【1990年】
1.おどるポンポコリン(B.B.クィーンズ)
2.浪漫飛行(米米CLUB)
3.今すぐKiss Me(LINDBERG)
4.さよなら人類(たま)
5.OH YEAH!(プリンセス・プリンセス)
6.Dear Friend(中森明菜)
7.情熱の薔薇(THE BLUE HEARTS)
8.くちびるから媚薬(工藤静香)
9.真夏の果実(サザンオールスターズ)
10.イフ・ウイ・ホールド・オン・トゥゲザー(ダイアナ・ロス)

前年までとランキングの様相がガラリと変わったのがおわかりでしょうか。10位までに入った10組のうち、7組がバンドです。そのうち、6組が1985年以降デビューの新しいバンド。根強く残っているアイドルは中森明菜と工藤静香の2人だけというこの時期は、流行の表舞台に立つ者がアイドルからロックバンドへと入れ替わった頃です。

1980年半ば頃にデビューしたバンドらが注目を集め、さらに深夜番組『三宅裕司のいかすバンド天国』(通称『イカ天』)の流行、そして現在も活躍しながら「伝説のバンド」と呼ばれるX(現X JAPAN)のデビューと相まって、バンドブームは大きく盛り上がりました。第4位にランクインしている「たま」は、『イカ天』で3代目グランドイカ天キングとなってデビューしたバンドです。

アイドル冬の時代

バンド人気が隆盛していく一方、1989年、1990年辺りで『ザ・ベストテン』、『ザ・トップテン』、『夜のヒットスタジオ』などの主だった歌番組が次々と終了してしまいます。アイドルは何組も新しくデビューしていくものの、歌番組という大衆の目にふれる場、歌を聴かせる場がないためにヒット曲もなかなか出ないという「冬の時代」へと突入していました。

その間にアイドルがいなかった訳ではありませんが、大きなムーブメントを起こせるほどの人気の高まりはしばらくの間、見られませんでした。「誰もが知っているアイドル歌謡」に出会うためにはモーニング娘。の『LOVEマシーン』のヒットを待たなければなりません。『LOVEマシーン』のリリースは1999年、平成も10年を過ごしてからのことです。

まとめ

アイドルの時代の陰りは実はもっと早くから見え隠れしていたようなのですが、多くの人が実際にそれに気づくのは、過ぎてからのことです。

アイドル黄金期が終わるや否や到来したアイドル冬の時代は長く続きましたが、しかし永遠ではありませんでした。時代は、大衆は、いつもアイドルを必要としているのかもしれません。いまやアイドルは群雄割拠。多様なアイドルが陰に日向に歌い、踊り、誰かの青春を支えているのでしょう。

衛澤 創