3. 保険料値上げの内容

今回の保険料値上げの内容は、「賦課限度額の引き上げ」と「所得割の引き上げ」の2つです。

それぞれについて解説します。

3.1 賦課限度額の引き上げ

「賦課限度額」とは、年間保険料の上限のことです。

2023年度に66万円であった賦課限度額は、次の通り引き上げられます。

()内は2023年度と比較した増加額です。

  • 2024年度:73万円(+7万円)
  • 2025年度:80万円(+14万円)

引き上げの対象となるのは後期高齢者全体の1.3%を占める一部の高額所得者だけであり、年金だけで生活している人には影響ありません。

3.2 所得割の引き上げ

後期高齢者の保険料は、加入者が一律に支払う「均等割」と所得に応じた「所得割」の合計金額です。

均等割は変わりませんが、今回の改正で所得割率が「9.87%」から「10.70%」に引き上げられます。

ただし、引き上げは2024年度と2025年度の2回に分けて行われます。

所得割の引き上げの影響を受けるのは年金収入153万円以上(他の収入がない場合)の人で、後期高齢者全体の約40%にあたります。

ただし、年金収入153万円以上211万円未満の人は、2024年度は保険料を据え置き、2025年度から値上げとなります。

厚生労働省の「医療保険制度改革について」によると、具体的な値上げ金額は次の一覧表の通りです。

※()内は前年と比較した値上げ金額です。

後期高齢者医療保険料の値上げ金額

後期高齢者医療保険料の値上げ金額

出所:厚生労働省「医療保険制度改革について」を参考に筆者作成

年収80万円の人は、所得割引き上げの対象になりません。

年収153万円以上の人は所得割の対象ですが、200万円の人の値上げは2025年度からです。

4. まとめにかえて

健康保険法が改正され、2024年4月と2025年4月に後期高齢者医療保険の保険料が値上がりします。

「賦課限度額の引き上げ」と「所得割の引き上げ」が行われますが、年金生活者に影響のあるのは、「所得割の引き上げ」です。

保険料値上げの対象となるのは、年金収入153万円以上(他の収入がない場合)の人です。

ただし、年金収入211万円未満ならば値上げは2025年度からです。

自分の保険料の値上げの有無や値上げ金額を確認し、2024年度以降の収支計画を立てましょう。

参考資料

西岡 秀泰