秋が深まり、2025年も残すところあとわずか。年末調整や新NISAの年間投資枠の使い切りなど、現役世代にとって家計を考える重要な時期です。
特に40歳代・50歳代の方々にとって、ご自身の老後資金だけでなく、物価高騰の影響を直撃している7親世代の暮らし向きも気になるところでしょう。
最新の調査では、70歳代二人世帯の貯蓄額は中央値が800万円と現実的な水準である一方で、「貯蓄ゼロ」の世帯が2割以上という深刻な格差が浮き彫りになっています。この記事では、公的年金の平均受給額と、シニア世帯のリアルな家計収支データを徹底比較します。
老後の「赤字」の実態と、40歳代・50歳代が今すぐ始めるべき年金以外の「収入の柱」を育てるための具体的な対策について解説します。
1. 【貯蓄格差】70歳代二人世帯「貯蓄中央値800万円」と「貯蓄ゼロ2割超」のリアル
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」の「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」をグラフを交えて確認していきます。
※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 貯蓄分布のグラフ:金融資産非保有20.8%、3000万円以上19.0%が示す二極化
「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は1923万円ですが、この数字は一部の富裕層によって押し上げられており、実際の生活水準とは乖離している可能性があります。
より実態に近いとされる中央値は800万円であり、多くの世帯の貯蓄額がこの水準に集中していることがうかがえます。
世帯ごとの貯蓄額分布は以下のとおりです。
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19.0%
- 無回答:3.5%
70歳代・二人以上世帯の中で最も多いのは、金融資産を保有していない「貯蓄0円」の世帯で、全体の20.8%を占めています。一方で、3000万円以上の貯蓄を持つ世帯も19.0%存在しており、世帯間の資産状況には大きな差があることがわかります。
その他の分布を見ると、100万円未満が5.4%、100~200万円未満が4.9%、200~300万円未満が3.4%と、貯蓄が少ない世帯も一定数存在します。一方で、1000~1500万円未満が10.2%、1500~2000万円未満が6.6%、2000~3000万円未満が8.9%と、まとまった資産を保有する世帯も見られます。
このように、貯蓄額は退職金や収入履歴、相続、健康状態などによって大きく異なり、公的年金の受給額も現役時代の加入状況により個人差があります。貯蓄が少ない世帯にとっては、年金収入だけで生活を維持するのが難しいケースもあるでしょう。
老後の安定には、世帯の状況に応じた生活設計が欠かせません。たとえば、健康なうちはパートなどで収入を得たり、不動産や投資による副収入を検討したりと、早めの準備が安心につながります。
