秋が深まる11月、今月は年金支給日がないため、12月の支給日を心待ちにするシニアも多いでしょう。

年金はシニア世代の生活を支える重要な収入源ですが、実際にどれくらいの金額を受け取っているのでしょうか。

今回は厚生労働省のデータをもとに、厚生年金の平均受給額や、月額15万円(2ヶ月で30万円)を受け取れる人の割合について解説します。

2025年度は1.9%の増額改定もありました。ご自身の将来の年金額を考えるきっかけにしてみてください。

1. 国民年金と厚生年金、日本の公的年金は「2階建て」の仕組み

日本の公的年金制度は、基礎となる「国民年金」とその上に乗る「厚生年金」で構成されており、その仕組みから「2階建て構造」と表現されます。

2つの年金制度の基本的な部分を、それぞれ見ていきましょう

1.1 公的年金の基本的な構造

【1階部分】国民年金(基礎年金)

  • 加入対象:原則として日本国内に居住する20歳から60歳未満のすべての人
  • 保険料:所得にかかわらず定額(※1)、ただし毎年度見直される
  • 受給額:保険料を全期間(480ヶ月)納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金(※2)を受給可能。未納期間があればその分が満額から減額される

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

【2階部分】厚生年金

  • 加入対象:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※3)に勤務し、一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入
  • 保険料:収入に応じて決定される(上限あり)(※4)
  • 受給額:加入期間や納付した保険料によって個人差が生じる

2階部分にあたる厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に加えて加入する制度です。 国民年金と厚生年金とでは、加入対象者や保険料の算出方法、そして将来受け取る年金額の計算方法などが異なります。

このため、老後に受け取る年金額は、個人の加入状況や現役時代の収入によって差が生まれることになります。

また、公的年金の支給額は物価や現役世代の賃金の変動に応じて毎年度見直される仕組みである点も、理解しておくべき重要なポイントです。

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される