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12月29日(火)深夜0:00発表予定の米消費者信頼感指数に注目です。
12月の米消費者信頼感指数は、米小売業年間売上高の約20%を占めるクリスマス商戦を経て米国の消費者マインドがどのように変化したかを把握するための重要なヒントになります。
12月米消費者信頼感指数の市場予想は93.8です。
2015年12月29日(火)深夜0:00発表予定の米消費者信頼感指数に注目
全米産業審議会(以下、コンファレンスボード)は、米GDPの約70%を占める個人消費との相関性が高い米消費者信頼感指数を発表しています。
米消費者信頼感指数は、米FRBグリーンスパン元議長が注目していた経済指標と言われており、マーケット参加者にも大変注目されています。最近の米国の金融政策においても、依然として判断材料の1つとして活用されています。
特に、クリスマス商戦を織り込んだ12月の米消費者信頼感指数と米小売売上高は、年末商戦の動向を裏付ける経済指標となっており、マーケット参加者が特に注目しています。
米小売業年間売上高の約20%を占めるクリスマス商戦
米国では、11月第4木曜日の感謝祭が終わると、クリスマス商戦に突入します。
TVで世界中に放送されるNYロックフェラーセンターのクリスマスツリーも、今年は12月2日に点灯され、歌手のスティング等が歌を披露しました。この世界一有名なクリスマスツリーを見るために、毎年ではなく毎日!35万人~75万人が集まります。
感謝祭翌日の金曜日(今年は11月27日)からデパートや小売店が一斉にセールを始めます。小売業は、どんなに赤字のお店でもこの時期には黒字になりやすいため、セールが始まる金曜日は、通称「ブラックフライデー(1年で最も売上高の多い日)」と呼ばれます。
また、2005年以降ネットショッピングで購入する消費者も激増しているため、11月第4木曜日の感謝祭翌週の月曜日(今年は11月30日)をサイバーマンデーと呼び、オンラインショップ各社が一斉にセールを開始します。
12月米消費者信頼感指数の市場予想は93.8
前回、11月の米消費者信頼感指数は、市場予想の99.5を大幅に下回る90.4と、2014年9月以来の低水準となりました。特に、今後の所得減少を見込んだ消費者の回答比率は11.8%と2014年9月以降、最も高い数値となりました。
今回、12月消費者信頼感指数の市場予想は、93.8となっており、これを上回る水準となった場合、米国のGDPの約70%を占める個人消費が堅調と判断され、S&P500、NYダウ等の株価指数や、米アクティブ型、パッシブ型(インデックス型)、ブル・ベア型の投資信託には支援材料となるでしょう。
また、短期的には、米小売株の個別物色の動きも強まるでしょう。ただし、米小売株の場合、高級品・中級品・低級品を扱う企業によって、それぞれ販売動向が全く異なりますので、米消費者信頼感指数等のマクロの経済指標のみならず、各社の既存店売上高等を必ずチェックしてから投資判断をしてください。
【参考情報】米消費者信頼感指数の基礎知識
そもそも、米消費者信頼感指数とは?
民間非営利調査機関である米コンファレンスボード(全米産業審議委員会)が発表する米消費者信頼感指数は、消費者に対するアンケート調査をベースに消費者のマインドを指数化したものです。
毎月25日から月末にかけて発表され、アンケートの対象者が5,000人と米ミシガン大学消費者信頼感指数と比較して調査の母集団が大きいため、非常に信頼性の高い経済指標と言えます。
アンケート項目は、現状の景況感・雇用状況、6か月先の景況感・雇用・所得、6か月以内の購入計画(住宅・自動車等)となっています。
これら項目の楽観・悲観の回答結果を指数化し、現在の状況を表す「現況指数」と、6か月後の景況感である「期待指数」をそれぞれ算出し、平均値にしたものを米コンファレンスボードが発表します。
なお、米ミシガン大学消費者信頼感指数も有名であり、速報性が高く先行指標として重要視されます。一方、コンファレンスボードの発表する消費者信頼感指数は、サンプル数が多く信頼性が高い経済指標と言えます。
したがって、米ミシガン大学消費者信頼感指数で「トレンド」を予測し、米コンファレンスボードの消費者信頼感指数で「チェック」すると良いでしょう。
※元データの確認は、全米産業審議会(コンファレンスボード)のウェブサイトをご参照ください。