本格的な冬を迎え、一年を振り返りながら来年の計画を立てるこの時期。老後の生活設計について、改めて考える方も多いのではないでしょうか。

「老後2000万円問題」が話題になって久しいですが、最新の調査では、日本人の多くが「100年人生」に対する準備不足を感じているという厳しい現実が浮き彫りになっています。

この記事では、総務省の家計調査やJ-FLECのデータに加え、最新のグローバルレポート(フィデリティ投信)をもとに、60歳代・70歳代の家計のリアルと、私たちが今取り組むべき課題について詳しく解説します。

1. 「人生100年時代」の日本人。50歳代の7割超が「10年分以上の資金不足」リスク

老後の家計収支を見る前に、まずは日本人が直面している「長寿に対する備え」の現状を確認しておきましょう。

フィデリティ投信が発表した最新レポート『長寿革命:新しい現実への備え(The Longevity Revolution: Preparing for a New Reality)』によると、日本の50歳以上のうち、人生100年を前提とした場合に72%の人が「少なくとも10年分の生活資金が不足する」リスクがあることが判明しました。

1.1 リタイア準備における「3つの課題」

調査結果によると、日本人のリタイア準備には「3つの課題」がありました。

まず、準備のために「何もしていない」人が31%と世界平均の2倍以上に上り、準備不足が深刻です。資産構成も「現金」に偏っており、投資による資産形成が進んでいない現状があります。

その一方で、「長生きしてお金が足りなくなること」への不安は世界平均を大きく上回る一方で、「不安は強いが行動に移せていない」という傾向が見られています。

こうした不安を解消し、現役時代から現実的な対策を立てるためには、まず「老後の家計のリアル」を知ることが欠かせません。

次では、実際のリタイア世帯の家計収支や貯蓄に関するデータを見ていきましょう。