11月は年末に向けて家計支出が増える時期。特にシニア世帯や低所得世帯では、生活費や医療費の負担が重くのしかかります。
この記事では、住民税非課税の基準や所得目安、年収106万円の壁と社会保険拡大など最新の情報をわかりやすく整理しました。
住民税の基本的な理解や、非課税世帯について理解を深めておきましょう。
1. 【過去に実施】住民税非課税世帯向けの給付金をおさらい
公的支援の対象として頻繁に登場する「住民税非課税世帯」。コロナ禍以降、この区分を対象とした給付金の支給が相次いで実施されています。
これらの支援策は、物価高騰の影響を特に受けやすい世帯の生活を下支えするもので、多くの場合「1世帯あたり数万円」の給付に加え、子育て世帯には子ども1人あたりの加算がおこなわれるといった内容になっています。
このように、各種の公的支援において「住民税非課税世帯」は、対象者を判断するための重要な基準となっています。
【ご注意】2024年度補正予算(※2024年12月可決・成立)に盛り込まれた「住民税非課税世帯」を対象とする「3万円給付金」は、2025年1月以降、各自治体で順次給付作業がスタートし、7月現在、多くの市区町村ですでに申請期限を迎えています。
なお、給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。
お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。
2. 住民税の基礎知識と非課税条件
住民税は、所得に関係なく一律課税される「均等割」と、所得に応じて税額が決まる「所得割」の2層構造です。
均等割・所得割どちらも課税されないことを「住民税非課税」と言います。そして「住民税非課税世帯」とは、世帯全員が住民税非課税となる世帯のことです。
※なお「住民税の所得割のみ非課税となるケース」もあります。ただし今回の給付金など、各種支援の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
3. 住民税非課税となるケース3つ
下記3つのいずれかに該当する場合に、住民税が非課税となります。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
- 前年の所得が各市区町村などの基準を下回る
1と2の項目は全国共通ですが、3は市区町村ごとに異なる基準が定められています。
4. 大阪市で非課税世帯になる「所得・収入」基準
住民税が非課税となる所得要件は自治体ごとに異なります。ここでは大阪市を例に見ていきましょう。
4.1 「住民税非課税世帯」となるボーダーライン(所得要件)(大阪市)
前年の合計所得金額が、次の算式で求めた額以下となる人
(1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
35万円 × (本人 + 同一生計配偶者+扶養親族)の人数+ 21万円 + 10万円
(2)同一生計配偶者および扶養親族がいない場合
35万円 + 10万円(給与所得者の場合、年収100万円以下の人が該当)
大阪市の住民税非課税限度額は、単身世帯であれば「前年の合計所得45万円以下」です。
同一生計の配偶者や扶養親族が1名の場合は「101万円以下」、2名の場合は「136万円以下」のように上がっていきます。
ただし「所得」は、収入から各種控除が差し引かれたあとの金額です。次は、この基準を「収入ベース」に換算した金額も見ていきましょう。
4.2 「住民税非課税世帯」となる収入目安
単身世帯の場合
前年度の所得合計:45万円以下
- 給与収入が100万円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が105万円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が155万円以下
同一生計の配偶者や扶養親族が1名の場合
前年度の所得合計:101万円以下
- 給与収入が156万円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が171万3334円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が211万円以下
同一生計の配偶者や扶養親族が2名の場合
前年度の所得合計:136万円以下
- 給与収入:205万9999円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が218万1円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が246万円以下
非課税限度額は収入の種類や、世帯構成により変動します。また、年金収入のみの場合は、65歳未満より65歳以上のほうが、非課税となるラインがぐんと上がります。
現役時代よりも収入が下がるケースが一般的であること、遺族年金が非課税であること、さらに65歳以上は公的年金の最低控除枠が多くなっていることなどからも、シニアの年金世帯は「住民税非課税世帯」に当てはまりやすいと言えるでしょう。
5. シニア世帯は非課税になりやすい?
厚生労働省の「令和6年国民生活基礎調査」でも、住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では90%弱だったものが、60歳代79.8%→70歳代61.3%→80歳代52.4%と、シニアほど低くなっています。
ただし、住民税非課税世帯の判定基準に用いられるのは「所得」のみです。「年金額は多くないが、預貯金などの金融資産がある」というシニア世帯が一定数含まれている点には留意が必要です。
一方で、シニアの生活実感に目を向けてみると、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」では、二人以上世帯のうち60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。
さらに年金ではゆとりがないと考える世帯の約6割が、物価上昇による支出増を懸念。次いで、医療費や介護費の個人負担増に対する不安感が見える結果となりました。
6. 2025年の改正ポイント:年収106万円の壁と社会保険拡大
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、アルバイト・パートなどの働き方と関わりが深い、いわゆる「年収106万円の壁」を撤廃する改正が含まれています。
6.1 「年収106万円の壁」とは?
「106万円の壁」とは、パート・アルバイトなどの短時間労働者が年収が106万円以上になると、社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養から外れ、自分自身で保険料を支払う義務が発生する目安です。
保険料負担で手取りが減ることから、収入が基準額を超えないよう労働時間をコントロールする「働き控え」が生じる原因の一つとされてきました。
また、社会保険の適用対象となる企業規模はこれまで段階的に拡大されてきて、2024年10月からは「51人以上」の事業所となっています。
今回の改正では「3年以内の賃金要件の撤廃」と「10年かけて企業規模要件の段階的撤廃」がおこなわれることが決まりました。
6.2 「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
2025年7月現在、パートタイムなどで働く短時間労働者が社会保険に加入する要件は、以下の5つをすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
- 所定内賃金が月額8万8000円以上(賃金要件)
- 従業員数51人以上の企業で働いている(企業規模要件)
今回の改正により、このうち4の「賃金要件」と5の「企業規模要件」が撤廃されます。
いわゆる「106万円の壁」は、全国の最低賃金の引き上げ具合を見極めながら、3年以内に廃止へ。社会保険に加入する企業の規模は、10年かけて段階的に拡大されます。
7. まとめ
今回は住民税非課税世帯を対象にした給付金などの支援制度について解説しました。
住民税非課税世帯に該当するには「生活保護を受けている」「障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である」もしくは「前年の所得が各市区町村などの基準を下回る」の3つのうち、いずれかに該当する必要があります。
3つ目については、市区町村ごとに異なる基準が決められています。病気にかかり仕事を辞めて治療のため働くこともできていない等という理由で、所得が大幅に減ったという方はお住まいの地域の基準となる所得の金額について確認しておきましょう。
また、住民税非課税世帯には、年金生活者である高齢者も該当するケースが多いです。年金が思っていたよりだいぶ少ないという方も、お住まいの地域の住民税非課税世帯となる基準の所得額を確認しておきましょう。
また、住民税非課税世帯を対象にした給付金や支援制度は意外と少なくありません。常に情報をチェックして情報の把握漏れがないようアンテナを張っておきましょう。







