5. 老齢年金だけでは生活が厳しい…「年金生活者支援給付金」を受けとれる人も!
次の要件を満たす方は、年金支給日に「年金生活者支援給付金」という給付金も受けとれます。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
- 前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下※2である。
※障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
年金生活者支援給付金は、2019年10月に創設された制度で消費税の引き上げ分を財源としています。
給付額は基準額となる5450円(2025年度の基準月額)を元に、国民年金保険料の納付状況に応じて計算されます。
参考として、保険料納付済期間ごとの給付額の目安を見ていきましょう。
- 納付済期間240ヶ月・全額免除期間0ヶ月:月額2725円
- 納付済期間240ヶ月・全額免除期間60ヶ月:月額4169円
- 納付済期間240ヶ月・全額免除期間240ヶ月:月額8501円
- 納付済期間360ヶ月・全額免除期間120ヶ月:月額6976円
- 納付済期間280ヶ月・全額免除期間200ヶ月:月額7992円
- 納付済期間200ヶ月・全額免除期間280ヶ月:月額9008円
これはあくまで目安ですが、同じ納付済期間であっても、残りの期間が未納か免除かによって、給付額が大きく異なります。
なお、この給付金は支給要件を満たす限り2カ月に1回のペースで受けとれるため、老後生活において貴重な収入源の一つとなるでしょう。
現役世代の皆さんは、年金生活者支援給付金という制度があるということを頭の片隅に置いておきつつ、ご自身の老後に向けて資産形成を進めておく必要があります。
この記事で確認したように、年金額は個人差があります。しかし年金収入だけで全ての生活費をカバーできそうか?と考えると難しいと思う方が多いのではないでしょうか。
私的年金等で年金以外の収入源を確保する、赤字を補填するための資産をつくっておくなど、現役時代にしっかりと準備をしておきたいものです。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構 年金用語集「た行 特定事業所」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
和田 直子
