整形に盛り過ぎ写真、「完璧な容姿」に縛られて苦しむ人たち

ビジネス、今日のひとネタ

近年、若い女性の間で、自撮りカメラや画像編集などのアプリを駆使して、自分の容姿を可愛らしく加工して「盛る」ことが流行っています。

その一方で、「いきすぎた画像加工」に対して警鐘を鳴らす女性が現れたことが、イギリスで大きな話題になったのをご存じでしょうか。

自らの容姿を勝手に「編集」されたことへの怒り

2019年3月7日、女優のジャミーラ・ジャミールさんが、自身の加工された写真について「自分はこんな容姿じゃない。これは死ぬほど編集されている。こんなものを信じないで」と怒りを表すツイートを投稿しました。

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投稿された写真は、実際の彼女の外見よりも腕を細くしたり、肌の色を薄くしたりと「理想的」と思われるような編集がなされており、ジャミールさんは、

「こんな編集をされた写真を見たら精神的にすごく落ち込む。この写真のような人間にならなきゃいけないと思ってしまう」

とコメントしています。

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加工で作り出された「完璧な容姿」の危険性

ジャミールさんは10代のころに長期にわたる摂食障害に苦しんだという過去を持っています。この経験から彼女は「自分のありのままの姿を受け入れよう」という考え方に賛同し、メッセージを発信してきました。

雑誌に載っているモデルの「完璧」な容姿に憧れて、それが編集されたものだと気づかずに多くの女性が無理なダイエットをして苦しむことになる。彼女はそう説明し、見た目を大幅に変えるような画像加工の危険性を訴えています。

ジャミールさんの投稿には6万回以上の「いいね」がつくなど大きな反響があり、同意の声や「モデルの美しい容姿を見慣れているせいで自分の容姿が好きになれない」という悩みを訴える投稿が多く見られました。

有村藍里さんが美容整形を受けた理由

「完璧な容姿」といえば、日本でも最近、話題になった女性がいます。

タレントの有村藍里さんが2019年3月3日、自身のブログにて美容整形を受けたと発表したことが大きなニュースになりました。

彼女は有名女優・有村架純さんの実の姉です。もともとこのことは公表していませんでしたが、3年ほど前、新聞記事によってこの関係が暴露されてしまいました。このことで「有村架純の姉」として注目されるようになると、彼女に対して「口元が残念」などと容姿を誹謗中傷する声が多く届くようになり、だんだんと自分の容姿に自信が持てなくなってしまったそうです。

手術後、彼女は「勇気を出してコンプレックスな部分を変えた。口紅を塗るのが楽しくなった」などと嬉しそうに話し、手術してよかったときっぱり言い切っています。

コンプレックスを解決するための美容整形

こうして彼女は美容整形という手段を通して自らのコンプレックスを解決することに成功したわけですが、そもそも彼女のコンプレックスは、人々の容姿に対する誹謗中傷からできてしまったものではないでしょうか。

他人から「完璧」な容姿を求められたことによって、自分自身も「完璧な容姿であるべきだ」「完璧じゃない自分は醜い」と思い込み、苦しむようになってしまう。美容整形を受ける理由は人によってさまざまでしょうが、このような理由を持つ女性も少なくないのではないかと思われます。

前出のジャミールさんは、「完璧な容姿」への複雑な思いから摂食障害になってしまいましたが、「完璧な容姿」を追うあまり、自分は醜いと思い悩み、美容整形を繰り返す女性の存在も、同じような根っこを持つ問題ではないでしょうか。

どこからが「過度な整形」?

ジャミールさんの投稿には多くの「いいね」がつき、また容姿について誹謗中傷を受けた有村藍里さんには同情的な声が多く寄せられていることからもわかるように、「完璧な容姿」を追い求めることに疑問を抱く人は少なくないようです。

一方で、外見の一部が重視されることや、それを気にして容姿を「完璧」に修整することが、一概にすべて批判されているわけでもありません。

たとえば、歯の矯正は最もポピュラーな「整形」と言えるのではないでしょうか。「芸能人は歯が命」という言い回しもあるように、歯は真っ白で綺麗に並んでいることが理想の形とされています。歯並びを治すために高額な歯科矯正を経験した人も決して少なくはないでしょう。

また、アメリカでは日本よりもずっと「美しい歯を持つこと」への意識が高く、歯科矯正はごく当たり前の行為として受け入れられています。「歯並びがいい=歯の矯正を受けられるほど裕福な家庭に育った」として、育ちの良さをアピールできる一種のステータスにもなっているそうです。

このように、「完璧」を求めて容姿を修整する行為の中には一般的なものもあり、どこからが過度といえるのか、程度の線引きをすることは難しいものです。

自分の「ありたい姿」で生きられる社会に

2014年に国際美容外科学会が発表したランキングによると、日本はアメリカ、ブラジルに次いで、世界で3番目に美容整形が多く行われているそうです。ただ、これはシミ取りやレーザー脱毛などの「プチ整形」も含んだもので、メスを使った外科手術での整形の件数は世界平均を下回っています。

「ありのままの美しさ」を重視するあまり「親からもらった体にメスを入れるなんてとんでもない」と美容整形を忌避したり、美容整形を受けた人を「天然の美人じゃなきゃ意味がない」と批判する風潮は、日本ではよく見られるものです。

ただ、「ありのままの姿であるべきだ」という考え方も、他人の勝手な理想の押し付けとも言えるかもしれません。そもそも整形を受けるかどうか、どのような姿でいるかということは、本来その人自身の自由であるべきでしょう。

他人からどう見られるかを気にして、「完璧な容姿」に縛られて無理をしたり、生まれ持った容姿が自分の望まない姿であることに悩んだりするような人々が減り、自分が本来そうありたいと願う姿で自由に生きられるような社会になればいいですね。

クロスメディア・パブリッシング

参考記事

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2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。