2. 月をまたいだ入院

高額療養費制度は、原則として同一月、同一の傷病で医療機関にかかり、自己負担限度額を超えた場合に、支給対象となります。

そのため、「月をまたいで入院」をした場合は、高額療養費の支給対象にならないケースが出てくるため注意が必要です。

たとえば、年収500万円の69歳以下の人が20日間入院し、医療費の自己負担額が15万円になったとします。

同月に20日間入院した場合は、限度額8万2430円を超えた分は高額療養費として戻ってきますが、月をまたいで入院し8万2430円を超えない月が出てきた場合は、その月の高額療養費の支給はありません。

反対に、もし上限を超えるのであればそれぞれの月で計算されます。

このように、同一月の自己負担額によって支給の有無が変わるため、請求時に留意しておきましょう。

3. 所得が高い

前述したように、高額療養費制度は所得によって自己負担限度額が異なるため、区分を間違えて計算してしまうと、上限額に大きな違いが出てきます。

たとえば、「年収760万円」と「年収780万円」では、請求額に以下の差が生じます。

【50歳・年収760万円(区分ウ)・医療費100万円の場合】

8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円

【50歳・年収780万円(区分イ)・医療費100万円の場合】

16万7400円+(100万円-55万8000円)×1%=17万1820円

同じ700万円台でも、区分が異なるだけで倍以上も上限額が変わってくるため、上限額を確認する際には適用区分を誤らないように注意しましょう。