住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローン利用者の6割以上が「今後1年間で住宅ローン金利が現状よりも上昇する」と考えています。近年、新規で変動金利を借り入れている人が大多数を占めていることから、金利上昇で気になるのが返済負担の増加についてです。

返済負担を抑えるためには借り換えや繰り上げ返済も選択肢のひとつとなりますが、それぞれメリット・デメリットをきちんと理解しておく必要があります。

ここでは、住宅ローン借り換えのメリット・デメリットや繰り上げ返済の是非について元銀行員の筆者が解説します。

1. 【住宅ローン】変動金利と固定金利「どっちが多い?」

金融庁の「地域銀行の住宅ローンに関する実態把握 」を見てみると、地域ごとの住宅ローン金利の選択にはっきりとした違いがあることがわかります。残高ベースでは全国的に変動金利型が多数派ですが、北海道・東北や中国・四国などでは固定金利型が相対的に選ばれている傾向が確認されました。

※分析には一部データが未入力の「欠損」が含まれています

また、新規の住宅ローンでは、不動産価格の高騰などから借り入れ金額が増え、さらに返済期間も長期化する傾向が見られます。

この高額化と長期化は、一般的にローン債権のリスクを高める要因になると金融庁も指摘しており、今後の動向を注視する必要があります。変動金利で借り入れている方は、こうした市場や地域ごとの特性を踏まえ、ご自身の返済計画を改めて見直すことが大切です。

2. 【住宅ローン】借り換えのメリットとは?

住宅ローンの借り換えのメリットは、「借り換え後の金利タイプ」によって異なります。

まず、変動金利タイプへ借り換えた人は、借入金利が下がることが大きなメリットです。実際に住宅金融支援機構の調査によると、変動金利へ借り換えを行った理由として「金利が低くなるから」との回答が約4割と最も多くなっています。

一方、固定金利タイプへ乗り換えた人は、金利上昇に対する不安を解消できるメリットがあります。変動金利に比べて借入金利は高くなるものの、借入期間を通じて返済額が変わらない点は安心感につながるでしょう。

また、いずれの金利タイプで借り換えを行う場合でも、団信の保障内容を充実させられる共通のメリットがあります。新しく団信に加入しなおすことで、従来の団信ではカバーできていなかった病気に備えられるケースがあり、万が一のリスクへの備えを強化できます。