世界的な金融緩和策と米国IT大手の好決算が牽引

先週(2015年10月19日‐10月23日)は、ドイツ株を筆頭に世界の主要株式市場は、ほぼすべての市場で上昇しました。背景は3つあります。

まず1つ目は、欧州中央銀行総裁が12月に量的金融緩和の拡充を予告する主旨の発言をしたことです。この結果、ユーロが売られ、欧州での金利が低下し、株価は上昇しました。

2つ目は、金曜日に発表された中国人民銀行の追加利下げ(金融緩和)です。これはアジア市場では十分に織り込まれていませんが、欧米市場では市場に織り込まれました。

最後の3つ目は、米国のグーグル、アマゾン、マイクロソフトなどの決算が株式市場で好感されたことです。日本でも日本電産が好調な決算を発表し、株価も上昇しました。KDDIや村田製作所、ユニチャームなど好業績企業が相場を牽引しています。

先週の主要市場の動き
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注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

年初来の主要市場の動き
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注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

今週は日米の金融政策、中国の経済政策、そして日本企業の決算がポイント

今週(10月26日‐10月30日)の注目は、26日に始まる中国共産党中央委員会第5回全体会議、27日から2日間開かれる米国の連邦公開市場委員会(金融政策を決定する会議)、そして30日の日銀の金融政策決定会合(物価の見通しを示す「展望レポート」も出されます)です。

企業決算では、海外では不正問題に揺れるフォルクスワーゲンと新型iPhoneを発売したアップルの決算が、日本では大手企業の決算が続々と発表されます。

株式市場は先週の金融緩和を好感していますが、金融緩和政策は物価と景気に対する中央銀行の懸念の裏返しです。米国を除けばマクロ指標に回復の兆しはありませんし、景気に敏感な企業の業績は増収増益基調とは言えません。

中国が有効な需要喚起策を打てるのか、日米の金融政策が世界的な緩和の流れに沿っていくのかが注目です。筆者は一連の流れは国際政策協調の枠組みの中にあるように思えます。ただし、政策効果が現れるまでは米の主要IT企業が市場を牽引するのではないでしょうか。

LIMO編集部