師走に入り、街は年末年始の準備やイベントで賑わいを見せています。 一方で、来年の家計を考えるこの時期に、老後の生活資金について不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

現役世代はもちろん、すでに老後の生活を送っている方々にとっても、お金の悩みは尽きることがありません。 特に、物価高や円安が続く経済状況は、年金生活を送る高齢者世帯の家計に大きな影を落としています。

厚生労働省の調査によれば、高齢者世帯の半数以上が「生活が苦しい」と感じているという、厳しい実態が明らかになっています。

本記事では、この現実を踏まえ、70歳代の高齢者世帯の平均的な生活費、年金収入、そして貯蓄の状況について詳細に分析していきます。 データに基づいた客観的な視点から、公的年金だけでは生活費を賄うことが難しい現状を深掘りし、老後資金を巡る具体的な課題を浮き彫りにします。

1. 高齢者の半数以上が「老後生活が苦しい」と感じている

まず、現在の高齢者がどのような生活意識を持っているのかを見てみましょう。

厚生労働省がまとめた「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、高齢者世帯の生活意識は次のとおりです。

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた割合は合計55.8%に達しており、高齢者世帯では「普通」と回答した層よりも、家計の厳しさを感じている層の方が多いことが分かります。