「産後クライシス」というように、産後2~3年は夫への愛情が激減するという現象もあります。昔は産後クライシスがあっても、周囲には愚痴や相談を聞いてくれたり、手助けをしてくれる人がいました。
現代では多くのママが孤独であり、帰宅時間が遅い男性も多く、また経験のない男性は家事や育児への理解があるわけではなく「全て女性がやって当たり前」という風潮は根強いものです。
孤独から抜け出すために、子育て支援センターや児童館でママ友を作る人もいます。遠く離れた旧友や自分のきょうだい、両親でも、SNSを使えば育児相談をしたり、愚痴を言うことができます。会ったことがない人でもSNS経由で育児話で盛り上がってつながる、という人もいます。
一方で、「子育て支援センターで時々会うくらいのママとは友達になれない」という人見知りなママや、「実家を頼れない」というママ、「人に弱みを見せられない」ママもいます。特に考えるべきなのは、こういったSOSを出せない層でしょう。
孤独にならない育児環境作りを早急に
以前筆者は子育て支援をしていましたが、「ここ1週間、夫以外に会話した大人は宅急便の人とスーパーの店員さんだけなんてことはザラ。夫ともろくに話をしない」「生後半年までは眠れないし、慣れない育児にいっぱいいっぱい。誰にも会えず密室に赤ちゃんと2人きりは辛かった」「実際にはしないけれど、虐待する親の気持ちが全く分からないわけじゃない」と口にするママは少なくありませんでした。
虐待のニュースを受け、様々な対応がされていますが、その一方で「親を孤独にしない育児環境作り」自体も急ぐべきでしょう。
核家族が当たり前となった今は、地域での関係作りが重要になります。地域にいる子育てママがつながれる機会を、自治体が用意することもできるでしょう。1歳半や3歳児健診だけでなく、もう少し頻繁に子育て中の親が集まれる機会があってよいのではないでしょうか。
宮野 茉莉子