2023年度の年金支給額は3年ぶりに引き上げられ、67歳以下の人は2.2%アップ、68歳以上の人は1.9%アップしています。

しかし、月に数千円増える程度であるため、年金生活をしている人の生活実感は変わらないでしょう。

厚生労働省の調査によると、厚生年金をもらっている人の平均受給額は約14万円です。生活するのに余裕がある額とはいえません。

そこで、年金を増やすのに有効な「繰下げ受給」を取り上げたいと思います。繰下げ受給を利用している人の割合や注意点などを解説します。

1. 厚生年金の平均受給月額は約14万円。国民年金はいくら?

厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金と国民年金受給者の年金月額の平均額をみてみましょう。

図表1

出所:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

厚生年金受給者は14万5665円、国民年金受給者は5万6479円が平均月額となっています。

ちなみに、厚生年金に40年間加入した場合で、老齢厚生年金を月額14万5665円受給できる
人の年収はおよそ440万円となります。自分が将来どのくらい年金をもらえるか、大まかな検討がつけられると思います。

年金が少なくて不安な人は、年金額を増やす方法を試みるといいでしょう。「厚生年金の加入期間を長くする、収入を増やす、企業年金に加入する」などさまざまな方法がありますが、「繰下げ受給」も年金額を増やすのに有効な方法です。