2. 政府が掲げる総合経済対策「3つの柱」

政府は、日本経済が長年続いたデフレやコスト削減重視の流れから、持続的な「成長型経済」へ移行する大事な局面にあると見ています。デフレに逆戻りせず、しっかりと成長軌道に乗せられるかが、今まさに問われている段階です。

そのため、従来の政策を大きく見直し、経済成長で得られた利益を国民に広く還元し、暮らしの豊かさを実感できる社会を目指すことを掲げています。

今回の経済対策は、次の3つの柱で構成されています。

2.1 第1の柱:生活の安全保障・物価高への対応

急速な物価上昇によって家計への負担が強まるなか、国民が安心して暮らせる環境を確保するための総合的な支援策を示しています。

エネルギー価格の高騰は生活の根幹を揺るがす問題であり、電気・ガス・灯油といった必需コストの上昇は、特に冬場に大きな影響を及ぼします。政府はこれらの負担を直接和らげる支援を行い、依然厳しい状況にある中小企業の光熱費対策にも踏み込んでいます。

また、食料品や日用品の価格上昇が続くなかで、子育て世帯や低所得世帯の支援を手厚くする方針も示されています。とりわけ学校給食費の補助は、家計の負担が増している家庭にとって大きな意味を持つ施策です。

加えて、地域経済を冷え込ませないため、プレミアム商品券や電子クーポンといった仕組みを通じて消費を喚起し、商店街や中小事業者の活力維持を図る取り組みも盛り込まれました。生活基盤となる交通や住環境の支援、災害時の迅速な復旧支援なども含め、物価高の中でも人々が「暮らしの安心」を実感できるよう多方面から支える内容となっています。

【検討されている具体的施策の例】

  • 電気・ガス・灯油の負担軽減策
  • 中小企業向けエネルギーコスト支援
  • フードバンクや子ども食堂による食品提供支援
  • 地域限定のプレミアム商品券・電子クーポンの発行
  • 地域交通や物流体制の支援、小売・サービス支援

2.2 第2の柱:危機管理投資・成長投資による強い経済の実現

日本経済を外部環境の変化に左右されない強靱な構造へと転換しつつ、新しい成長エンジンを育てることを目的としています。自然災害や国際情勢の不安定化により、エネルギー・食料・産業基盤の脆弱性が顕在化するなか、まずは生活と産業の根幹を支える“危機管理投資”を強化し、供給網を安定化させる取り組みが重視されています。

同時に、AIや半導体といった先端技術分野への集中的な投資を通じ、日本が世界的な競争の中で優位性を確立していくための“成長投資”も加速させていく方針が示されました。

国内に生産・研究基盤を確保し、省力化・自動化への投資を後押しすることで、企業の生産性向上と賃上げの好循環を生み出す狙いもあります。

食料やエネルギーの安定供給体制を強化し、スタートアップ育成や人材投資を通じて革新的な事業が生まれやすい経済構造を築くことも目標とされています。危機への備えと成長分野への重点投資を両輪で進め、日本が将来にわたって持続的に発展できる環境を整える内容です。

【検討されている具体的施策の例】

  • 半導体・AIなど戦略分野への投資強化
  • 重要物資サプライチェーンの国内強化
  • 中小企業の省力化・自動化投資支援
  • エネルギー・食料安全保障の確立
  • 先端人材育成・スタートアップ支援

2.3 第3の柱:防衛力と外交力の強化

急速に不確実性が高まる国際情勢の中で、日本の平和と国民生活を守るための安全保障基盤を強めることを目的としています。周辺国の軍事力増強や新たな安保リスクが顕在化する状況では、抑止力と対処力を備えた防衛体制を確立することが欠かせません。

政府は、防衛力を「国家としての最重要課題の一つ」と位置づけ、装備品の整備から人員確保、サイバー・宇宙といった新領域の強化まで、多角的に取り組む姿勢を明確に示しています。

同時に、外交力の強化も欠かせない要素として位置づけられています。日米同盟を軸に、多国間連携や国際秩序の安定化に寄与し、経済面でも重要国との協力関係を深化させることで、日本企業の活動環境を守り、国益を確保するという考え方です。

国内外の安全保障体制を強めることで、日本社会が外部リスクに揺さぶられない強靱な国となることを目指しています。

【検討されている具体的施策の例】

  • 自衛隊の装備・体制整備の強化
  • 防衛産業の基盤維持・生産能力向上
  • サイバー・宇宙・電磁波領域の防衛強化
  • 自衛隊員の処遇改善・人材確保
  • 日米同盟強化と多国間協力の推進