的執行」が強化されます。
これまでは、公正取引委員会や中小企業庁が違反行為を指導・助言しましたが、事業所管省庁の主務大臣にも指導・助言の権限を付与。執行機関(公正取引委員会など)に申し出たことを理由に不利益な取扱い(報復措置)を受けた場合の情報提供先として、事業所管省庁の主務大臣が追加されます。
以下の改正も行われます。
- 委託内容の明示に当たっては、中小受託事業者の承諾の有無にかかわらず、電子メールなどでも可能になる(明示方法を書面か電磁的方法どちらとするかは委託事業者が選択)
- 正当な理由なく委託事業者が製造委託等代金を減額した場合、減額部分について遅延利息の支払い対象になる
今回の取適法では、委託事業者に対し中小受託事業者との取引における適正な対応を求め、具体的な義務と禁止行為が定められています。違反した場合は勧告、指導のほか、50万円以下の罰金が科されます。
委託事業者は、以下の4つの義務を遵守する必要があります。
- 発注内容等の明示
- 取引記録の作成・保存
- 支払期日の設定
- 遅延利息の支払い
さらに、委託事業者は11の禁止行為が定められています。
- 受領拒否
- 製造委託等代金の支払遅延
- 製造委託等代金の減額
- 返品
- 買いたたき
- 購入・利用の強制
- 報復措置
- 有償支給原材料等の対価の早期決済
- 不当な経済上の利益の提供要請
- 不当な給付内容の変更・やり直し
- 協議に応じない一方的な代金決定
それぞれの詳細や気になるポイントは、政府広報オンラインの「2026年1月から下請法が『取適法』に!委託取引のルールが大きく変わります」を確認してください。
最後に、今回の取適法に関連して、違反を感じた時の相談窓口を紹介します。
委託事業者との取引で「価格協議に応じてもらえない」「代金が全然支払われない」などの違反があれば、公正取引委員会の相談窓口に相談しましょう。
内容は委託事業者に知られることはないので、安心して相談ができるそうです。
いかがでしたでしょうか。
取適法は、中小受託事業者が不当な負担を強いられないための法律です。委託事業者も中小受託事業者も法律の内容を理解し、対等なパートナーシップを築くようにしましょう。
参考資料
LIMO編集部

