遺族年金には、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金保険から支給される「遺族厚生年金」の2種類があります。

これら2つの遺族年金は、それぞれもらうためのルールが異なっているほか、もらえる金額や死亡した人が誰なのかによっても大きく異なります。

このページでは、一例として、正社員の夫(40歳)正社員の妻(40歳)中学生(14歳)小学生(11歳)の4人家族のうち、妻が死亡した場合に夫がもらえる遺族年金のポイントや注意点を紹介します。

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1. 夫が受け取れる遺族年金は「遺族基礎年金」のみ

冒頭で紹介した家族のうち、正社員の妻が死亡した場合に夫が受け取れる遺族年金は「遺族基礎年金」のみです。

通常、遺族基礎年金や遺族厚生年金は、もらうためのルール(受給要件)をどちらも満たしていれば、両方の遺族年金を合わせて受け取ることができ、これを併給(へいきゅう)といいます。

仮に、一例の家族構成で正社員の夫が死亡した場合、妻は、遺族基礎年金と遺族厚生年金のどちらも受け取ることができます。

しかし、一例の夫の場合、遺族基礎年金のみしか受け取れません。

なぜ、夫は遺族厚生年金を受け取ることができないのか、その理由を次で紹介します。

2. 遺族厚生年金を受け取れる対象者には優先順位がある

一例の夫が遺族厚生年金を受け取れない理由は、遺族厚生年金を受け取れる対象者に優先順位があるためです。

ちなみに、日本年金機構のWEBサイトでは、この優先順位を図で紹介しています。

出所:日本年金機構「遺族厚生年金の受給対象者」

遺族厚生年金は、上記図にある「遺族の優先順位」において、最も優先順位の高い人が受け取れます。

一例の家族の場合、正社員の妻(40歳)が死亡したときの遺族は、正社員の夫(40歳)、中学生(14歳)の子、小学生(11歳)の子である3人です。

このとき、夫の年齢は40歳であるため、最も優先順位の高い「子のある55歳以上の夫」に該当しません。

したがって、今回の例で遺族厚生年金を受け取れるのは、夫ではなく、最も優先順位の高い「子」となり、結果として、中学生と小学生の2人の子になるわけです。