トヨタ、3Q累計の売上・営業益は増加も純利益は減少 引き続きコネクティッド/MaaS分野に注力

2019年2月6日に行われた、トヨタ自動車株式会社2019年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料①IR資料②

スピーカー:トヨタ自動車株式会社 副社長 友山茂樹 氏
トヨタ自動車株式会社 執行役員 白柳正義 氏

連結販売台数(9ヶ月累計)

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白柳正義氏:白柳でございます。本日はお足元の悪い中、弊社決算説明会に起こしいただき誠にありがとうございます。また、弊社製品をご愛好いただいているお客さまを始め、弊社を支援くださっているすべての関係者のみなさまに、厚くお礼を申し上げます。誠にありがとうございます。

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それでは、2019年3月期第3四半期決算をご説明いたします。

4月から12月までの9ヶ月累計の実績についてご説明いたします。当期の連結販売台数は前年同期に比べ、2万3,000台の増加となる670万1,000台となりました。主にアジアにおいて、販売が堅調に推移したことによるものでございます。

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連結決算要約(9ヶ月累計)

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当期の連結決算は、売上高が22兆4,755億円、営業利益が1兆9,379億円、税引前利益が1兆7,257億円、当期純利益が1兆4,233億円となりました。売上高、営業利益では増収増益となりましたが、当期純利益は5,898億円の減益となっております。

主な要因はスライド下の「*3」に補足してございます。前期の利益には、米国税制改正による2,919億円の益が含まれていたこと、および当期の株式市場悪化にともない、未実現持分証券評価損益が3,100億円の減益となったことによるものです。

未実現持分証券評価損益について補足させていただきます。当社は現在、米国会計基準を採用しております。当期から米国会計基準の変更を受け、子会社・関連会社以外の保有株式について、時価評価を損益計算書に計上しております。これは、12月末時点の株価に基づいた評価上の損失であります。

連結営業利益増減要因(9ヶ月累計)

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営業利益の増減要因についてご説明いたします。為替変動の影響は、100億円の増益となりました。原価改善の努力は、原材料市況の上昇を上回る原価改善活動により、100億円の増益となりました。営業面の努力は、北米・アジア・欧州の車種構成の改善や金融事業の収益改善などにより、2,100億円の増益となりました。

諸経費は、主に日本・中南米での労務費の増加などにより、100億円の減益となりました。この結果、為替・スワップ評価損益などの影響を除いた営業利益は、2,100億円の増益となりました。

所在地別営業利益(9ヶ月累計)

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所在地別の営業利益について、スライドの左側から順にご説明いたします。まず、日本の販売台数は新車効果が一巡したことなどにより、前年同期を4万4,000台下回る159万5,000台となりました。営業利益は、原価改善や営業面の努力などにより、前年同期を1,313億円上回る1兆2,442億円となりました。

北米の販売台数は、「RAV4」や「カローラ」の切り替え準備による一時的な減少などにより、前年同期を4万1,000台下回る209万1,000台となりました。営業利益は、前年同期を44億円下回る1,637億円となりました。販売報奨金は、重点モデルへの効率的な投入などにより、適切にコントロールしています。

欧州の販売台数は「CHRハイブリッド」などのハイブリッド車の販売台数の増加により、前年同期を1万9,000台上回る72万5,000台となりました。営業利益は、営業面の努力と諸経費の減少などにより、前年同期を245億円上回る870億円となりました。

アジアの販売台数は、タイ・中国・インドなどでの販売台数の増加により、前年同期を12万7,000台上回る127万5,000台となりました。営業利益は、台数増を中心とした営業面の努力などにより、前年同期を599億円上回る3,950億円となりました。

その他地域の販売台数は、中近東での販売台数減少などにより、前年同期を3万8,000台下回る101万5,000台となりました。営業利益は、現地通貨安や原材料市況の上昇などにより、前年同期を216億円下回る843億円となりました。

金融セグメント営業利益(9ヶ月累計)

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金融セグメントについてご説明いたします。金利スワップ取引などの評価損益の影響を除いた営業利益は、前年同期を431億円上回る2,638億円となりました。これは主に、融資残高の増加や残価コストの減少などによるものでございます。

連結販売台数見通し

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通期の見通しについてご説明いたします。連結販売台数は、第2四半期から5万台増加となる895万台の見通しです。スライド下に記載しておりますグループ全体の小売台数も1,055万台と、第2四半期時点から5万台の増加を見込んでおります。

連結決算見通し要約

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連結決算の見通しです。為替レートの前提を、1月以降1ドル105円、ユーロ125円とし、通期でドル110円・ユーロ120円といたしました。通期業績見とおしは、売上高で29兆5,000億円、営業利益で2兆4,000億円、税引前利益で2兆2,000億円、当期純利益で1兆8,700億円を見込んでいます。

