ところが、摂取高(=購入)が減ったのはイチゴだけではありません。家計調査が統計対象とする果物全てが減っているのが実情です。実際に「生鮮果物」という分類で見ると、数量・金額とも減少が続いており、2017年の購入数量(75,060グラム)はピークだった1983年(151,871グラム)の半分以下でした。

日本人は生鮮果物を食べなくなったことが統計上からも明らかです。

ジュースや加工品へのシフトによる影響は限定的

なぜ日本人はイチゴを含めた生鮮果物を摂取しなくなったのでしょうか?

ジュースや加工品(果実入りゼリーなど)にシフトしたのでは?という見解があるかもしれません。しかし、家計調査にある「果物加工品」はほぼ横ばい、もしくは、微増程度に止まっていますし、「果実・野菜ジュース」に限っては、生鮮果物以上の減少トレンドにあります。ジュースや加工品へのシフトによる影響は限定的と言えましょう。

「獲れないから食べない」ではなく、「食べないから獲れなくなった」

また、果物の収穫量そのものが減っているのでは?という見解もあるでしょう。確かに、種類によって異なりますが、収穫量は漸減傾向にあります。

しかし、これは「収穫が少ないから食べなくなった」ではなく、「食べなくなったから収穫が減っている」という表現の方が適切かもしれません。ただ、理由はともかく、収穫が少なくなったことで、価格が上昇していることは否めないでしょう。

こうして考えてみると、結局は“食生活の変化”という理由に辿り着かざるを得ません。皆さんはいかがでしょうか。“そう言えば、以前より果物を食べなくなったなぁ”と感じる人が多いと思われます。果物を摂取しなくなった何か大きな理由がありますか?

昨年の冬季五輪で“もぐもぐタイム”でイチゴが注目された今だからこそ、果物を食べなくなった理由を今一度考えてみるのもいいでしょう。

葛西 裕一