一日中オフィスにこもっていると、夕方には顔色が悪くなってくる……。若い頃に比べて、皮膚に弾力がなくなってきた……。じっくりと肌のお手入れができる時間があればよいのですが、毎日、仕事に追われてそんな余裕はないという人も多いのではないでしょうか。
そんな人におすすめなのが、肌に良い食事をとること。毎日の食事をほんの少し変えるだけで良いのです。この記事では『はたらく女性のコンディショニング事典』より、肌の悩みに応える食事のポイントをご紹介します。
肌のくすみには血行を良くするビタミン類を
ほんのり赤みのさした肌はイキイキと健康的に見えます。しかし、冷えや運動不足、喫煙などが原因となって血液循環がうまくいかなくなると、顔の毛細血管も血行不良に。すると、肌の色から赤みが少なくなって、明るさがなくなってしまうのです。
顔色を良くするにはストレッチ、顔のマッサージをすることも重要ですが、きちんと栄養をとって血流を良くし、肌の新陳代謝をアップさせることも大切です。
栄養はバランスよくとることが基本ですが、なかでも血行を良くするはたらきのあるビタミンE(アーモンドなどのナッツ、アボカド、緑黄色野菜など)や肌の代謝を促すビタミンA(ニンジン、モロヘイヤなどの緑黄色野菜、レバー)などのビタミン類を積極的にとるように心がけましょう。
肌のハリを良くしたい!
肌にハリをもたせているのは、肌の「真皮」という部分。真皮はコラーゲンなどの繊維が重なり合っているため弾力があり、肌の表面をバネのように支えています。女性ホルモンの「エストロゲン」には、コラーゲンをつくり出す細胞を活性化するはたらきがあります。そのため、エストロゲンの分泌が少なくなるとコラーゲンも減少してしまいます。
加齢により肌のたるみが目立ち始めるのは、エストロゲンの分泌が少なくなることが大きな原因ですが、若くても、ストレスで卵巣のはたらきが衰えていると同じように肌に影響を与えてしまいます。エストロゲンと同様の作用を持つ大豆製品を積極的に食べるようにしてみましょう。
また、肌の材料になるコラーゲンをしっかりつくり出すことも美肌にとっては大切なことです。コラーゲンを含む食品を食べても、コラーゲンがそのまま肌に取り込まれるわけではないのですが、体内で分解され、コラーゲンをつくる原料になります。コラーゲンを多く含む食材は、「手羽先」「鶏皮」「魚のアラ」などです。
また、体内でコラーゲンをつくり出すには、ビタミンCのはたらきが必要です。コラーゲンと一緒に、緑黄色野菜や果物など、ビタミンCを多く含んだ食品もしっかりとりましょう。
プロテインは美肌にも効果的
タンパク質不足は、肌荒れや乾燥肌を招くことがあるため、極端な食事制限は美肌の大敵です。女性には食が細い人やダイエットをしている人など、タンパク質が不足しがちな人が多くいますし、コンビニメニューで選びがちなおにぎりやサンドウィッチなどではタンパク質を摂取しにくい傾向があります。
そんなときは、手軽にタンパク質を摂取するために、プロテインドリンクなどを取り入れてもいいでしょう。トレーニングしている人向けと思われがちなプロテインですが、美容のために不足しがちなタンパク質補給として飲んでも有効なのです。
美容目的なら、肌のターンオーバーが活発に行われる夜10時~深夜2時にタンパク質が使われるように、夕食時〜寝る30分前くらいまでに摂取するといいでしょう。運動をしている人なら、運動を終えてから30分以内に摂取するのが効果的です。
「油」がニキビを予防する
「油は体脂肪を増やす悪者でしかない!」と思っていませんか? 油というとダイエットや健康の敵のように扱われがちですが、脂質は炭水化物、タンパク質と並ぶ三大栄養素の一つ。活動のエネルギー源であり、体を構成する細胞や血液の大切な成分ですし、コレステロールは女性ホルモンなどの材料にもなります。
最近、とくに注目されているのは「オメガ3系」の油です。このオメガ3系の油は、エゴマ油、亜麻仁油、シソ油、魚油などに含まれています。
オメガ3系の脂肪酸は、炎症を抑える作用があるため、ニキビなどの予防に効果的。さらに、肌に潤いを与えるセラミドの材料にもなり、健やかな肌を保ちます。セラミドはそれ自体を食べても分解されてしまい、肌の成分になりませんが、オメガ3脂肪酸を摂ることで体内でのセラミドの合成量が増えるということが知られています。
外食が多いとどうしてもお肉中心の食生活になりがちですが、たまには意識して魚を食べるようにすると、オメガ3系の油を取り入れることができます。オメガ3系の油を多く含む代表的な魚としては、「サバ」や「イワシ」、「キンキ」「マグロの脂身」などが挙げられます。メニューを選ぶときの参考にしてみてください。
まとめ
忙しい生活のなかでも、食事のとり方次第で、肌のお悩みを解消することが期待できます。
・ 肌のくすみをなくしたい
→ビタミンE(ナッツ類、緑黄色野菜など)、ビタミンA (緑黄色野菜、レバーなど)
・ 肌のハリを良くしたい
→大豆製品、コラーゲン(手羽先、鳥皮、魚のアラなど)、ビタミンC(緑黄色野菜、果物など)
・ 肌荒れ・乾燥肌を防ぎたい
→タンパク質(プロテインなど)
・ ニキビを予防したい
→オメガ3系の油(エゴマ油、亜麻仁油、シソ油、魚油など)
自分の肌のお悩みに合わせて、毎日の食事を少しずつ工夫していきましょう!
(監修:松村和夏)
■ 松村和夏(まつむら・わか)
女子栄養大学卒業。管理栄養士、調理師、食生活アドバイザー、ソムリエ資格所有。看護学校、大学院にて講師として勤務するほか、飲食店のメニューアドバイザー、野球選手などスポーツ選手への栄養指導など幅広く活躍している。
松村氏の監修書籍:
『はたらく女性のコンディショニング事典』
クロスメディア・パブリッシング