なお、未実現持分証券評価損益の影響は、9ヶ月累計実績の数値を据え置いております。

連結営業利益見通し増減要因(2Q見通し差)

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第2四半期時点からの増減要因について、ご説明いたします。為替変動の影響で、100億円の増益。原価改善の努力で200億円の減益を見込んでおります。営業面の努力は、日本・欧州における販売台数の増加、金融事業の収益改善などにより850億円の増益を見込んでおります。諸経費は、労務費・経費の増加などにより650億円の減益を見込んでおります。

以上の結果、通期見通しは2兆4,000億円と、第2四半期時点の見通しを据え置いております。

連結営業利益見通し増減要因(前期差)

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前期実績に対する営業利益の増減要因について、ご説明します。先ほど申し上げましたとおり、第2四半期時点の見通しを据え置いており、対前年では2億円の増益見込みとなります。為替・スワップ評価損益等の影響を除きますと、原価改善や営業面の努力により、1,350億円の収益改善を見込んでいます。

期初より取り組んでまいりました原価・固定費低減の活動は、チャレンジ目標に向けて着実に進捗しており、必達に向け活動をやりきってまいります。

それでは、副社長の友山から競争力強化に向けた取り組みとして「コネクティッド/MaaS」戦略についてご説明いたします。

トヨタのコネクティッド戦略

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友山茂樹氏:トヨタ自動車の友山でございます。私は「コネクティッド」「GAZOO Racing」「TPS」「新規事業」などを統括しておりますが、本日はトヨタの「コネクティッド/MaaS」についてお話をさせていただきます。

トヨタは、2年ほど前の2016年末にすべての車のコネクティッド化とモビリティサービスプラットフォーム、略してMSPFと呼んでいますが、その構築と、それを基盤とするビッグデータの活用、そして新たなモビリティサービスの創出という3本の矢から成るコネクティッド戦略を発表いたしました。

モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)

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MSPFは、いわば車と外部との接点でありまして、車とのデータ送受信です。収集された車両データは、トヨタが責任を持って、安全かつセキュアに管理します。一方で、一般のサービス事業者、例えばライドシェア、カーシェア会社、保険会社などは、MSPFを介してトヨタやレクサス社にサービスを提供できます。

コネクティッド戦略の3つの顔

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コネクティッド戦略には「守り・改善・攻め」と3つの顔があります。「守り」は、顧客との長期的な信頼関係を確立して、既存のバリューチェーンを維持・拡大すること。「改善」とは、従来の仕事のやり方を変革して、品質やリードタイム、生産性を飛躍的に改善すること。「攻め」とは、車の新たな価値、新たなモビリティ事業を創出することでございます。

コネクティッド「守り」

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コネクティッドの「守り」の主な施策としては、eケアサービスやヘルスチェックサービスです。車両データに基づいて、販売店やコールセンターからタイムリーなアフターサービスが提供されます。お客さまに安心のカーライフをお届けする一方で、販売店におけるサービスの入庫増、さらにはトヨタ・レクサス社との関係の代替維持に繋げます。

コネクティッド「改善」

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コネクティッドによる「改善」の主な施策としては、車両データに基づく「EDER(Early Detection and Early Resolution)」があります。車両データを常時収集することにより、試乗不具合を早期に発見でき、かつ範囲を特定できますので、試乗措置の迅速化・効率化につながると同時に、処置コストの低減につながります。

また「OTA(Over The Air)」による車両ソフトの更新は、現時点ではナビのソフト関係に限られていますが、2020年からはECUの制御ソフトにも展開されていきます。車のソフトウェアを常に最新に維持でき、かつ入庫して部品交換する方法に比べまして、大幅なコスト低減につながります。

コネクティッド「攻め」

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コネクティッドによる「攻め」の施策としては、車の新価値創出と新たなモビリティ事業の創出に区分されます。車の新価値創出として代表的な機能は「エージェント(音声対話サービス)」です。これは、いわゆるクラウド型のAIアシスタントでありまして、車がユーザーと対話して、ユーザーと心を通わせる存在になるものです。

現在は、ナビなどの操作を自然対話で行える「エージェント1.0」が実用化されていますが、2020年以降に、さらに高度化した「エージェント2.0」が登場する予定です。新たなモビリティ事業の創出は、まさにここが「MaaS」に代表されるように、カーカンパニーからモビリティカンパニーとしての、新たな成長を目指す領域でございます。

MaaS戦略のアプローチ

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トヨタの「MaaS」戦略には、3つのアプローチがあります。1つは「Uber」「Grab」「Didi」など、地域の有力な「MaaS」プレイヤーと提携する。2つ目は、トヨタ自身が「MaaS」ビジネスの事業主体となる。3つ目は、トヨタの販売店が「MaaS」の事業主体となるというものです。

