立冬(11月7日)を過ぎ、街の空気も冬めいてきました。年末調整の書類が届き始めるこの時期は、税金や収入を見直す良いタイミングです。

そんな中、将来の「公的年金」について考える方も多いのではないでしょうか。2025年度(令和7年度)の年金額は1.9%増え、夫婦2人のモデルケースでは月額23万2784円となっています。

ただし、このモデルはあくまで一例。実際には男女で平均約6万円の差があり、働き方次第では受給額が10万円以上も変わることがあります。

本記事では、この大きな「個人差」に注目し、年金額の分布やライフコース別のモデルケースまで、生活設計に役立つポイントをわかりやすく解説します。

1. 日本の公的年金の仕組み

公的年金は「2階建て構造」などと表現されます。

これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。

厚生年金と国民年金の仕組み

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1.1 《1階部分》国民年金

  • 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上から60歳未満の全員
  • 年金保険料:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(2025年度月額:1万7510円)
  • 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額(2025年度月額:6万9308円)

1.2 《2階部分》厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入

  • 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人
  • 年金保険料:収入に応じて(上限あり)変わる(※2)
  • 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり

※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員が原則加入し、一律の年金保険料を納めます。

一方で厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入し、収入に応じた年金保険料を納めるしくみです。