どのアプローチでいくかは地域の状況によって異なりますが、いずれにおきましても、車はもちろんですが、そのメンテナンス、保険、リースといったバリューチェーンビジネスをいかに確保するかが重要と認識しております。

Grabとの協業 “トータルケアサービス”

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「MaaS」プレイヤーとの協業においても不可欠な要素でございます。トヨタは、トヨタ系列の販売店や保険会社と、地域の配車サービス事業者が、MSPF上でデータを共有して車両管理・保険メンテナンスを一貫して行う、ライドシェア向けのトータルケアサービスを開発しました。手始めにシンガポールにおいて「Grab」が所有する1,500台の車に提供を開始しました。

Grabとの協業 “TPSの導入”

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本提携においては、「Grab」社専用にTPS(トヨタ生産方式)の改善を駆使した集中サービス「ICS(Intensive Care Stall)」がトヨタの販売店に設置されまして、車両の稼働率向上と保守費用の低減がかけられています。

トヨタと「Grab」が、このサービスを東南アジア全域の「Grab」車両で展開すると同時に、「Grab」は同地域の「Grab」車両のトヨタ車のシェアを、2020年までに25パーセント向上することを目指します。

トヨタ/販売店主体のMaaS事業

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国内におきましては、フリート(大口顧客)向けのカーリースがすでに展開されておりますが、新たに個人向けのカーリース「KINTO」が2月より始まります。

またスマホでドアの開閉が可能なカーシェアサービス「TOYOTA SHARE」が1月より始まりました。米国におきましては、トヨタ販売店が事業主体となりまして、同様のカーシェアサービス「Hui」がハワイで2018年にスタートし、北米全域への展開が予定されています。

いずれにおきましても、コネクティッドカーとMSPFが基盤であることは言うまでもございません。とくに配車サービスに提供される車両は、現在は既存の乗用車が流用されていますが、将来は特性に合わせた「MaaS」向けの多目的車が必要になると考えています。

MaaS車両のラインナップ

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トヨタは、3種類のラインナップで対応する計画です。表の左側は、昨年のCESで発表した「e-Palette」です。もう少し小型のラインナップとして、中ほどの「Sienna」ベース、右側はさらに小型の「EV」ベースです。トヨタはこれらの「MaaS」車両の延長に、将来の自動運転モビリティサービスがあると考えています。

ただし、レベル4の自動運転車がいつ、どのくらい普及するかは、技術やコスト面だけではなく、法整備や社会的コンセンサスの形成などの課題もあり、予測することは非常に難しいです。

自動運転MaaS車両

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そこでトヨタは、ベースとなるレベル2・3の量産車両にADK(Autonomous Driving Kit)を搭載すると、レベル4の「MaaS」専用車両になるコンセプトのもと、実用化を図る計画です。

ADKの自動運転ソフトは第三者が開発する場合もありますが、車両側に搭載されているトヨタのガーディアンシステムが周辺状況を二重で監視することで、車両の総合的な安全性を高めることを目指しています。また、ADKと車両間のインターフェースを標準化する、さらにはガーディアンを含む制御ユニットを汎用化することで、広く適用を拡大する方針で開発を進めています。

MaaSにおけるグローバル提携

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これらの「MaaS」戦略を実現する上で、トヨタはソフトバンクグループとの提携により、先に述べた「Grab」をはじめ、ソフトバンクが筆頭株主である主要な「MaaS」プレーヤーとの提携を進めてまいりました。

また、ソフトバンクとも、主に過疎地域や高齢者の移動を支援するモビリティサービスの普及において、モネ・テクノロジーズを設立いたしました。年内に複数の市町村でのサービスを予定しておりまして、将来の「e-Palette」導入も視野にあります。

リアルの技術と資産を“強み”に・・

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以上、「コネクティッド/MaaS」分野における私どもの取り組みを説明してまいりましたが、電動化・知能化・情報化の技術革新によりまして、車は大きく進化しつつあり、自動運転モビリティ社会の実現も期待されています。

ただし、AIを駆使して高度なソフトを開発することだけが、その普及を促すことにつながるわけではありません。車は、それ自体も高度なハードウェアとソフトウェアの塊でありまして、未だ発展途上の工業製品であると同時に、人の命をお預かりする商品でございます。

そのような車にAIを搭載して、適正な品質とコストで量産して、タイムリーにメンテナンスして、安全・便利な移動サービスとして社会に普及させるためには、これまで私どもが培ってきたTPSをはじめとするリアルのノウハウと技術、またサービスネットワークを含むリアルの資産……いわゆるリアルの強みを、さらに研ぎ澄ませていくことが重要であると認識しています。

「コネクティッド」から「MaaS」ビジネスへ。トヨタのモビリティカンパニーへの挑戦はまだ始まったばかりですが、誰もが自由で安心・快適なモビリティ社会の実現に向けて貢献してまいりたいと思います。

ご清聴、ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

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